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2025年度の創業融資、どうなる?:日本政策金融公庫の動向を徹底解説

公開日 2025年1月20日 最終更新日 2025年2月14日

「2025(令和7)年度の創業に向けて、資金調達の準備は進んでいますか?」

起業における資金調達は、最初の大きな壁です。特に創業期は、日本政策金融公庫の融資制度が重要な選択肢となります。2024(令和6)年度には、制度の拡充がありましたが、2025(令和7)年度にはさらなる変化が見込まれます。

本記事では、日本政策金融公庫の支援策の最新トレンドを解説します。2025年度以降を見据えた融資戦略のヒントを掴みましょう。(参考ブログ:【2024年4月最新版】拡充された創業融資制度のご紹介


この記事の目次

日本政策金融公庫の支援策:近年の主な変化

日本政策金融公庫は、起業支援を強化しており、令和2年度以降も毎年のように融資メニューや制度を拡充してきました。以下は、令和2年度を基準とした近年の主な変化です。

年度主な変化・トレンド令和2年度創業や新事業への支援: 女性・若者/シニア起業家支援資金の拡充(実績に応じた金利引下げ)、新事業育成資金の拡充(J-Startup企業への支援※1)。令和3年度創業・新事業支援: 新事業育成資金の拡充、創業支援貸付利率特例制度の創設。令和4年度創業・新事業支援: 新事業育成資金の拡充(新株予約権付貸付の拡充)、新事業活動促進資金の拡充(第二創業の支援)。令和5年度創業・新事業支援: 新規開業資金等の拡充(民間ベンチャーキャピタル※2からの出資者等)、資本性ローン※3の拡充。令和6年度創業・スタートアップ・新事業支援: 新事業活動促進資金の拡充(新市場進出)。スタートアップ支援: スタートアップ支援資金の拡充。令和7年度創業・スタートアップ・新事業支援: 新規開業資金の拡充(新規開業・スタートアップ支援資金へ改称)。


これらの変化から、以下のトレンドが読み取れます。

  • 創業支援の継続的な重視
    令和2年度以降、毎年のように創業支援に関連する制度の拡大や特例措置の導入が行われている。

  • スタートアップ支援の強化
    令和6年度に「スタートアップ支援資金」が独立。成長志向の高い起業家へのサポートが拡充されている。

  • 支援対象の段階的拡大
    J-Startup企業への支援から、ベンチャーキャピタル出資者、スタートアップ全般へと、対象が広がっている。

  • 資金調達手段の多様化
    資本性ローンの拡充など、リスクマネー※4を求める事業者に対応する制度が整いつつある。

特に注目すべきは、令和7年度の「新規開業資金」が「新規開業・スタートアップ支援資金」へと名称変更される点です。

※1 J-Startup企業: 経済産業省が推進する、有望なスタートアップ企業を支援するプログラムに選定された企業。
※2 民間ベンチャーキャピタル: スタートアップ企業などの成長が見込まれる未上場企業に対して投資を行う会社。
※3 資本性ローン: 企業の財務体質を強化する目的で利用される、返済期間が長く、一定の条件を満たすと資本とみなされるローン。
※4 リスクマネー: 投資回収の不確実性が高いが、高いリターンが期待できる分野に投資される資金。

2025年度、融資制度はどう変わる? ~「新規開業・スタートアップ支援資金」への改称に注目~

2024年度には「新規開業資金」の大幅拡充や、信用保証協会の「スタートアップ創出促進保証制度」の導入などがありましたが、2025年度はさらに大きな変化が訪れる可能性があります。

「新規開業資金」が「新規開業・スタートアップ支援資金」へと改称される背景としては、成長意欲の高い企業を積極的に支援することで、日本経済や社会課題解決を牽引する存在を育成したいという方針が挙げられます。


「新規開業・スタートアップ支援資金」のポイント予測

制度の詳細はまだ不透明な部分もありますが、これまでの変遷や公表資料から以下のポイントが予測されます。

  • 対象者の拡大・再整理
    従来の「新規開業資金」と「スタートアップ支援資金」が統合される形となるため、対象者要件が一本化される可能性がある。

  • 融資限度額のさらなる拡充
    スタートアップの成長加速を後押しする目的で、必要資金の上限が引き上げられる可能性がある。

  • 金利優遇の強化
    女性起業家や再チャレンジ起業家、ベンチャーキャピタルから出資を受けている企業など、一定の要件を満たす場合にさらに優遇措置が拡大されるかもしれない。

  • 返済期間の柔軟化
    イノベーティブな事業ほど立ち上げ後数年はキャッシュフローが安定しにくいため、据置期間や返済期間の延長が期待される。


創業融資を検討する人へのアドバイス

1. 最新情報のチェックは必須

本記事執筆時点(2025年1月14日)では「政府案」が公表されている段階です。実施段階になると、細部が変わる可能性があります。制度内容を誤解しないよう、定期的に日本政策金融公庫の公式サイトを確認してください。

2. 事業計画書のブラッシュアップ

支援制度は充実してきていますが、融資の可否に関わるのは最終的に事業計画書の内容です。自社の強みや成長見通しを具体的に示す準備が大切です。

3. 資金使途や必要額を明確に

拡充される融資制度をフル活用したい気持ちはわかりますが、まずは具体的な必要額を試算しましょう。無理のない返済計画とあわせて融資を申し込むことで、審査の印象も良くなります。

4. 専門家に相談しながら進める

融資制度や補助金、保証制度など、起業資金の調達手段は多岐にわたります。最新情報に精通した専門家や支援機関と連携することで、最適な資金調達が可能となります。


起業家向けFAQ

Q1. 融資の審査で重視されるポイントは?

A1. 事業計画の実現可能性、創業者の信用情報、業界での経験年数、自己資金の状況などが重視されます。特に来年度以降は、事業の成長性がより重視されると考えられます。

Q2. 事業計画書の書き方が分かりません。

A2. 当事務所では、事業計画書の作成サポートも行っていますので、お気軽にご相談ください。来年度の制度変更を考慮した、より詳細な事業計画書の作成をお手伝いします。

Q3. 自己資金はどのくらい必要ですか?

A3. 自己資金が多いほど有利と言えます。
創業融資で借りられる金額の目安としては、日本政策金融公庫の「2024年度新規開業実態調査」によれば、開業時の資金調達額は平均1,197万円。そのうち「金融機関等からの借り入れ」が平均780万円(65.2%)、「自己資金」が平均293万円(24.5%)を占めています。概算すると、自己資金の2~3倍程度が借入金額の目途と考えられます。これらのデータを参考に、具体的な資金計画を立てることが重要です。


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