映画健忘録:あの頃、きみを追いかけた(2011)/キデンズ・コー
映画を毎日観ています、えり(@errnzabesu2)です。本当にたくさんの作品と表現がありますが、何を感じてどう思ったのか、特に響いたものや素晴らしいなと思った作品の健忘録です。社会派作品が好きです。
2020年133本目。
学生時代の淡くて脆い気持ちになる、男子高校生がクラスのヒロイン的存在の優等生に恋をする、王道青春ラブストーリーの傑作。
日本でもリメイクされていますが、2011年に台湾で作られた作品です。
台湾出身の監督自身が学生時代に経験した実話の小説が大ヒットして映画監督もやりました!という作品。
この作品・監督のすごいところは、直接表現と間接表現の使い分けとさじ加減が絶妙で淡くて切ない、純粋なキュンとした気持ちを思い出す素晴らしい作品です。
1994年、携帯が無い時代。冒頭の通学シーンが活気に満ち溢れてて、一気に学生時代の気持ちへ連れて行ってくれます。台湾と日本で違う部分があるのかなと思いましたが、違和感ないです。
友達や学校生活の説明もユーモアに飛んでる。健全な下ネタやキャラの濃い友人たちで、こんな作品かな?と思わせておいて…いざ恋愛に進んでいくと、真剣そのもの。純粋でまっすぐな好きな気持ちって尊くて、壊れやすいほど脆くてその時にしかできない形。
面と向かって想いを伝えようとする、直接的な表現はなかなか噛み合わなくて、あぁ〜もう!歯痒い気持ちになります。
お互いの目線、友人との会話、勉強など間接的な表現でどれだけ好きなのか。馳せる想いにこちらがやられます。
何よりも。手を繋いだりキスをしない!
今どき珍しいですよね。私は部活のために学校に通ってた人間だったので、浮いた話に縁がない人も共感できるところ。
『手を繋ぐ…のか?』まで、二人の気持ちや距離感を多彩な視点と色々な行動で表現されています。王道ストーリーでも飽きないし、やりすぎじゃない?と思う演出さえも世界観に引き込まれていきます。
主人公目線で物事が進んでいき、男子高校生の脳内で起こってることを具現化した表現も見られます。私は女なので、ついヒロインに感情移入してみてましたが、男性ならもっと主人公の気持ちに共感できるのでは?とも。
他人の成就しない恋愛模様で何が自分のためになったのかって?
自分の学生時代を振り返り、嫌なことばかり覚えているもんで、あの時何を感じていたのか思い出してました。
高校1年生の始め、やんちゃ系男子に体のことで からかわれたことや家庭環境の悪化で、完璧主義や正論一般論主義に拍車がかかる一方、性格が捻くれていきました。この映画のような高校生活はありませんでした。でも、映画は楽しめました。
ちなみに、映画の師匠(勝手に私が呼んでる)に同じ話をしたら、僕の人生に関係ないと一蹴されました。映画や音楽ってなかなか合わないんですよね。私の想いは共有されなかった、ぴえん。
似てる作品
冴えない根暗な社会人主人公が、職場で恋した女性のため、なけなしの根性を奮い立たせ、恋敵と決闘するまで。
「何者」が有名作品のひとつ、三浦大輔監督はとにかく「生々しい」という表現がぴったりのリアリティ。ファンタジックな部分はありませんが、格好悪い部分って誰しも持ってるし、惹かれて観ちゃう。
気弱で貧弱な主人公が恋した相手のために、恋敵と一目瞭然の身体的ハンデを顧みず「好きな気持ち」で相手をぶちのめす逆境ストーリー。漫画原作。
試合に負けて勝負に勝つ、みたいな作品。