見出し画像

BUMP OF CHICKEN試論#short001_水の中の唄(「メーデー」)

(※)試論未満の「思い付き」や単なる「感想」を「short」と題して投稿します。これからも続けるかもしれません。


寝る前、歯を磨きながら「メーデー」を聴いていた。あのワクワクするイントロが大好きである。
「メーデー」はBUMPの中ではちょっと異色の曲である。『orbital period』以降のBUMPは特に、宇宙や星といったものをモチーフにした曲が多いが、「メーデー」は人の心を深い水(海?)の世界として描いている。「息はもつだろうか/深い心の底まで」「君が沈めた君を見つけるまで/潜るつもりさ」などの歌詞を見れば、それは明らかだ。これはなかなか珍しい。「星の鳥」に続く曲が、一転して水の世界を歌う曲なのは、すごい振れ幅だ。

ずっと気になっていた言葉やフレーズもある。
まず、「口付け」。こんな直接的な言葉、BUMPの歌詞では、「メーデー」にしか使われてないんじゃないだろうか。詳細にチェックはしてないんだけど、かなりレアなワードであることは確かだ。水の世界、というものから想像してみると、これは、溺れてしまった人へのマウス・トゥ・マウスの人工呼吸のことなのかもしれない。

あとは、「分かち合えるもんじゃないのなら/二倍あればいい」。
この「二倍あればいい」って、すごく不思議なフレーズだ。二倍って、なんの二倍だろう。「傷付ける代わりに/同じだけ傷付こう」……。君の傷は、僕の傷でもある。だから二倍、なのか。傷は固有のもの。共有できないもの。だけど、同じ傷を背負うよって宣言する。理解も共感もできないかもしれないけれど、君の話(傷)に耳を傾け、見つめるよ。そういうことなのだろうか。

宇宙であれ水中であれ、そこは僕らが自由に呼吸ができる場所ではない。BUMPはそういった不自由な空間に魅かれているのかもしれない。というより、それが世界のデフォルトなんだって感じてるのかもしれない。

そんなことをふと思いながら歯を磨いていると曲が終わり、口の中が泡だらけだった。明日も仕事だからさっさと寝なくてはならない。「メーデー」について考えながら、僕は眠りに「沈み」こんでいく。


いいなと思ったら応援しよう!