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日本語教員試験2024体験記(「ヨソはヨソ、ウチはウチ」だけど、「プロを舐めたらあかんで」編)

この記事は、「日本語教員試験2024体験記」の第6回です。
他の記事は、マガジンに収録していますので、合わせてお楽しみください。

再試験の発表に驚愕と納得

交通機関の乱れにより試験に支障があった北海道と、聴解問題の実施に問題があった東京新橋の会場等で「再試験」という情報が発表されました。これについては、Xだけでなく、Youtubeなどの各SNSメディアでも情報が出てきていいます。私が受験した大阪も一部問題があったようですが、今のところ再試験になるのはこれらのエリアの受験会場のようです。

ヨソはヨソ、ウチはウチだが・・

ウチとか、ソトとか言うと、日本語教育能力検定試験や日本語教員試験の勉強をしてきた人からすると、待遇表現であったり連体修飾の関係を思い出すところですが、ここでは単純に「おかん理論」のことを言っておりまして、私としては力を出し尽くしたので再試験になる人が改めて対策ができることを不公平とは思わないようにしています。

むしろ、聴解は全員正解!とかになると、全体の点数が上がってしまって、せっかく頑張ったのに合格基準が上がってしまうのではないか?という心配も出てくるところです。「応用試験は6割以上」となっていますから、合格基準を下げることはあっても上げることはないと信じたいですがね。問題冊子の持ち帰りが不可だったこともありますが、得点も非公開だったら検証する術がありません。せめて点数はしっかり通知してほしいところです。

現職を舐めんな、という話

私は日本語学校の現職日本語教師です。内部でプレイスメントテストやJLPT模試を行います。また、JLPT以外の外部試験を、校内で実施することもあります。とにかく、試験の実施においては「微に入り細を穿つ」ということで、あらゆる想定をして準備します。

試験問題の作成、印刷の準備はもちろん、聴解試験など一番気を使います。再生機器はPCだけでなく、バックアップとしてCDラジカセを用意します。音量調整は事前にも当日にも行います。違うクラスで違うレベルを受験していると、休み時間がずれたりすると、騒音となってしまうことがあるのでタイムテーブルも配慮が必要です。採点、フィードバック、成績分析、はたまたはカンニングがなかったかの解答の類似性分析まで最近はやっています。
聴解試験を校内で行う際は、ただ音声データを用意すればいいわけではありません。Googleドライブの共有データ上に複数のmp3を置いて再生すると連続再生できないので、各PCで音声ソフトを用意したり、または一括再生用に結合したバージョンを作ります。しかし、後日授業でフィードバックする際には、一問ずつ検討するので、トラック分割版も必要だ、というように、各学校において、様々な事情に合わせて積み上げた試験実施ノウハウというものがあるでしょう。

文部科学省は教育をつかさどる省庁ですから、当然試験のノウハウをお持ちだと信じておりましたが、今回の試験は結果として課題を残したと分析せざるを得ません。試験が難しかったかどうかや、日本語教師の能力を測定するという試験の妥当性はもとより、聴解試験で音が聞こえないというのは、試験としては致命的なことです。

テストに関する問題も色々出ました。応用試験の方で何問か悩みました。日本語教師は新しい資格のためにこの試験を取って終わりではなく、これからまさに学習者に対して試験をやっていく立場です。少なくとも現職者には一定の経験、ノウハウがあります。少々ぞんざいな言葉で感想を言うと、「我々プロを舐めんとんのか」ということです。

試験を貶めたいのではなく、誇り高き試験として終わって欲しい

一応日本は表現の自由が表現されていますから、試験について感想を述べ、運営について批判をすることは許されています。教員なのに自分の試験の合格ばかり考えてるのは、教師の資質としてどうか?という視点のご意見も中にはあるようですが、私に関して言えば受験料18,900円という大枚をはたいて、人生をかけて試験にチャレンジしているのです。初めての試験だから仕方ないとか、教師だから試験のあり方に文句を言ってはいけないという論に対しては、反対です。繰り返しますが、問題の難易度を問題にする以前に、試験が成り立たない事態が起こってはいけないということを言っています。受験者だけが黙って我慢する必要はありません。言いたいことは言いましょう。

しかし、かと言ってこの日本語教員試験の価値を貶めたいとは全く思いまっせん。日本語教育能力検定試験対策で有名な先生ですが、「いい試験だった」と評価されています。私は合格を確信するほどではありませんが、勉強をがんばった分、確信を持ってマークできた問題が相当数あったので、やってきたことに悔いはありません。だからこそ、頑張った人が報われる試験であってほしいし、この試験に合格したことが誇れる試験となって欲しいと心から願うのです

まとめ

本日は、2024年11月23日(土)です。さすがに試験明けから一週間勤務して、心も体も疲れました。次のnoteは月曜日からかなと思っていたのですが、書かずにはいられなくなり、夕食に湯豆腐を食べて温まったところで、今回の記事を書きました。
試験が終わったからといって、急激にブレーキを踏まないで、noteにいろいろ記録を残しながら、来週以降の仕事に試験勉強で学んだことをどんどん活かして頑張っていきます。


次の記事はこちらです。


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