100万部ベストセラーが投げかけたもの。
人類にとって素晴らしい。しかし!
じつは恐ろしいフィクションという名の怪物。
『FACT FULNESS ファクトフルネス』
10の思い込みを乗り越え、
データを基に世界を正しく見る習慣
ハンス・ロスリング
オーラ・ロスリング
アンナ・ロスリング・ロンランド 著
昨年100万部を達成したビジネス書のベストセラーにして世界的なベストセラー。
ビルゲイツやオバマ元大統領も絶賛したことで
知られる『FACT FULNESS ファクトフルネス』。
じつは著者のハンス氏は、
2017年に癌で他界されているのです。
癌の末期と宣告されてもなお、本書を完成させることに最後の情熱を傾け、御子息と御子息の夫人の協力を得て出版された、遺書ともいうべき本だ。
横文字のタイトルを見ただけで小難しいビジネス書に思えたり、頭のよい人が読むもので、私には関係のない本と思うかもしれませんが、
これは、
全員が読むべき〝ノンフィクション〟
だとお伝えしておきます。
賢さを手に入れるための判断基準を、事実(ファクト)を元に、人類の思い込みやレッテル、勝手な見方や偏見をバッサリ斬る本と言えばわかりやすい。
著者には、ベストセラーにしたいという気持ちはなく、後書き読めばわかりますが、ただ人生に費やした研究成果を、誇り高い精神で書き残したと思うのです。
記事タイトルに「フィクション」という言葉を使ったのには理由があって、同じく世界的ベストセラーになった『サピエンス全史』の中に、
人類はいつ誕生し、どのような過程を経て今に繋がるのか?という最大のテーマにチャレンジし、その大きな理由は、認知革命にあった。
その認知革命とは、シンプルに言えば妄想であり、フィクションを作り上げる能力によって、
他の種族や動物たちをやっつけて人類の繁栄につなげたという話からなのです。
分かりにくいかもしれませんが、
認知革命=妄想力=フィクション
を共有す力のことで、
例えば、日本人とかアメリカ人とか、当たり前に僕たちは言っているけど、そもそも日本人という概念も、アメリカ人という概念も、正しくは皆平等な人間なのに、区別することにより共通の部分を作り出し生活する。
また、田舎が同じだとわかると、昨日まで他人でしかなかった人に急に親近感が湧いて仲良くなるというのも、根拠となるものが田舎という共通部分を見出しただけ。
人間社会は互いに目には見えない世界を共有して団結したりもする。
国も信仰も目に見える形は存在しないのに、キリスト教信者は実存しない神なるものを信じるし、お金だって単なる紙なのに、大事なものと信じる。よく考えれば、全部フィクションでしかない。
ファクトフルネスには、
膨大なデータという事実を通して、人間が陥る情報の罠、偏見や思い込みの罠、簡単に分類して考えたり、例えば富裕層と貧困層とか、先進国と後進国とか、または、人をキャラ化して、単なるキャラでしかないのに、その人を勝手にイメージしたり、決めつけたりなど、とにかくフィクションが大好きだ。しかし、怖いことでもあるとの警告が秘められている。
きちんと現実、変化、冷静な判断をしないと、とんでもない行為、間違えた判断、間違えた解決方法を正しいと思い込み、平気でやってしまう。
だから、メディアの一方的な情報や、日常で接する他の情報、自分の思い込みにも、疑いを持つことから始めなさい!!
ほんとうなのか??
と。
著者はこう締めくくります。
「わたしは知識不足と闘い、事実に基づく世界の見方を広げることに人生を捧げてきた。
(中略)
真の知識を広めて人々の世界の見方を変えることがなぜこれほど大変なのかがわかり始めた。いまそのことにゾクゾクするほど興奮している。
(中略)
事実に基づいて世界を見れば、世の中もそれほど悪くないと思えてくる。これからも世界を良くし続けるためにわたしたちに何ができるかも、そこから見えてくるはずだ」
本書が贈る魂の叫びこそ、
世の中は良くなっていくんだ!
もっともっと良くしていけるんだ!
なのです。