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人生を変える「おいしい」出会いの瞬間。その瞬間を作るのが地方創生のイベントではないか
人生を変える瞬間がある(人もいる)。
僕の場合は、2013年にその瞬間が訪れた。東京・銀座の二つ星フレンチ「エスキス」で開かれたエスキスのシェフ、リオネル・ベガさんと、同じく銀座の二つ星日本料理店「奥田」の奥田透さんのコラボイベントだった。
グランメゾンの空間で、皿やカトラリーもフレンチながらも日本料理としてたたずむ料理の数々は、料理編集者として1年しか経っていない僕にとって、とても刺激的なものだった。
その時食べた「手打ち十割そば」の料理がある。パスタのように盛り付けられたそばを、別添えの鴨のコンソメにつけて食べというもの。
箸を使ってそばをとり、鴨のコンソメにつけてから口に運んだ瞬間「あれ、これってすすって食べていいんだっけ?」と、フランス料理の作法が頭をよぎった。そばなのにそばではなく感じているものは、なにか。食べる作法とはいったいどこから来ているのか。そのとき感じた違和感をすべて言葉にすることができないけど、とにかくその時にデシャンの『泉』から美とは何かに思考を巡らせたときのような、快楽物質が脳内にどばっと噴きだす感覚を得た。
料理は、アートのように人の価値観をゆすぶることができる。とても面白い媒体だと感じ、それ以来、料理(人が意思をもって作った食べ物)を追いかける人生になった。
その時の記事がWebでも展開されているので参考に。
美瑛と木曽に魅せらた二人の「おいしい」出会い
人生を変える出会いは、人それぞれだけど、その出会いは、その人にしか語りえないものだと思う。
10/6(日)と7(月)に代官山の「フォレストゲート」の調理室で、「ローカル・オイシーヌ」というFood HEROes主催の食事会をすることになっている。北海道美瑛町と長野県木曽町の食材やお酒を楽しんでもらうイベントだ。
この企画の根幹にあるのも、じつは「人生を変える出会い」である。
イベントの発端は、主宰しているオンラインコミュニティ「Food HEROes U-30 COMMUNITY」のメンバーに美瑛と木曽にゆかりのあるメンバーがいたことだった。
鄭大羽(チョン・テウ)さんは、東京で働いたのち、自身のルーツである韓国料理を現代的にアレンジしたモダン・コリアンのフリー料理人として活動していた。2022年にはTV番組「CHEF-1 グランプリ」で決勝まで残った逸材です。その大羽さんが、2024年4月に美瑛町に移住して地域おこし協力隊として新しい活動をし始めた。料理人にとって大切な東京の顧客に別れを告げて。
移住の理由を聞くと、「とにかく食材がいいんです。いちばん初めに食べた美瑛のジャガイモが衝撃的で、茹でただけのジャガイモがうまい。この食材が育つ地にいたいと思ったんです」と話した。
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町田さくらさんは、東京で企画会社のOLをしながら、冬の間の2年間、木曽町にある酒蔵「中善酒造店」で蔵人として酒造りをした。もともと日本酒に興味があったなかで、関東の酒蔵で造りを学びたかったそうだが、受け入れ先が見つからなかった。そんなときにたまたま中善酒造店の蔵人募集を見て応募、そこから木曽町との繋がりが生まれた。現在は、木曽町を含む木曽広域連合の地域発信の仕事をして、頻繁に通っている。
「偶然だったのに、なんでそんなに木曽に通っているの?」と聞くと町田さんは「最初は偶然だったけど、今では木曽のお酒が日本で一番おいしいと思うし、木曽の地域が一番いい場所だと思っている」とよどみなく答えた。
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偶然にも2人は埼玉県育ちで、いわゆる「故郷」がなかったのも、地方に目を向けるきっかけだったのかもしれない。だけど、ひとりは移住し、ひとりは地域に通い続けるまでの魅力、人生を左右するその地の魅力とはいったいなんなのだろう。
6月には木曽と美瑛に続けていくことができた。山の中を縫う木曽川の谷間に集落が点在する木曽と、とにかく広大でなんでも大きい美瑛は、まったく両極端に見えた。地域に住む方々とは少しだけしかお話できなかったけど、内側にエネルギーを向かわせる木曽と、そとにおおらかに発する美瑛のように、地勢と人の関係を感じたりもした。
そして同時に美瑛を愛した大羽さんと、木曽を愛したさくらさんにも、同じ20代、同じ地方に目を向ける人ながら、違った興味関心があることにも気づかされた。
「地域創生」という頂の見えない山をどう登るか
食メディアの編集を続けてきたこともあって、「食で地方創生」という取り組みはたくさんみてきた。実際、自分もその中に入って一緒にその取り組みを進めてきたこともある。
そんな経験を経て思うのは、「熱狂的にその土地を愛する人が地域を変える」ということだ。自分も含めてなのだが、都会の人がいくらコンサル的に口を出してもうまくいかない(もしくは、持続性がない)。「熱狂的な愛」だけが地方創生を進ませる今のところ最適な方法なのではないかと思ってきた。
そういった点で、今回のイベント「ローカル・オイシーヌ」は、熱狂的に美瑛と木曽を愛する2人だからこそ、愛がこもったイベントになるはずだし、今回の取り組みだけでなく続けていくためのスタートのイベントにもなる。
僕たち3人に人生を変えられた「おいしい」出会いの瞬間があるように、誰かにとってのおいしい出会いの瞬間が訪れることもある。「ローカル・オイシーヌ」がその瞬間なるようにしようと、3人で話している。
おいしい出会いの瞬間を生むことこそ地方創生のイベントが本質的に行うべきものなのだ。そう確信している。
「おいしい」からはじめよう
ローカル・オイシーヌは
郷土料理を意味する「Local cuisine」と「おいしい」を
掛けあわせた造語です。
地方のフードイベントがたくさん開催されているなかで
私たちらしいイベントってなんだろう ――。
そんなことを考えたとき、産地で感じた「おいしい」
という感動を直球で伝えることが大事だと考えました。
なぜなら、私たちが北海道美瑛町と長野県木曽町に
感動し、日本一の場所だと感じたことは、
すべて「おいしい」からはじまっていたからです。
豊かで厳しい自然、長い歴史とそこで育まれた文化
作る人の想いや背景のことなどは
「おいしい」のあとで。
さぁ「おいしい」からはじめよう。
イベントは、大羽さんが中心になって美瑛の食材(ときどき木曽の食材も)使ったコース料理をつくり、ドリンクはさくらさんが中心になって木曽の酒やカクテルなどを合わせていく予定だ。
料理だけでなく器にもこだわり(木曽漆器も使用予定)、美瑛の特産品の小麦を使ったパンビュッフェなども用意するほか、美瑛と木曽の両地域から生産者をお招きして、一緒に食事会に参加してもらう企画も進行中。盛りだくさんな内容になる。
「地域創生」という難攻不落、頂の見えない山をどう登っていくのか。「ローカル・オイシーヌ」は、「おいしい」から登りはじめようと考えた。20代の若者の発想を楽しみに、そして、頂のシルエットをすこしでも見つけることができたら、これほど楽しく有意義なイベントはない。
最後に
予約受付中です!ぜひ参加してくださ~い!
四の五の言いましたが、これがいいたかった。予約は、下記のフォームから。
ローカル・オイシーヌ ~美瑛と木曽の食事会~
2024年10月6日(日)18時~
10月7日(月)12時~/19時~
22,000円(税込、コース・ペアリング付き)
各回16席
フォレストゲート代官山 調理室
〒150-0034 東京都渋谷区代官山町20
https://forestgate-daikanyama.jp
主催 株式会社Food HEROes
後援 長野県木曽町、北海道美瑛町
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「ローカル・オイシーヌ」の特別ページはこちら
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![江六前一郎|Ichiro Erokumae|Food HEROes代表](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117668942/profile_3f80d4b7ceb0d6cf04ae817a3f0a87c6.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)