あのときのあいつ

高校1年のとき、美術は選択式科目の一つだったので、複数のクラスが混ざってやる授業だった。

自分は美術の授業を舐めていて、どうせ作ったものを半笑いで発表するようなやつばかりで、まともな何かを生み出すやつなんていないだろうと思っていた。(今の自分は、何かを生み出せない人にとっての美術の授業が純粋な苦痛の時間であることはわかっているが)

油断していた自分が衝撃を受けて、今でも鮮烈に覚えている作品がある。既存の楽曲を絵にして表現する課題で、やはり半笑いの発表が続く中で、別クラスの知らないやつが『We Are The World』をテーマにして作ったものを発表した。それがものすごくカッコ良くて、絵がうまいとかおしゃれみたいなレイヤーの話ではない表現の力を持つものだと感じて、見た時の記憶が自分の中に残り続けている。

高校2年になって、それを作ったやつと同じクラスになって、夏休み明けくらいに席が近くなり仲良くなった。美術の授業で『We Are The World』をテーマにした作品を発表していたやつだと後から気づいたとき、めちゃくちゃ嬉しかったな。



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