見出し画像

#被災地農家応援レシピ のレシピブックを作ります

私たちには希望がある、それは若い世代に変わってきた意識です。若い世代というのは、いま与えられているものが当然のこと、必然のことではなく、例外的な恩恵であることを理解しているようです。
 食とエコロジー、食と自然という、わたしたちの世代で切り離されてしまったものを、彼らは再びつなげようとしています。
 今から50年前、わたしは14歳でした。白黒テレビで月面着陸の映像を、ワクワクしながら観ていたように、地球の外に出ていくことに希望を持っていた。しかし、今の若者が見ているのは、昔と同じようにテレビやパソコン、スマートフォンの画面をのぞいていますが、見ているのは月ではなく、わたしたちが生きている地球に目を向けているのではないでしょうか

上記は、先月16日、大阪のハグミュージアムで聞いたオリヴィエ・ローランジェ氏の講演の一部で、とくに心を打たれたところだ。講演時代は、サステナブルシーフドについての内容だったが、オリヴィエ氏が過去を認めながら、未来に願いを託すシーンは、感動的だったし、的確に時代を表現していると思った。

#被災地農家応援レシピ  とは何か?

Yahoo!ニュースにもなって、知っている方もいるかもしれないが、Twitter上で、#被災地農家応援レシピ のタグをつけて、料理人が野菜や果物をたくさん使ったレシピを投稿している。台風19号で被災した農家の被害が大きく、復興に時間とお金がかかるなか、できるだけたくさんの野菜や果物をおいしく料理して消費することで、助けになるのではないか、というフランス・ニースのシェフ神谷隆幸氏の呼びかけに、共鳴の輪が広がっているのだ。

僕自身、千葉県の出身で、学生時代、木更津に5年通学していたので、2019年の台風の被害には、個人的な悲しみも含めて、特別な想いがあった。

しかしながら、被災地でボランティアをするわけでもなく、義援金を送ることもなく、人並みに心を痛める傍観者だった。なぜ、しないのか、ではなく、する理由が見つからなかったという方が、正しいかもしれない。

しかし今回、神谷さんとSNS上のやりとりのなかで、「レシピを本にできないかな?」といわれて、それなら編集者の自分にとって得意なことだし、自分らしくできると思った。印刷・制作費を抜いて、収益を寄付するのだ。いいじゃない。それに、神谷さんと一緒だっと、不安もないし、楽しそうだって思った。それが、一番かもしれない。8年前の3.11でも何もしなかった。僕にとっては初めての支援活動だ。

決めておきたいレシピブックの編集方針

僕は、たいそう理屈臭いのと、ひじょうに思いが強い。

そして、心底用心深い。印刷物になるリスクもよく知っている。

レシピ本を制作するにあたって、いろいろな声が入ってくると思うので、それに自分が揺らがないように、編集方針を明確にしておこうと思う。

1.2019年の台風19号の被災農家を支援するのはもちろん、現在、毎年のように数十年に1度災害が発生するような日本において、つねに被災する可能性がある日本全国の農家さんを、持続的に援助できるような取り組みにするための本であること

2.その援助する選択肢の一つとして、農家さんの収益を増やす可能性がある直販システムの利用を活性化させられるような本であること

3.ただし直販には、消費者さん、農家さんともにリスクがあり、すべての人がハッピーになるものではないということも理解してもらえることをつねに頭に入れて編集すること

農家から直送の話になると、どうしても農協との対立になってしまう。それは僕にとっては本意ではない。選ぶ側に選択肢が多くあってほしくて、それぞれの消費者の考えによってそれが選ばれるようになってほしい。その視点は常にもっていないと、この取り組みで、別の人の気を悪くさせては、あまり意味がないと思っている。

また、ひじょうに不謹慎な言い方ではあるが、考え方によっては、こういったことがきっかけで、農家さんを選んで支援することもできるんだよっていうことを伝えることもできる。物事の見方を読者に伝えることを仕事にする、編集者らしい復興支援の方法だと思っている。

レシピブック制作にあたっての課題

レシピブックのイメージはこんな感じだ。これからちゃんと試算はしなければいけないが。。。

・24~30ページ、レシピ数20~30くらい
・500~700円(送料別)
・そのうち100~200円を寄付
・事前注文の合計1000部で印刷

支援者に対してシェフからの御礼としてレシピブックがついてくる、クラウドファンディングのようなやり方をイメージしている。

とはいえ、制作にあたっての課題もある。

・レシピのバリエーションがない
・作ったとしても買ってくれたり、配布したりしてくれるのか

当面は上記2つの問題点をみなさんと共有して、解決していきながら。みなさんのお手元に届けられることを信じて、楽しんでやってみようと思う。

僕たちはいままさに、食と自然のつながりを取り戻し、地球のことに目を向けようとしているのだ。

いいなと思ったら応援しよう!

江六前一郎|Ichiro Erokumae|Food HEROes代表
料理人付き編集者の活動などにご賛同いただけたら、サポートいただけるとうれしいです!