【MTG】《不動のアルマサウルス》の後継を待ちわびて
後継が出てこないデザインのカードの後継を待ちわびるシリーズ。
《不動のアルマサウルス》というカードがある。
白4マナ2/3の恐竜で、警戒と、2マナとタップで《不動のアルマサウルス》と戦闘を行っているクリーチャー1体を対象とし、自身のタフネス分のダメージを与える能力を持つ。
警戒を持っているので攻守どちらのタイミングでもタフネス分のダメージを与えられるが、本人のスペックが4マナ2/3警戒と4マナのそれではないのが欠点と言える(逆に言うとタフネスを上昇させられれば交戦相手を一方的にしばき続けるバケモノになってくれる)。
しかし、この《不動のアルマサウルス》は能力は、戦闘中にしか使えないとはいえ、タフネスで行う一方的格闘とか、噛みつきと呼ばれるメカニズムだ。
パワー版の噛みつきカードが大量に刷られているなら、タフネス版の噛みつきがもっとあっても良いのではないかと個人的に思う。
MTGには「パワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振る」メカニズム、通称、重厚/Backboneというものがあり、一般的には1マナ0/4や4マナ0/17のような低パワー高タフネスのクリーチャーを並べてビートダウンする形になりやすい。さらにいうと重厚を扱う色は緑で、それと相性の良い、低マナで高タフネスのクリーチャーを擁するのが青ということもあり、クリーチャーを除去する手段が非常に少ないのである。
低パワー高タフネスのクリーチャーを多用する以上、緑に渡されて久しく一丁前の除去ですよ? みたいな顔をしている格闘や噛みつきするカードはまったくと言っていいほど機能せず、重厚デッキは未だに緑でのクリーチャー除去手段を貰えていない。かといって青も戦場に出てしまったクリーチャーを除去する色ではないことはお分かりだろう。
一応、10年ほど前に1枚だけタフネスで疑似的な格闘を行う《無残な競争》を貰っているが、多色な上に、いかにもリミテッド用の除去と言ったデザインで、構築で使うにはあまりにも辛い。
タフネスで格闘、あるいは噛みつきを行えてしまうと1マナ0/4のクリーチャーで5マナや下手すると6マナのクリーチャーを落とせてしまうという懸念からのそういったカードの少なさなのかもしれないが、それを言ったら接死持ちと噛みつきカードの組み合わせのほうがよほど強力である。特に接死持ちはコモンで1マナ1/1が定期的に刷られているのだ。
パワーでできることがどうしてタフネスでできないのだろうか。
その点、《不動のアルマサウルス》はそういった疑問、疑念に対する一種の回答である。
能力に起動コストを設け、起動タイミングを事実上戦闘中のみに限定することでタフネスによる噛みつきを実現しているのだ。
そこまで縛る必要があるかと言われると《不動のアルマサウルス》のP/Tを見るに過剰な制限だろうと思ってしまうが。
しかし現代MTGには魔法の言葉、プレイ・ブースターというものがある。
プレイ・ブースターの時代に移り変わり、明らかに強力なカードが増えた現在、アンコモンは以前にも増してより強力である。いわんや《不動のアルマサウルス》のようなカードがデザインされたなら、当然起動コストは大幅に軽くなり、クリーチャーとしてのマナコストも下がるだろう。
できることなら《不動のアルマサウルス》を根拠にタフネスによる噛みつきカードが増えることを期待したいが、普通の噛みつきカードがある限りそれは難しそうだし、せめて1体でも良いので、《不動のアルマサウルス》の後継が出てくれないだろうか……。
もし出てくれて、それが重厚デッキに向いているP/Tをしていれば、新しい選択肢となるので、そうなることを期待したい。