永田宙郷さんによる第1回「これからの価値づくりセミナー」
「これからの地域を支えるデザイン経営」を本気で学ぶ場所として、2023年にスタートした越前鯖江デザイン経営スクール。デザイン経営の視点をもつ事業者や広義のデザインを実践するクリエイター、そして彼らを支える右腕人材を越前鯖江エリアに増やすことを目指しています。
記念すべき第1回目の「これからの価値づくりセミナー」を2023年10月14日(土)に開催。「ててて協働組合」共同代表でプランニングディレクターの永田宙郷さんに、「ここからのものづくりをつくる」というテーマでお話しいただきました。
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会場は、鯖江市の眼鏡の発信拠点であるめがね会館。同日に開催された「商品・サービス開発プロジェクト」のメンバーを含む約50名が受講しました。
永田さんは「過去を現在に引き上げる。未来を現在に引き寄せる。過去と未来を繋ぐ」というテーマを掲げ、
・金継工房リウム
・ててて協働組合
・DESIGNART
・N-ARK
など様々な活動を展開されています。また、日本各地の工芸やものづくりに携わり、越前市でも2014年から「越前ものづくり塾」のディレクターを務められました。
永田さんには、デザイン経営の根本的な考え方から現代社会の変化の捉え方、デザインの意味について講演いただきました。
「もともとあった手工業が、希少性の高い美術工芸や効率性を重視した工業に発展することで、地域性が失われ、地域産業が衰退したという歴史があります。そこで、これから必要となるのは、『職人・高度な技術』と『地域とその背景』を活かした 『新・ものづくり産業』です」と永田さん。
そして、これからの時代に求められる“デザイン” の姿とは、
・会社の向きを決め、社会や相手を理解する
・解決手段や向かうべきDESIGN※を考える・伝える
・機能や形を整える(design※する)
の3点で、これは理想的なデザイン経営のあり方とほぼ一致するのだといいます。
※DEDIGN:ビジネス・生活・社会など仕組みから整えること
※design:色や形など見た目を整えること
また、デザイン経営を行う上で必要となる協働パートナーの探し方についてもアドバイスをいただきました。「現代のものづくり産業において、メーカーは『つくる』だけでなく 『売る』 『気づく』ことも求められています。商品と仕組みづくりに必要な15の職能(プロデューサー、編集者、カメラマンなど)の中で、自社にはどこが足りないのかを考えて協業パートナーを探すといいでしょう」
そして最後に、地域や中小企業の強みは
・知的資本(漆を塗る、和紙を薄くきれいに漉く技術、特許など)
・人的資本(スキルや経験、意欲など)
・製造資本(建物や設備など)
・社会・関係資本(困ったときに頼れる存在、ブランド力など)
・自然資本(地域の歴史や自然環境など)
の5つの非財務価値であり、それらを活かした商品やサービスを開発することで、地域経済や文化と共生しながら進化していけるのでは、と締めくくりました。
第1回目の「これからの価値づくりセミナー」が終了。グループワークを挟むなど、充実したセミナーとなりました。全4回のセミナーの様子をこちらのnoteでお届けします。次回もお楽しみに!
(文:ふるかわともか)