英文記事の学習方法と精読の仕方【PBS Newsから】
コロナ渦で何もすることがなかった時になんとなく始めた英文記事の精読。以前の英語のメンターからおすすめされてたまたま知っていた"PBS News Hour"を使っての英文精読をし始めて3年が経ちます。
こちらはアメリカの公共ネットワークであるPBSが放送している報道番組です。個人的に、キャスターはやや左派よりと感じますが右派のよいところを取り入れつつ、という感じで私の信念とも重なっていますのでお気に入りのニュース番組です。
ひとつの記事は短いもので5分から、長いもので16分ほどのものもあります。
ニュース番組全体では1時間ほどの報道に渡りますが、PodcastやPBSのサイト(上記参照)では、各トピックごとに分かれてアップロードをされているため、時間的な負担なく、好きなトピックを選んで精読用の英文ニュースとできます。
PBS News Hourが英文精読教材としておすすめな理由
無料でネイティブの音声が聴き放題
PBS自体が公共ネットーワークのため、ネイティヴであるアナウンサーの訛りもなく、圧力もなく、比較的聴きやすい英語だと思っています。
FOX Newsなどのド派手で謎の美女がアナウンサーをしていたり、口が悪いことで有名な謎な男性アナウンサーはおらず、中立的でアナウンサーとして現地にてインタビューをしたり、さまざまな人の意見を聞いて報道したりと、「中立さ」がお気に入りです。
とにかく「綺麗で教養のある英語」を使うネイティブアナウンサーの音声が無料で聴き放題になります。
音源はPBSサイトから、Youtubeから、Podcast から聞くことができます。
出先で耳だけ空いている場合は、Podcast、目と耳が使えるときはYoutubeで音声と映像を聞いて、観ることもできます。
下記の画像のように、右上に ▶︎ 印がある記事は、映像・音声付きです。
音声がない記事もあるので、それらはリーディング教材にもなります。
英語を学びながら、リアルな時事問題が専門的に学べる
PBS News Hourは、公共ネットワークのPBSにより放送されている報道ニュース番組です。
2023年2月現在、ニュースキャスターと各地へ飛び回り報道をする特派員合わせてメンバー13人でPBSを回しています。
特に目につく特派員が2人います。
ひとりめは、Nick Schifrinで、彼は「外務・防衛担当記者」です。
中国をはじめ、ロシア、ウクライナ、ナイジェリア、エジプト、ケニア、キューバ、メキシコ、バルト海の報道を担当していました。以前は「アルジャジーラ・アメリカの中東特派員、ABCニュースのロンドン特派員、アフガニスタン・パキスタン特派員を歴任」とのことで、世界情勢に詳しい、外交報道の専門家です。2014年には激戦地のキエヴに1ヶ月滞在し、現地からの報道を続けたそうです。欧州にとどまらず、ガザ地区でも報道をしています。
彼のような専門家の知見を無料で報道として聞けること、スクリプト付きで英語を学べることは、かなり価値のあることだと思っています。
彼が担当する報道ニュースはこちらから聞くことが可能です。
ふたりめは、Jane Fergusonです。
彼女は、ニューヨークを拠点とする国際的な特派員です。
彼女の報道で印象的だったのは、2021年春ごろの米軍アフガン撤退時の報道です。ヒジャブを被り、男性ばかりの混沌とした現場で取材をしている姿が印象的でした。
ウィキペディアによると、Nickと同時期ほどにアルジャジーライングリッシュで報道をしていたそうです。彼女はイギリス人ですので、Nickが当時働いていたアルジャジーラアメリカとは異なります。
上記ふたりは国際特派員として、世界情勢を取材、報道していますが、他の特派員の中では、ホワイトハウスの専門だったり、一般的な人々の暮らしから社会、経済の変化を報道する特派員だったりと、少人数でかなり広い範囲をカバーしています。
そのため、世界情勢からアメリカ国内情勢まで幅広く学ぶことができます。
英文精読に関して、私は、他の英文ニュースはほとんど見聞きしません。
PBS News Hourの方向性や特派員が好きですし、複数の教材をパラパラやるよりもひとつのお気に入りの教材にじっくりと取り組んだ方がよいと信じているからです。
無料でスクリプトを読める
PBS News Hourでは、各記事のスクリプトを見ることができます。
なぜ、スクリプトが大事かというと、リスニングで聞き取れない音はスクリプトで単語やフレーズを確認しないと永遠に聞き取れないからです。
PBS News Hour はほとんどの記事にスクリプトがついています。
記事がアップロードされてすぐのものはまだスクリプトがついていないものもありますので、スクリプトが出来上がっているものを選ぶようにします。
最終的にはスクリプトをすべてコピーアンドペーストして、DeepLに翻訳をかけて、どの単語がどのように意訳されるのかを確認することができます。
日本語ネイティヴの場合、このような本格的な英文ニュースをいちど聞いただけでは何を言っているのかを大まかに捉えることも難しいでしょうから、リスニングでわからなかったところは、スクリプトを参考にします。
海外ニュースの学習の方法
英語学習をしている上で、よくおすすめされるのが「英文ニュース」を聞くことかと思います。
「英文ニュースがいいよ」とはよく言われるけど、何のニュースをどのように聞いて、どのように英語学習に繋げていけばいいかわからない、と感じる方も多いと思います。
実際に、5年前に英語メンターの先生に「英文ニュースを聞きなさい。これとこれがおすすめだよ」と言われた時もなかなか腑におちず、言われたままに英文ニュースを読んでいました。おすすめの英文記事を指定されないと何となく取り組む気がしなかったのです。
英文記事の選び方
英文記事の選び方としては、
無料のネイティブの音声が聞ける
動画付き
スクリプトがついている
ことです。
「海外ニュース 初心者向け」「海外ニュース 中級者向け」などと検索すると、おすすめの英文ニュースがパッと出てきます。
個人的には、初心者には VOA Learning English
おすすめされているニュースをざっと見て、自分のお気に入りの英文ニュースを見つけてもいいですね。
私が愛用しているネイティブキャンプにもDaily Newsと言って、毎日3記事更新される英文ニュース教材があります。
手始めに、英会話レッスンの無料体験で英文ニュース記事教材を受講してみてもいいかもしれませんね。
私は、格安オンライン英会話スクールのDaily Newsにも少し飽きてきたところなので、何かリアルな時事問題を学びたいと思いPBS News Hourを毎日1記事精読することに決めています。
最初は2〜3時間以上かかっていましたが、今では1時間くらいに縮まりました。
PBS News Hourの記事に絞っているためか、使われている語彙も何となく似ており、以前学んだ語彙に再会することもよくあります。
そうすることで、学習の定着化も進みます。
海外ニュースの学習手順
まず、英語学習における基本的なリスニングは以下のように行います。
リスニング
語彙の意味の確認
聞き取り
パラレル・リーディング
シャドーイング
こちらは、私の愛用しているネイティブキャンプの「リスニングマラソン」に記載されている方法です。
1、の「リスニング」については何も見ずにリスニングを行います。
「何もわからない」「聞いていても意味不明、リスニングつらい」と思う方もいるかもしれませんが、普通のことなのでそんなに落ち込まなくて大丈夫です。最初からできたら、苦労することはありません。自分ができないことを見つけたら、伸びしろしかない!と開き直っていきましょう。
大事なことは、「記事の大まかな内容を把握する」ことです。
5W1Hで考えていきましょう。
When
Where
Who
What
Why
How
VOA LEARNING ENGLISHのYoutube動画を観ていきましょう。こちらはネイティヴキャンプのリスニングマラソンでも使用されている教材です。VOAはとても有名で、とりあえずおすすめできる教材です。
こちらのYoutube動画を聞いて、内容を大まかに把握できるか確認します。
下に字幕が出てしまっているので、見ずに聞くだけですよ!
2、「語彙の意味の確認」は文字通り、リスニングでも聞き取れず、スクリプトをみてもわからない語彙の「意味、発音、文法的な使い方」を理解していきます。
わからない単語を、メモ・ノートに書き出していきます。
スクリプト
3、次は「聞き読み」です。ネイティブキャンプのリスニングマラソンではこのように呼ばれていますが、意味を確認し理解した上で、再度リスニングをして、先ほどはわからなかった意味を理解できるか、を試します。
ここで分からない語彙がある場合は、再度意味を確認しましょう。
分からなければ、英英辞典を使うかググりましょう。
4、パラレル・リーディングです。音声を聞きながら、テキストを目で追い意味を理解していきます。
語彙の意味を理解していると思うので、英文を聞きながら何を言っているのかイメージができるようになるのが理想ですね。
また、英文を読みながらしっかりと口から英語を発することも大切ですね。
通勤やカフェでのパラレル・リーディングはなかなか難しいかもしれないですが、時間を作ってやり残さず進みたいですね。
5、はシャドーイングです。テキストを見ないで聞こえた音声を口から出していきます。
ポイントとしては、
だそうです。
実際のシャドーイング動画
実際に私もシャドーイングをしてみました。
Youtubeの音が大きすぎてあまり私の声が聞こえていません。
実際にシャドーイングをしてみると、聞き取れないところが結構あります。
今回紹介した、ネイティブキャンプでも紹介されているリスニングの仕方の5つのステップを踏むことで確実に英文ニュースを聞き取る力があがるでしょう。
面倒くさい、こともありますが、やらなければそれでおしまいです。
疲れたら休憩しつつ、のんびりとリスニングを続けていくのもおすすめです。
PBS News Hour の記事のシャドーイングもしてみました。
パソコンから出てくる音声を聞きながら、聞こえた英語を口から出すのは結構難しいですね。これは実際にシャドーイングをした人しかわかりません。
自分の声が重なってクリアに音も聞こえないですし。
スクリプトはこちらです。
いくつもの箇所がうまく言えていません。
例えば、"It's been nearly a year…"の箇所は、現在完了形の概念を理解していれば、聞き取れるはずです。
逆に現在完了形を知らなければ聞き逃してしまいます。
"the United States labeled Russia's actions there as crimes against humanity." "米国はロシアの行為を人道に対する罪と認定した"
とありますが、labelの単語イメージが理解できていないと、聞き逃してしまいますし、4つのasの意味がわかっていないとこれも聞き逃してしまいます。
label の意味を英英辞典で丁寧に確認していきます。
英英時点によると、「不公平に記述する」という意味なので、「レッテルを貼られる」のような意味合いなのかな、と仮定することができます。
asには複数の意味があります。
今回使われているasの意味は、英英辞典によると、「ヒトやモノが何か他のものに見える」時に使われるということです。
このように分からない単語・語彙を丁寧にひとつひとつ理解していく作業はとても大変ですが、毎日少しずつやっていけば1年で語彙力は必ずアップしていくはずです。
同時に、世界情勢を理解する力もついてくるでしょう。