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ETF分配金捻出売りとは?意味が分からな過ぎたので調べてみた

6月下旬頃から「ETF分配金捻出(換金)売り」なるワードをXで度々目にするようになりました。
売り圧力が強まる、ということだったので、嬉々として日経225ショートポジを組んだところ、絶賛踏み上げにあい、60万ほど損切りするハメになりました(涙)。

「ETF分配金捻出売り」が何なのかまったく知らずに乗っかった自分に全責任があるとして…後学のため、捻出売りとはなんぞや?について調べてみました。

なお、素人が自分用のメモ程度に書いているものであり、内容の正確性については責任を負えませんのであしからず。


1.ETFとは

(1) ETFについて

そもそもETF(Exchange Traded Fund、上場投資信託)とは、証券取引所に上場し、株式のように取引される投資信託をいいます。通常、何らかの指数(日経平均など)に連動するように設計されています。
とりあえず、取引所で売買できる投資信託、ということだけ理解しておけばOKかと思います。

さて、このETFですが、株式などと同じように、分配金が出ます。
ETFは投資信託(=複数の株式がパッケージ化されている)のようなものですから、その投資信託の投資対象株式から分配金が出れば、それがETFの分配金の原資になります。

(2) ETFの決算日と分配金について

通常、企業には決算日がありますが、ETFにも決算日(=分配金支払基準日(分配金を受け取る権利を得られる日))があります。

日本のETFの決算日(分配金支払基準日)の多くは、1月と7月に設けられているようです。この理由は以下。
 ① 国内企業の多くが3月末に決算を迎える
 ② 3月末決算の企業は、6月下旬ごろの株主総会で配当金額を決定する
 ③ ETFは、投資対象の株式の配当金額が決定したタイミングで決算を行うため、その直後の7月に決算日を設定している
 ※1月も同様の理屈

2.ETF分配金捻出売りとは

さて、分配金捻出売りは、上述のとおりETFが分配金を支払うために行う売りということですが、私の主たる疑問(理解が及ばなかったところ)は、(1)で記載したとおり「投資対象株式から分配金が出れば、それがETFの分配金の原資になる」という点で、株式の分配金をETFの分配金に充てるのであれば、株式自体を売ること(分配金捻出(換金)売り)は必要ないのではないか?という点でした。

これが調べても調べても難解過ぎましたが…主に以下の2つの要因から分配金捻出売りが発生するということのようです。

(1) 配当落ちに伴う事前の先物買い建ての反対売り
(2) 分配金が足りない場合の現物株式売り

それぞれ見ていきます。

(1) 配当落ちに伴う事前の先物買い建ての反対売り

これを理解するには、まず「配当落ち」自体を理解する必要があります。

「配当落ち」とは、1株当たりの配当金の金額が株価から削げ落ちることを言います。
例えば、株価100円の銘柄があったとして、1株当たり配当金が5円の場合、配当権利落ち日に株価が95円になること、です。
(権利付最終日が3月27日の場合、3月27日まで保有しておけば5円の配当金を得られるので、株価はそれを織り込んで100円のままですが、3月28日(配当落ち日)になると5円を得られる権利がなくなるので、理論上、株価(価値)が5円分失われて95円になる、という理屈です)

つまり、配当落ち日になると、株式に投資しているETF資産の価値は配当落ち分下落することになります。

ETFとしては、この減少分を先物で買い建てておく、ということをするようです。
(「指数との連動性を保つため」、とのことですが、ここの理屈は正直よく理解できていません。保有資産のうちのリスク資産割合を一定に保つためでしょうか?)

超!適当な想像図(過信厳禁)

そして、この買い建てておいた先物を、ETFの分配金の支払いに合わせて決済する(売る)ため、この分の売り圧力が生じるということのようです。
同時に、ETFの分配金の支払いの前には、現物株式の分配金の支払(未収金の回収)もありますから、これもETFの分配金支払いに充てることになります。
(株価の下落を見越して、指数連動性を保つために買い建てておいた先物を売却して問題ないのか?という点はよく分かりませんでした。すでに現物株式が次回の配当金支払に向けて株価に織り込み始めているからよい、ということなのでしょうか・・・?)

(2) 分配金が足りない場合の現物株式売り

こちらは至って単純で、配当金や利息収入の不足を補てんする目的の現物売りです。
ETFの分配金の原資は、主に保有する株式からの配当金になりますが、得られる配当金が予想よりも少ない場合、ETFの分配金を支払う現金が不足することから、現物株式を売却して現金を捻出するというものです。

3.ETF配当金捻出売りによって本当に株価は下落するのか?

さて、結局分かったような分からないような感じになってしまいましたが、一応のところ、先物と現物の両方で1月と7月に売り圧力があるということは認識できました。
2024年7月の捻出売りは8日と10日に合計1.1兆円程度と見込まれているようです。
(現物と先物の1日の売買代金と比較すればどのくらいの影響力があるかは分かりそうですが、現状そこまで調査する気力は湧いていません)

さて、2024年は結果的にどうなったかというと、捻出売り日に向かって(ないしは捻出売り当日に)売りトレンドになり下がっていくなんてことは全くなく、捻出売りの1週間くらい前から始まった上昇のバンドウォークの勢いそのまま爆上げする結果となりました。

4.学んだこと

日経やTOPIXが爆上げし出してからは、売り圧力がどうのこうの言っていた層も消え失せ、しまいには「ETF分配金捻出売りは織込済」みたいな話も出てきました(酷すぎる・・・(涙))。

私が今回爆損して学んだことは以下です。

  • 毎年の恒例行事であるETF分配金捻出売りについては、トレンドを転換させるほどの売り圧力はない(2024年は少なくともなかった)。

  • そもそもみんなが知っているイベントについては、「織込済」とかいうパワーワードがある限り、どっちにも動き得る。(当然、イベントまでの値動きも考慮する必要はある。また、サプライズイベントについてはこの限りでない)

  • どの投資系インフルエンサーも今回の爆上げについては予想外的なことを言っていたことからも、ファンダメンタルズを過信し過ぎるのは危険(素人考えで齧った知識でこうなるはずだなどという妄想は自信過剰すぎ)であり、基本はテクニカルベースでポジションを取った方がよい

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