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幸せな社内SE転職のススメ

最初に。「社内SEは楽じゃない」を理解したうえで本記事に進んでください。社内SE=楽という考えでは、どんな会社に転職しても幸せにはなりません。

そのうえで、良い会社に転職する可能性を高める判断軸を公開します。

社内SEが活躍できる3つの要素

  1. 経営陣がITに理解がある

  2. 情シスをコストセンター扱いしない

  3. プロジェクトを進めるさいに経営陣がバックアップする

この条件を満たしている会社が、社内SEが活躍しやすい良い会社です。

(1)経営陣がITに理解がある

けっして社長を始めとする経営陣がIT知識に長けている、というわけではありません。しかし真っ当な経営者であれば今後の経営に(DXを含めた)ITが必要で、投資しなければならないことを理解しています。

自身のITリテラシーが高くないと理解しつつも、改革に必要な情報収集に余念がありません。そのため、他社がどんなIT投資をしているのかを知っています。

そういう経営陣は提案すれば真っ当な回答が返ってきます。ITに投資しなければならないことも理解しており、真剣に検討してくれることも多いです。

(2)情シスをコストセンター扱いしない

上記の記事でも書きましたが、多くの企業では情シスをコストセンターとしてきました。分かりやすいのが70年代・80年代の情シスの分社化です。

分かりやすくいえば「お前らコストだから、自分たちで食い扶持を稼げ」と放逐されたわけです。残された情シス機能に優秀なエンジニアはおらず、SIerの提案を受けるだけの、文字通りのコストセンターになってしまいました。

経営にITが必要と理解し、そのための必要な人員を確保する経営陣がいるだけで、社内SEにとって幸せな環境といえるでしょう。

また情シスをコストセンター扱いしない会社は、必要なIT予算を確保します。もちろん無尽蔵というわけにはいきませんが、IT投資にはビタ一文出したくない経営陣と比べれば雲泥の差です。

少なくとも「そんな金は出せない」と一刀両断にされることはないでしょう。

ITに理解があるにも紐づきますが、情シスをコストセンター扱いしない経営陣はバランス感覚に優れていることが多いからです。

そうでない経営陣の場合、売上を伸ばすために営業の頭数を増やす、フロントを高稼働させる、コストを削減するために節約令を敷くなど、短絡的な施策に注力しがちです。

(上記の施策がダメではなく、短期的な施策と中長期的な施策の両輪が必要という意味です。IT投資は中長期的な施策といえるでしょう)

(3)プロジェクトを進めるさいに経営陣がバックアップする

事業会社のITシステム刷新は業務改善・改革も含まれます。現場はこれまでのやり方を変える必要が出てきます。そうすると出てくるのは「現行通りマン」という抵抗勢力です。

「今までのやり方でやってきたんだから」
「現場が苦労して積み重ねたやり方を否定するのか」
「変えて効果が上がる保証はあるのか」
ふじこふじこ、、、

社歴20年・30年のベテランが騒ぐことが多いので、情シスのメンバーでは対抗しづらいことがほとんどです。こういうときに経営陣、あるいは現場の責任者がガツンと言ってくれると話が進みます。

業務効率化はもちろん、DXはこれまでやったことのないことを導入するわけですから抵抗までいかなくても、現場が懐疑的になりがちです。「自分たちの仕事が増える」と難色を示す社員も少なくありません。

そこへ経営陣から未来に対するビジョンを語り、業務改革が会社だけでなく社員にも恩恵があることを伝えてもらえると、プロジェクトはスムーズに進みます。

社内改革がうまくいかない裏返し

実は、この3つ、IT・DX推進がうまく進まない裏返しでもあります。

  1. 経営陣がITに対する理解がない

  2. 情シスやIT投資をコスト扱いする

  3. 情シスに丸投げする

この3つがそろったらプロジェクトは進まない、進んでも現行通りで何の意味もないシステムが出来上がります。

多くの会社でDXを含めた社内改革が進まない理由は、ここにあります。

社長の鳴り物入りでDXなどの社内改革が発足する。しかし、改革は現場に丸投げ。予算もほとんどつかない。現場は現行通りと抵抗。結果、システムを少し改変し、現行の業務フローと何ら変わらないシステムに。現場はDXを実施しましたと報告。社長ニンマリ。しかし、何も変わらない。

というデフレスパイラルです。

DXと叫びながら何も変わっていない会社は、上記のような状態ではないでしょうか。その原因は経営陣は叫ぶだけで何もしない(予算確保を含めて)。情シスになんの権限もなく現場を動かせない。現場は現状維持で抵抗する。そんな状態です。

事業会社にチャンスはある

IT企業の給与は高止まりし、(一部の大手企業以外)福利厚生・環境も勝てない事業会社がほとんどです。そのため、中堅・中小企業は自社の社内SEをIT企業やDXを推進する大手企業に奪われているのが現状です。

ただ80%のIT企業(SIer・SES)にはない、エンドユーザーに直接触れられ、ITで経営に貢献するという、これ以上ない「働きがい」が存在します。給与体系を変える必要はあるものの、クライアントワークでは得られない魅力は採用において武器といえるでしょう。

活躍できる会社の見抜き方

話を求職者へ戻し。冒頭の3要素がある会社かを判断することが、幸せな社内SE転職できるかの判断ポイントです。

では、どうやって見抜けばいいのか。
正直、求人で見抜くのは難しいです。なぜなら、ここまで理解して取材・制作する営業・制作がいないからです。彼らの頭は「社内SE=応募が来る人気職種」という等式しかありません。

上記の項目を意識して書かれているだけで、かなり良い営業・制作が担当しています。彼らがヒアリングし、情報を得られているので良い会社と判断できるでしょう。

多くの場合は面接にて確認してください。

まず、IT投資に対して現在の課題は何で、いつまでに何を変えて事業を拡大・改革したいのか。そのために社内SEに求められているミッションや業務はなにか。

これに答えられない会社は、現行のシステムのお守りを探している会社なので、幸せにはなりません。

次に、業務改善やDXにさいして、IT投資予算がいくらなのか。できれば、「何年間で」という中期計画を聞くとよいでしょう。細かい数字が出なくても、概算でいくらを想定しているかはあるはずです。

そしてプロジェクト推進に際して、現場から反対が出たら、あるいは非協力的だった場合の経営陣の対応を聞いてください。すでに社長自ら陣頭に立って、現場を動かした経験があれば最高、なくても経営陣が最大限の協力をする、こういう事例があると言質がとれたら上等でしょう。

これらの質問に対して回答がない、あるいは曖昧な回答しかしない会社は情シスの立場が低いです。あなたにすべてを丸投げする気満々でしょう。転職しても幸せになりません。

あえて、こんな会社に転職して状況を変える猛者もいますが、、、

まとめ

以上が、幸せな社内SE転職できるポイントです。

逆にいえば、この状況にない会社は社内SEを採用できない時代に入ります。すでにITエンジニアの転職倍率が12倍を超え(doda調べ)、熾烈なエンジニア採用がなされている中で、活躍するエンジニアは採用できません。

求職者は厳しい目で会社を判断していただき、会社はあるべきIT投資の姿を模索することでWin-Winの関係を構築できるはずです。

私としては、社内改革に積極的な会社に、社内SEとして活躍できる人が来て、世の中のDXが推進されることを願っています。ぜひ、上記を判断材料にしてください。

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似非教授
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