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アイと夢の部屋 vol.2 素直に生きるということ
【月に住む架空のキャラクター、マルエリナ(左)とフィーナ(右)が就寝前に毎回異なる物事やテーマについて語る対話式エッセイの第二回目。】
今回のテーマは「素直に生きるということ」
マ)ねぇ、素直に生きたほうがいいってよく言うじゃない?自分らしく素直に生きたほうが良いことがあるって。
フィ)ええ。
マ)でも素直に生きれば生きるほど敵は増えるわよね?とくに対人関係の問題は。それでも素直になった自分のそばにいてくれる味方は本当の味方だから、そのほうがいいってこと?
フィ)そういう考え方もあるわね。それに敵がいること自体、問題って思わない人もいるわよね。ミラが言ってたんだけど、「生きていると私を殺すのが趣味かって人に出会うことがあるけれど、そういう人は私に時間を殺されている。そういう人はそうやって、そういう時間軸で地獄の時計で生きていけばいい」って。
マ)ミラって怖いこと言うのね。たしかにミラぐらい自由に生きていたら敵も多いのかもしれない。でも言えてるわね。
フィ)ええ。私、本当に素直に生きていこうとすると欲望によってはひとりになってしまうかもしれないって思うことがあるの。だから絶対自分を好きでいてくれる味方がいるって思えるときは、素直に生きていく勇気があるけれど、そう思える人って実は少ないんじゃないかって。だから本当に素直に生きている人って少ないんじゃないかしら。
マ)ひとりで生きていくのってすごく勇気がいることだもんね。
フィ)ええ。大抵の人は1人では生きてけないから折り合いをつけるのよ。でもときどき本当に1人で生きていけちゃう人もいる。この1人でっていうのは誰とも関わらないっていうことではなく、誰にも心を開かないでって意味ね。
マ)うん。エイテリアンツさんがそうかしら。「私は1人で生きていけるけど、1人で生きていくという選択をしなければいけないというわけではない」って言っているのを聞いたことがあるわ。「あなたは強いね」、「一人で生きていけるんだね」だなんて言われてもそうするかは個人の自由よね。
フィ)そうね。「1人で生きていける」と「1人で生きていきたい」はイコールじゃないもの。
マ)そのためには自分に素直になることと、相手の気持ちに立って考えることのバランスをとることが必要になりそうね。ねぇフィーってミステリアスな印象があるんだけど、自分について話すことってどう思う?
フィ)そうね。小さい頃と今では考え方が変わったわ。昔は自分のことを話すことは苦手だった。自分のことを誰かにわかってもらうなんて不可能だと思っていたから。でも今はたまには話してみてもいいって思ってる。話すことで自分の知らない自分に出会えることがあるし、なにより相手とのコミュニケーションになるから。すごく。エリナちゃんは?
マ)私も昔と今で考え方が変わってきてる。昔は秘めることが好きだったけど、今は積極的に明かしていこうと思う。昔は自分のことをぜんぶ知られてしまうことが怖かった。けれど今は毎日伝え続けたとて、全てを知り得ないくらい私は深いって思えてるから大丈夫。それにこれが好きとか話しておくと、思いがけない出会いやチャンスが巡ってくるから。それが楽しくて。
フィ)なるほどね。自分のことを話すって意外と良いわよね。誤解されちゃうとすごくもどかしいけれど。言いたいことが言えないよりは素直に生きていきたいな。
マ)うん私もそう思う。ねぇそろそろ眠くなってきたよね。
フィ)うん私も。そろそろ眠ろっか。
マ)うんおやすみ。
フィ)おやすみ。
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