【Steam版】Ender Liliesの感想・レビュー
2021年に割と期待されていたメトロイドヴァニア系作品で、同年のウインターセールで買いました。
ストーリーは「果ての国」という国があって、そこに<<穢れ>>と呼ばれる不死の化け物がいて、国は全力で応戦したけど、それでも穢れを駆逐できず、最後は穢れによる死の雨が降り出し、人々が穢れに変わり、国が滅亡した。
そんな果ての国に一人の少女が目を覚め、荒廃した世界を駆け巡りながら事件の顛末を追うのが本作の物語です。
他の有名なメトロイドヴァニア作品と比べて、本作のストーリーはわかりやすく、作中のログだけで果ての国が滅亡するまでのことを描くアニメを作れるくらいしっかりしてる、流石和製RPGって感じです。
多分だけど、「Ender Lilies」というタイトルは「果ての国のリリス」・「末っ子のリリス」・「最後の一人のリリス」・「事件を終わらせたリリス」など、様々な意味が含まれてると思います。
上記の通り、本作もメトロイドヴァニア作品ではよくある終焉系の世界観ですが、神の裁きによる苦難ばかりのタイプじゃなく、すべての生き物が消え去って崩壊した建物と植物しか残されてないタイプで、全体的に儚い感じがするグラフィックに幻想的なBGM、どっちかっていうとあのNier Automata寄りの作品だと思います。
ただし、プレイ中ではすごく気になるくらいBGMのループが短すぎて、いい音楽なのにもったいないなという感じがしましたので、ここは減点です。
ストーリー・グラフィック・音楽というビジュアル面は優秀だったけど、肝心のゲーム性には割と残念なところが多く、もっと洗練される必要があります。
まずはこのゲームはレベル制ですが、ゲームに「防御力」というパラメーターがなく、体力の上限もアイテムで増やすから、レベルは実質攻撃力にしか影響してない。
しかしその攻撃力も体感できる差があるわけではなく、攻撃スキル自体も強化できるため、はっきりいうとここまで存在感のないレベルシステムは初めて見たのです。
「防御力」が存在してないため、生存性を高める方法は「体力の上限を増やす」・「被ダメージ量を抑制するレリックを装備する」・「回復魔法の使用回数と回復量を増やす」という3つしかありません。
そのため、たとえレベルがカンストしても、序盤の敵に攻撃されたら思ったより高いダメージを受けます、それは終盤のアイテム回収や実績解除のためにマップを埋める際、ゴリ押しはエリアによって通用しないという意味です。
しかも、このゲームに被ダメのノックバックはあるけど、被ダメ後の無敵時間はないので、敵にハメられやすく、一回の攻撃を受けただけで7割以上の体力が削られることが割と多く、アクションゲーム苦手の人にとってはかなりしんどいではないかと思います。
幸いに、セーブと給水ポイントの間が短く、平均2-3つのステージに1個のセーブポイントがあるから、慣れればクリアできないわけでもないのです。
マップのシステムについてですが、多分これは自分の一番気に入らないところだと思います。
いわゆるメトロイドヴァニア作品のマップは、基本一つの正方形を単位にして、キャラが動けば次から次へとブロックをアンロックし、ブロックを繋げてマップにするシステムが多いと思いますが、本作はあくまでキャラの所在ステージを表示するだけ、見れるのは所在ステージに残されるアイテムがあるか否か、次のステージに繋がってるか、とその出入り口の方位角です。
そのため、プレイヤーは自分でステージの地形を覚えなければならない。
それに、本作のエリア解除は、今行けるエリアのボスを倒して新しいアビリティの追加により、新しいエリアにアクセスできるようになる仕様となってます。
で、自分はそれなりのメトロイドヴァニア経験者なんですが、上記のマップシステムのせいで、3回くらい行けるエリアのボスを全部倒してアビリティを習得したのに、どこに行けばいいのかわからなく、結局攻略を見ないと次のエリアに行けなかったのです。
今時のメトロイドヴァニア作品は多少違うけれども、いわゆるソウルライクの要素があったり、攻撃・回避システムは基本同じというのは仕方がないと思います、2D横スクロールには限界があるからです。
そのため、本作の基本操作も既存のゲームに似てる。
例えば攻撃システムですが、一言でいえばクールタイムを入れた<<奪われた刻印>>のグリフで、アビリティの種類も大体<<蒼月の十字架>>のアビリティソウルと同じです。
まぁ逆にいうとメトロイドヴァニア作品としては非常に忠実だと思います、ここはむしろ評価すべき点です。(ドゥエはできないが、攻略Wikiのコメントによるとムッムッホァイはできるらしい…)
難易度についてですが、実は割と高い。
特に一部の雑魚敵は特定な手順を踏まないと倒せないし、殺意の高い敵も非常に多い。そのため、基本的に死にゲームです。
ただ、上記の通り、このゲームは基本ゴリ押しが通用しなく、別にレベルを上げて物理で殴ればいいというわけではないので、苦手のボスと戦う時はクリアするまで繰り返すしかないのです。
最後に言わないといけないのはやりこみ要素です。
真エンドのクリア後にボスラッシュモードなど追加されるんですが、すべてのアイテムもエンディングも一周目で回収できるため、二週目をやる理由はあまりないのです。
まとめにいうと、ビジュアル面が非常に優秀なメトロイドヴァニア作品です。手応えがあって、ストーリーも大変面白く、自分はやって楽しかったんです。
ただし、ゲーム性的にいくつの問題があり、ところどころ不親切な感じがします。
ボリュームは値段相応だと思いますが、やりこみ要素がやや薄いので、一回クリアしたら延々とやれるゲームではないと思います。
最後に、少しのネタバレをしますが、作中では「果ての国は6つの国の一つ」というセリフがありました、もしかして続編が出るかもしれませんけど、もし本当に出るとしたら、ぜひ上記のゲームシステム面の問題を改善して欲しいんです。