小さなトゲトゲで覚醒剤を検出する新センサー
ダメ絶対!おなじみの覚醒剤ですが、それを取り締まるのも意外と大変なようです。
怪しげな粉が覚醒剤かどうか調べるにも現代の科学技術が使用されており、どれもそんなに簡単な方法ではないんです。
例えば、質量分析法や液体クロマトグラフィー、イムノアッセイ、表面増強ラマン散乱などなど、普通の人には聞きなれない方法を使えば、調べることはできるようですが、どれも前準備が必要だったり、大型な装置が必要だったりと、素早く簡単にというのはなかなか難しいんですね。
そこで今回紹介する研究グループは覚醒剤の一種であるメタンフェタミンを簡単に素早く検出する技術として、小さなトゲトゲであるナノニードルを使ったセンサーを開発しました。
それでは、覚醒剤メタンフェタミンを超簡単に検出する方法について一緒に見ていきましょう。
ナノニードルセンサーの作り方
まずはナノニードルセンサーの構成ですが、基板の上にアプタマーと呼ばれるメタンフェタミンに反応する物質を塗ります。この時にはまだトゲトゲはないですね。(下図a1)
ちなみにアプタマーとは何かの物質の名前というわけではなくて、特定の物質があると反応する人口的に作られたDNAやRNAの総称だそうです。
その上に、ブルサイト型の水酸化コバルトのトゲを生やしていきます。なにやら難しい名前が出てきましたが、あまり深く考えなくても大丈夫!目に見えないぐらい小さなトゲができたんだなぐらいのイメージで良いでしょう。(下図a2)
そして最後に、アプタマー層の上に乗ったトゲトゲ全体に対して疎水化、つまり水をはじく処理をしてあげます。(下図a3)
こうしてできたナノニードルセンサーは、従来使われていた手法よりも簡単にメタンフェタミンを検出できるようです。
ナノニードルセンサーの原理
これまではメタンフェタミンの検出に光(蛍光)を使った方法やしっかりした分析器を使った方法がとられてきましたが、この研究で開発されたナノニードルセンサーでは液体の接触角を測定します。
接触角とは液体が固体の基板についたときにできる角度のことで、転がりそうな丸っこい水滴の場合は接触角が大きく、逆にべちゃっと基板表面が濡れているときは接触角が小さいといいます。
つまり、ナノニードルセンサーの上にメタンフェタミンが含まれているかもしれない粉を溶かした液滴を垂らしたときにできる表面の違いを観察することで、それがメタンフェタミンなのか、それとも違う物質なのかがわかるという仕組みになっています。
たしかに、粉を水に溶かして垂らすだけなので、いちいち大きな装置を使う必要もないですし、長い時間をかけて反応させる必要もありませんよね。
もしメタンフェタミンが含まれている場合は、液滴は接触角が小さくなり、逆にメタンフェタミンが含まれていない場合は時間が経っても液滴の形は変わらないようです。
この液滴の形をカメラで撮影するだけという方法で、メタンフェタミンの有無を確かめるという意外と簡単そうに見えるやりかたというのも驚きですよね。
また、温度が高いときやメタンフェタミンの濃度が高いときほど液滴が劇的に変わるようです
最後に
覚醒剤と聞くと恐ろしいイメージが浮かびますよね。
実際調べてみると、どうやら覚醒剤の一種であるメタンフェタミンはうつ病や統合失調症の緩和のために医療用としても使われているようです。とはいえ、必ず病院を通して容量用法を守らないと怖いなと感じます。
参考文献
Automatic Sensing Setup for Methamphetamine Based on the Reactional Wettability Variation Strategy
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsomega.0c04995
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