【MTG】白緑重厚の2ターン目が弱くてさぁ!【スタンダード】

 毒殺デッキになっちゃったよ……。
 MTGには「パワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振る」メカニズム、通称、重厚/Backboneというものがある。
 現在のスタンダードにもいくつかクリーチャーを重厚にするカードがあり、それを用いることでデッキが作れなくもない。今のところ可能性を感じているのは白緑の組み合わせなのだが、作っていると序盤が非常に弱いことを思い知らされる。特に2ターン目と3ターン目が弱いという、ビートダウンデッキどころかコントロールデッキ以外ではあるまじき欠点を見せつけられるのだ。
 現状、個人的に白緑の重厚デッキで好きな動きが、1ターン目《装甲アルマジロ》からの2ターン目《世渡り上手の交渉人》というものである。

これから
これに繋ぐ

 こうなると護法(1)を持つ《装甲アルマジロ》を除去する手段が少なく、安全に5点の戦闘ダメージを叩き込むことができるのだ(1回限定)。ただ、《装甲アルマジロ》以外の1マナクリーチャーは《切り崩し》で簡単に落とされるという事情から現状のデッキには採用されておらず、この動きができることは稀である。そうなると2ターン目にクリーチャーを出してスタートということになるのだが、デッキに採用しているクリーチャーのうち、2マナのクリーチャーは《世渡り上手の交渉人》くらいで、それ以外のクリーチャーは《無法者の医者》のような圧のないクリーチャーを採用するのが関の山だった。

補填は偉い

 《世渡り上手の交渉人》は実質2マナ3/3相当として振る舞うので除去が飛んでくるのだが、《無法者の医者》の場合は見た目通り打点1の絆魂持ちでしかないので相手は悠々と自分の動きを優先する。あるいは、除去がなかった場合でも《無法者の医者》でできることは1点の戦闘ダメージを1点のライフゲインでしかないため圧がない。《無法者の医者》は除去されたときに1ドローできるとはいえ、大抵の相手は損を嫌って除去してこないし、パワー3以上のクリーチャーがいるならそれで迎え撃てば良いだけだ。そしてそうなると《無法者の医者》は《世渡り上手の交渉人》の賛助で強化できなければパワー3のクリーチャーを1回止めて終わりである。そこからさらにクリーチャーなりPWなりエンチャントなりを出されるだけですでに辛い。
 2ターン目に圧のあるカードを出せないばかりに、ずるずると負けていくというパターンが白緑重厚は非常に多かった。この2ターン目の動きが弱いということから目を背けるのは良くないと思い、本格的な改善に乗り出すことにした。
 とはいえ、タフネスで殴る重厚デッキである以上、選択肢はあまり多くない。タフネスよりもパワーのほうが高いクリーチャーは論外だし、正方(パワーとタフネスの数値が等しいこと)のクリーチャーもなるべくなら採用したくない。クリーチャーでないカードを採用することも考えたが、デッキ構造上、《豆の木をのぼれ》のようなお手軽アドバンテージ源は採用できないし、除去を増やして時間を稼いでもデッキとしての出力が足りないので意義は薄いだろう。《無法者の医者》と入れ替えるのだから、2マナのクリーチャーであることが望ましい。
 そういった基準から白緑重厚デッキの新たな2マナ枠として選出されたのが、《牙持ち、フィン》である。

強い

 重厚デッキが毒殺デッキになっちゃった……。
 というのも現在の白緑重厚デッキは《注入用義腕》、《潜伏工作員、アジャニ》など、毒に関係するカードを採用している。

サイズアップと毒性1がつく
奥義で毒カウンターを与え始める

 特に《潜伏工作員、アジャニ》の奥義による毒殺は現実的なものであり、困ったらこれというレベルで使っていた。そのため、重厚デッキとしての動きが鈍った場合のサブプランとしての採用のはずが、大抵のデッキに対して重厚デッキが満足に動けないので毒殺がメインプランと言っていいほどに働いている。そこに毒殺能力を持つ《牙持ち、フィン》を採用すればもはや重厚がメインではなく毒殺がメインと言っても過言ではない。
 ただ、白緑重厚デッキの欠点を改善するための2マナのクリーチャーとして《牙持ち、フィン》以外の適任がいなかったのだ。
 まず《牙持ち、フィン》は2マナという軽さながら単騎でゲームを終わらせられる能力を持つ。これはこのデッキの2マナのクリーチャーに欲しかった圧力そのものである。
 さらに接死を持っているため、戦闘にも強い。《無法者の医者》と異なりパワー3のクリーチャーをブロックしても相打ちに持ち込める。
 そして自身の能力だけで完結している以上、ゲームのどのタイミングで引いてきても困ることがない。重厚メカニズムやっぱり欠陥なのでは。
 毒カウンターを置く数が2個というのも絶妙で、《潜伏工作員、アジャニ》の奥義も2個置くため、1回の攻撃で1手分進むことになる。
 これほどまでに単体での強さ、デッキ自体との相性の良さを持つカードは《牙持ち、フィン》以外に存在しなかった。毒殺デッキになりかけのデッキと相性の良いカードはそりゃ毒殺カードだろと思われる諸兄らもおられようが、それはその通りと言うしかない。
 ただ、《牙持ち、フィン》の自身が5回殴れば勝てるという圧の強さは相手に除去を吐かせることを強要するため、相手のテンポを崩してこちらのペースに引き込むことが多少できるようになった。そのため、やはり白緑重厚デッキに足りなかったのは2マナの強い動きだという推測は当たっていたように思える。
 とはいえ、依然としてデッキとしての強度が足りておらず、現状の白緑重厚は変な動きをしてくる毒殺デッキと化しているのは如何ともしがたい。重厚デッキとしての本懐を時折果たせるため、《肥えた緑甲羅》に依存していた時期の重厚デッキよりはマシなのだが、そろそろ新しい風が吹くことを祈っている。

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