【EDH・統率者】重厚デッキと《運命の天使》【MTG】

 なんか殺意高いなこいつ?
 《運命の天使》というカードがある。

二段攻撃は良い

 白の5マナ2/6のクリーチャーで、飛行と二段攻撃を持ち、さらにちょっとややこしいライフ回復能力とプレイヤーを特殊敗北させる能力を持つ。
 ライフ回復能力をざっくり説明すると、自分のコントロールしているクリーチャーがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたびに誘発する、いわゆる「魂の絆」能力(戦闘ダメージを与えると同時にライフを得る絆魂と異なり戦闘ダメージを与えたときにライフを得る能力が誘発する)なのだが、なぜか自分と殴ったプレイヤーが同時に回復するという、わけのわからない挙動を取る。一応、後述の特殊敗北能力とつながりのある挙動ではあるのだが、対戦相手を回復する意味は正直ないと個人的には思う。
 特殊敗北能力は終了ステップ開始時、自身のライフが初期ライフ総量よりも15点以上多いとき、《運命の天使》がこのターンに攻撃したプレイヤーが敗北するというもの。攻撃先が敗北するという都合上、誘発が終了ステップなので召喚酔いさえどうにかなれば比較的早い部類なのが良い。ライフ回復能力が攻撃先と自身を同時に回復するのはこの敗北能力の誘発前に対戦相手が敗北しないようにという意図なのだろうが、特殊だろうが通常だろうが敗北させられれば別に良いのではないだろうか。
 《運命の天使》は2/6、飛行、二段攻撃なので通常は2点の回復が2回誘発して4点回復である。あるいは他にクリーチャーがいればその分回復量が増えていく。しかし、MTGには「パワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振る」メカニズム、通称、重厚/Backboneというものがあり、これと組み合わせると《運命の天使》の回復量は爆増する。パワーではなくタフネスで殴るので、《運命の天使》が実質6/6二段攻撃となり、単体での回復量が12点と跳ね上がるのだ。そしてこの跳ね上がる回復量が《運命の天使》の扱いを若干難しくする。
 《運命の天使》自体は5マナとEDH基準で見れば十分出せるマナコストで、さらには飛行を持っているために攻撃が通りやすい。そしてライフ回復能力は常在型能力のために、戦場に出した直後から機能する。
 故に、《運命の天使》を出したターンに空いているところを殴って3点以上のライフ回復を行うことで、次のターン、誰か1人を敗北させられる可能性が非常に高い。《運命の天使》は飛行を持っているので攻撃が通りやすいし、なんなら初期ライフ総量+15点以上の条件さえ満たしていれば《運命の天使》の攻撃をプレイヤーに通さなくとも敗北させられる(攻撃先に指定した相手が敗北する能力のため、《運命の天使》がブロックされて戦闘ダメージを与えられずとも《運命の天使》が生き残っていれば誘発する)。
 最速6ターンで1人を脱落させられるのは強いと言えば強いのだが、攻撃先のプレイヤー1人しか敗北させられないので、言い換えれば1人をゲームから弾きだす効果だ。《運命の天使》を止められなかっただけで死んだんだが? という体験はまあ、あまりよろしくない。その後も2人殴り倒して勝ったわ、というなら多少はマシだが、《運命の天使》が除去されてその後も長くゲームが続くと残った1人は暇を持て余すだろう。
 これが特殊勝利ならマシだったかと言われると、そっちの方がまだ露骨にヘイトが上がる分、マシかもしれない。1人が勝利すればゲーム自体は終わって全員再スタートできるし。
 とはいえ、タイマンになったときにサクっと1人敗北させられるのはありがたいし、単純に殴っただけで自分のライフが回復するのも殴り合いのあるレベル帯なら有用だ。
 両者を回復するという謎の挙動も《薄暮薔薇の棘、ヴィト》のようなライフ回復をライフロスに変換できるカードと組み合わせれば普通の打点として使うこともできるので、運用に気を付ければ《運命の天使》は楽しいカードである。
 重厚デッキならずとも、二段攻撃を持っている時点で楽しい組み合わせが無数にあるので、もし興味があれば採用してみてはいかがだろうか。
 ちなみに絆魂と組み合わせると自身の誘発と合わせて2倍回復するのでとんでもない量の回復ができるぞ!

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