2022 大晦日
もう大晦日である。今年は年末体調を崩し、正月の用意がなにもできなかったが、昨日、センリョウの鉢としめ飾りをなんとか届けてもらった。障子の張替えも、窓ふきもできなかったが、朝、庭を掃いてセンリョウの鉢を置いたら、心ばかりの正月を迎える風景となった。
庭先にいると、家の前を顔なじみの方が通っていく。朝、同じ時間帯に家の前をウォーキングやジョギング、犬の散歩で通る方たちである。私について庭に出てくる飼い猫のクロちゃん目当てのジョギングするおじさんが、今日も挨拶をしてくれた。このおじさんは、遠くからでもクロちゃんを見つけると、大きく手を振ってくれる。ゴールデンレトリバーよりも大きい、プードルの原種を散歩させる女性もお馴染みさんである。小柄なその女性が、どちらかといえば、プードル君に引っ張られて散歩している。
ご夫婦でウォーキングをするご夫婦とも、目が合うとどちらからともなく、挨拶をする。このご夫婦は型が同じで色違いのウィンドブレーカーを着ていたり、ご主人が黒で、奥様は白でコーディネートしたり、おしゃれが共通の趣味であることをうかがわせる。夫婦で一緒のテンポで歩くには、両方が相手にあわせなくてはならないはずだ。長年一緒にいると、二人でいる時は、両者が共に心地よい波長にチューニングされるのだろうか。奥様は時々、どこか道端で見つけてくるのか、知人宅でわけてもらうのか、季節の草花を手にしている。夏なら小判草とかつゆ草、秋ならシュウメイギクなどなど。
今朝は、珍しくご主人お一人だった。
「今日は、おくさまは?」
と、尋ねると掃除をしていて転び、足を痛めたという。
「いつもどうでもいいことばかりしゃべってるんで、たまには一人もいいものですよ。」
そう言いながらも、見ると椿を一枝手にしている。奥様へのおみやげだろう。
「早く良くなられるといいですね。」
そう言ってセンリョウを一枝折って渡し、見送った。
ひとり身が寂しいと思うのは、こんな時である。