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アイと夢の部屋 vol.4 私たちはもっと可憐に生きていけるはずなのに
【月に住む架空のキャラクター、マルエリナ(左)とフィーナ(右)が就寝前に毎回異なる物事やテーマについて語る対話式エッセイの第四回目。】
今回のテーマは「人間と社会」
マ)人間の社会ってちょっと奇妙だわ。
フィ)どういうこと?
マ)無駄なことが多すぎる。怖い顔で生きている人が多すぎる。私たちはもっと可憐に生きていけるはずなのに。
フィ)エリナちゃんは人間に詳しいわよね。私にも教えてほしいわ。
マ)もちろん!そうね。人に対する執着が強いって本当に思うわ。普通は、恋をして醜くなることもなければ、さみしさを持て余し、自堕落に過ごすこともないもの。昔の友達に執着せずともいられるはずなのに。
フィ)ええ。
マ)社会が結婚や就職を前提にできている。だから人はそれに縛られる。
フィ)ええ。
マ)そもそも前向きでできる人が社会を作っているから、合わない人がつらすぎるのよ。
フィ)うん。
マ)小中高運動部でスポーツをやっていて、そのスポーツというよりは、努力して勝つことが好きだった人たちが。
フィ)うふふ、すごい偏見。
マ)もしくは学問の面白さそれ以上に、優秀なことや希少価値があることに魅力を感じ、小さい頃から勉強や留学に励んでいた人たち。
フィ)ふふふ、否定はしないけど。
マ)競争して勝たなければ、資産を得られない。本当は好きなことをして、好きなものに囲まれて暮らすこともできるはずなのに、社会や親からのプレッシャーで抑圧されている。
フィ)たしかに、やりたいことをやっている人はすごく限られているわね。
マ)わたしが人間だったら40で死ぬわ。劣化していく身体で生きている意味がわからない。子供も無理して生まない。ずっと自分のために生きるの。それが耐えられるから。
フィ)でも年とともに精神は熟成していくわ。思考や哲学もたまっていく。
マ)そうね。そういう楽しみはあるわね。
フィ)人はきっとなにかしら生きる意味を見出しているのでしょうね。家族の成長だったり。
マ)そうね。
フィ)40歳までのライフプランは?
マ)普通の人だったら30ちょっとまで働いて、あとは遊んで暮らすわ。よくわからない保険も入らない。老後の貯金もしない。すごく好きな人がいたら全然ありだけど、無理して結婚しようとも思わない。妥協でできた幸せに意味ってあるの?
フィ)ええそうね。結婚したら幸せだと考えるのは安直だし、危険だわ。
マ)うん。お金があるっていうのは優雅よ。でも上へ上へと際限なく求めることは少しも優雅じゃない。自分の稼ぎを、人間社会の慣習ではなく、心の求めに応じて使うのが優雅なのよ。
フィ)好きなものがあったり、やりたいことを追いかけられるのって幸せね。子供時代に価値観はつくられる。自己肯定感が低いとまずそれを補うことに意識がいくから。
マ)本当にそう!好きなものを得て生きていくことって本当に難しい…。親は選べない。
フィ)うん。
マ)そんなこと誰も同情しない。
フィ)うん。
マ)前世の行いとか言われても、どうしようもできない。私たちにできるのは今ある幸せを愛と感謝をもって享受すること。少しでも未来を前向きに考えること。過去の自分を認めること。
フィ)ええ。そして人を認めること。「どうしてこんなことするの?」とか、人の倫理観や道徳観に嫌悪することも本当は必要ないはずだから。
マ)ええそうね。そういう人だと思えけばいいだけ。他人に誹謗中傷する人たちの気持ちは私も理解できない。怒ったりする意味がわからない。長く付き合うなら、「こうだと嬉しいんだけど」と、打診するのはもちろんありだけど。
フィ)ええ。人間って不思議ね。私たちには理解できないことが多すぎる。
マ)ええ、本当に。ねぇそろそろ眠くなってきたよね。
フィ)うん私も。そろそろ眠ろっか。
マ)うんおやすみ。
フィ)おやすみ。
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