Food HEROseの名称について
オンラインサロンとオウンドメディアをはじめるにあたって、まず考えたのが名称だった。
「名は体を表す」、僕はその通りだと思っている。名前がそのものの本質を表しているとともに、そのものの本質が名前に寄ってくることもあって、名前の魔力、言霊のようなものも秘めていると思っている。
名前がコンセプトであり、ビジョンであり、フィロソフィーであるべきだと思う。そのためサービスの内容を考えるより先に名前から決めることにした。
条件として考えたことは3つ。
①は10代から70代までが、その言葉をみて、意味がわかる(どの分野のサービスかわかる)ことが大事だと思った。自分の名前を入れるパターンもあるが、あくまで提供するのは場であるので、自分が主役になる必要がなく、名前を入れることは当初から考えていなかった(ただでさえインパクトある名前なので)。個人の所有物のようにしたくないというのもあったと思う。
②は、メディア立ち上げに関わってくるのがだ、せっかくやるなら海外からアクセスしたときにもGoogle翻訳を使ってみてもらいたいと思った。それには、わかりやすい英語を使う必要もあった。
いろいろなブランドの名前を見て、そのブランドが何を提供しているのかがわかるのは、小さなスタートアップ企業には大事なんじゃないかと以前から思っていた。造語やたとえばフランス語からとった一瞬では内容がわかりにくい単語を使うことは、それだけで物語に入り込めない、「えっと、これってどう読むんだろう?」みたいなフックは、ある面ではいいこともあると思うが、僕はその「一時停止」は、ない方がいいと思う人間だった。
それは、自分が編集者だからかもしれない。たとえば書籍のタイトルをつけるなら短くて、内容がわかるようなタイトルにしたいと思うし、原稿を書くなら、読んでる最中に疑問を抱かせない(または、言葉の意味を本から離れて調べたりしない)文書を貫いてきたのが多いに関係していると思う。
③は、すべてがわかったときに「じつは」と最後に種明かしで、バックストーリーを入れられたり、身近な人に「あ、あの文脈を採り入れているのね」とわかってもらいたいという暗号のようなもの。それを込めることで、自分と似たような人を引き寄せたいという狙いがある、ある意味で自我、自意識丸出しの条件だ。
こういうのは、後々ストーリーに厚みが出てくると僕は思っている。
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さて、そんな条件を担う言葉とは何か。じつは、あまりまよわなくて、すぐに「HEROES」という言葉がでてきていた。
HEROES、僕を知る人ならぴんとくるだろう。そう、デヴィッド・ボウイの「Heroes(ヒーローズ)」だ。リリースは1977年、僕の生まれ年でもある。
ベルリンで録音された名曲で、ボウイのプロデューサー兼エンジニアだったトニー・ヴィスコンティがベルリンの壁の側で彼と彼の恋人が抱きしめあっている光景をボウイが目撃したことがきっかけで生まれた恋人の物語だ。
もともとは、前述したように恋人同士の歌だが、僕はこの歌に明日の自分を、自分自身がヒーローになる未来を重ねてきた。だから「Heroes」を聴くと20代に一気にタイムスリップして、理想や夢、未来を100%信じられる自分になれる。
メディアやオンラインサロンは、誰もがヒーローになれる、そんなメッセージを込めたいと思っていた。メディアに触れている瞬間、オンラインサロンのイベントに参加したその日は、誰もがヒーローになれる。そんな世界だ。
当初は「HEROES」だけで考えていたが、さすがにそれだと何のサービスかわからないし、他のメディアや作品と被ってしまって検索性も悪いので、食とわかるワードを入れたいと考えた。
サービスの一部をオンラインサロン「料理人2.0」から引き継ぐことは決まっていたなかで、たとえば「CUISINE」とか「料理人」にしばると、サービススタッフやパティシエなどが入りにくいという課題があり、広く飲食人へのサービスというのが伝わるのが検討材料のひとつでもあった。
kitchenやRestaurantも考えたが、kitchenだと家庭ともとれるし、Restaurantだと高級店だけに見えてしまうのもよくないと思った。
そこでもっともわかりやすく「Food」という単語をいれるようにした。
こうして「Food HEROes」という名前が決定したわけだ。①②③がすべてクリアしていて、とても気に入っているサービス名だ。
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ちなみに「es」だけがなぜ小文字なのかというのは、きっと気になるところだろう。
これは、ビジュアル的なフックで、なんとなくかっこいいから。esだけが小文字になることでデザイン性があがるかなと思ったからという、単純なことだ。
あとから言われたことだがHEROはフランス語で「エロ」と発音するそうだ。フランスが好きな僕にとってはニックネームをこっそり隠し入れているというのは、なかなか暗号っぽくて気に入っている。完全に後付けだけど、積極的に語っていきたい小ネタだ。
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