Crusader Kings 3(クルセイダーキングス3)の感想・レビュー
Hearts of Iron、Stellarisなど有名なストラテジーゲームを開発したParadox Development Studioによる、Crusader Kingsシリーズの最新作。
前作は2012年でリリースされ、約8年間ずっと拡張やアプデを行われ、寿命がすごく長かった作品です。
実は前々からこのシリーズに興味があるけど、2018年の頃にSteamのセールで前作の本体と全DLCを買おうとしても、やっぱりそれなりの値段がしてたので、なかなか手を出せなかった。
なので3が出るまでシリーズを触ったことがなく、同社の作品はStellarisしかやったことがない。
ゲーム自体はプレイヤーが中世の領主となり、領土を広めたり、一族を繁栄させたりする内容です。
同じ帝国に所属してるけど、王国同士が戦争をかける、そして同じ王国に所属しても公爵同士が奪い合い、一番下にいる伯爵たちもそれをやってるから、まさにカオスである。
そんなカオスの世界で生き残るには、時に同盟を作ったり、時に家族を暗殺したりする必要がある。
手段を問わずエンドゲームまで存続するのはこのゲームの目的だ。
文字量がすごく多い本作だが、公式の日本語版がない上、結構難しい英語が多用されてるので、それなりの英語力が必要だと思う。
幸いなことに、有志による日本語Modがあるため、それを入れれば英語力皆無の人でも遊べるようになってる。
まずはUIから話そう。
はっきり言うと、このゲームのUIは結構不親切だと思う。
初めてゲームを起動する時、Modは一切入れてないから英語版のままだったけど、文字が小さすぎて読むのがすごくつらかった、とはいえ日本語化させても、字は言うほど見やすくなるわけじゃないから、大半の時間が文字を読むゲームにとって、これは結構致命的だと思う。
もちろん、UIのスケールは調整できるけど、後述の仕様で実際調整したらもっとやりづらいかもしれない。
このゲームは基本世界地図を眺めながら進むけど、画面は3つの枠に分けてる。左は情報枠で、中央は選択肢・確認枠で、右はコマンド枠って感じだ。
なので、情報枠とコマンド枠を開いたら、世界地図の3分の2が見えなくなる。
特に子供や家臣を結婚させて、同盟を作ろうとする時、上記の3つの枠は全部同時に開く場合もあるけど、ガチで地図見えないから、同盟相手の位置を確認できないという「外交」として最悪の仕様になってる。
外交といえば、本作にはOpinionsという数値がある、まぁ要は友好度だけど、作中のすべての人間関係に関する行動は基本この数値に影響される。
ちなみに、この好感度はキャラごと独立してるため、同じ相手だとしても世代が代われば評価も変わる。
まぁ、ここまではStellarisとあまり変わってないけど、実際このゲームの外交はStellarisに比べると大分不自由だと思う。
まず外交のインタフェースがなく、情報枠から対象を右クリックし、それで開かれるリストから外交を行うんだけど、一部の選択肢は実行できる時のみ表示されるから、お知らせが来るまでその機能が存在してることすら知らなかった。
本作の外交もStellarisと同様に、成功率はいろんな要素に影響されるけど、一部の機能は普段見えないため、実行できない理由を確認する術がないから、対応することもできない。
内政は基本リソースと臣下の友好度の確保という2つのパートに分けてる。
まずはリソースだけど、まぁお金や威信などを貯めて建築物を作り、より多くの兵士を獲得し、領地を広めるのは基本の流れだ。
これは他の同じタイプのゲームとは大差がないから、プレイヤーはすぐ理解できると思う。
しかし、直轄領の数はStellarisと違い、あまり増やせないんだ。
仮に今はパークで増やせても、今の当主が死んだらパークはリセットされるので、とりあえず大量の直轄領を確保し、軍事力を肥大化させるのは無理だ。
これを解決するために、過剰になった領地を家臣や家族に与えて、いわゆる従属国を作るのだが、これがこのゲーム一番面倒な仕様だと思う。
前述の通り、このゲームはキャラごと好感度を持ってるので、例え今の当主に忠誠を誓った家臣でも、世代交代すればすぐ殺してくる可能性がある。しかもこれは家臣だけじゃなく、兄弟でも同じことだ。
で、世代交代の時に、継承者がすべての領地をそのまま引き継ぐというわけでもなく、継承資格ーーつまり兄弟たちは親が死ぬ時に勝手に領地をもらうせいで、プレイヤーの収入と軍事力がいきなり元の半分以下になる場合もある。
そして、最悪の場合は領地をもらった家臣や兄弟たちが勝手に新しい当主を恨んで、派閥を作って殺しに来ることすらある。
そのため、当主が生きてるうちにちゃんと対策を練らないといけない。
はっきり言うと、デフォルトの仕様のままで子供たちに継承させたら絶対にゲームオーバーとなる。
戦争についてだが、プレイヤーが兵科とその強化を理解するかどうかは全然違うんだ。
チュートリアルから学んだやり方で戦争を行うと、基本軍事力がすべてで、兵力が相手より少ないと勝ち目がなく、逆転するには敵勢力が他勢力に攻められることを祈るしかない。
しかし、建物や文化による兵科の強化と騎士たちの戦闘力の算式さえわかれば、倍以上の敵でも簡単に倒せるようになる。
ただ、これはゲーム内では全然言及されてないことで、自分もネットで調べるまでこの仕様に気づいてなかった。
AIの進軍ルートはすべての部隊を一つにする傾向があり、合流の母体となる部隊に最短ルートで進行するから、ある程度の進軍ルートを予想できる、この仕様を利用すれば、勝ち目のない戦いにも一応逆転する可能性があるけど、逆に味方のAIもこういう感じで潰されることがあるから、そこは注意しないといけない。
運がよかったら敵の武将を討ち取って戦闘力を減らすとか、野戦で敵の当主を捕らえて即勝利という展開もあるけど、基本あまり期待しない方がいいって感じ。
戦闘自体もビジュアル的な演出がなく、上の画像のような戦闘情報しかないから、結構の兵科があっても実感はあまりないのだ。
あとはライフスタイルというタレントツリーがあって、キャラに性格や能力に影響され、成長ボーナスとかあるけど。実際そのボーナスを無視して、当時に必要とされたライフスタイルを選ばなければ、のちに大変なことになる。
しかも今の仕様だと、一部のライフスタイルが優秀すぎて、RPや縛りプレイじゃなければ、他のライフスタイルを選ぶ理由がほぼないという感じで、自由度はあまりないと思う。
まとめに言うと、こういうタイプのゲームが好きな人にとっては、すごく面白いゲームだと思うけど、実際ゲームのバランスに難があり、自由度もやや足りてないというのは事実です。
特に現状だと策略を使ったり、外交で相手を従属させたりするより、そのまま軍事力で潰したほうが早いから、戦争以外の選択肢はほぼない。
戦闘のビジュアル的な演出もないから、実際このゲームの大半の時間は世界地図で周りの形勢を見ながら、イベントやお知らせの情報を読むだけ、ある意味はTRPGをPCゲームにしたって感じです。
なので、これは万人受けではなく、人を選ぶ作品だと思います。
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