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3Dが苦手でも\イメージでわかる!/占星術の天球図のギモン
最近「プライマリーディレクション」という古典占星術の予測技法の本を読み進めていたので、星の動きを三次元で立体的に表した「天球」図を復習してみました。
その際に生まれた「疑問」に沿って、図でひとつひとつ検証しながら天球図をわかりやすく理解できるよう記事にしました。
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「天球」ってなに?
天体までの距離は非常に遠いため、天体ごとの距離のちがいを感じることはできない。そのため、天体をプラネタリウムのドームに投影された像のように表すことにする。このドームに相当するものを天球とよぶ。これまで使用してきた透明半球も、天球モデルの1つである(※太陽の1日の動きを透明半球に記録して観測する実験が前章に)。天球は実在するものではないが、地球をとり巻く球として考える。わたしたちが見ている空は、天球上の地平線から上にある部分である。
下記のように 天空で太陽を運ぶ陽キャのイケメンアポロンのキラキラした動きを、「陰キャ代表土星先生が地上からうらやましそうに眺める図」「地上からの観測の天球図」を作ってみました。
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絵を描きながらまとめていると、ふとある疑問が湧いてきました。
ASC-DC、180度になってないよね…?
ASCについては、多くの著作を持つ米占星術研究家のデメトラ・ジョージ女史の説明がわかりやすいので以下に掲載。
ASCは、おそらくチャートの中で最も繊細で個人的な要素であり、子供が生まれた正確な瞬間と場所に、東の地平線上に昇ったサインと度数を指定するものです。ASCは、生まれた日の日の出の位置で天と地が出会う場所を示しています。
つまり、ASCは「東の地平線上に太陽が昇ってくる地点」です。
一方、自分自身を表すASCに対して他者を表すDCは「西の地平線下に太陽が沈む地点」です。
ASCとDCは、誰のチャートでもいつのチャートでも180度反対側にあり向かい合っています。
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ASCは蠍座、DCは魚座。
ASC-DCがどの位置を指すのかがわかったところで、改めて天球図を見てみましょう。
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一日の昼の長さと夜の長さが等しくなる春分・秋分は、ASC-DC軸は黄道円の真ん中を通っています。
つまり180度の角度。
でも、夜が長くなる冬至、夏が長くなる夏至の黄道円はどう見てもそうではありません。
なぜ⁉
天球図が掲載されていた本の中で真っ先に思い出したのが、松村潔先生の「最新占星術入門」。
p15にある天球図「図1」(お待ちの方はご覧になってみてくださいね)では、ASC-DCが黄道上で180度反対になっていてますます混乱(混乱した理由についてはまた後ほど)。
こんなときこそ観測して確認すればいいのでは!
ということで、今年の冬至まで呑気に待てないので プラネタリウムソフト「Stellarium(ステラリウム)」で冬至の日の太陽の動きを見てみました。
※ソフトをダウンロードしなくてもよいWeb版もあります。
困ったときのステラリウム
今年2023年12月22日(=冬至の日)の、日の出(ASC)から天底(IC)までの太陽の動きと黄道円です。
特に、地平線と接する黄道円の位置に注意してみましょう。
ASC
まずは日の出。
既出の天球図では、南寄りの東から日が昇っていましたね。
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元気に顔を出してきたアポロン(太陽)
黄道は南東と北西の地平線に接している
MC
黄道と天の子午線が交わる南中点。
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高い位置で気分も高揚し絶好調のアポロン
あれ?黄道が真東と真西で地平線に接している…
DC
日の入り。
ASCのときよりも黄道がずれて、「地上からの観測の天球図」と同じく南寄りの西に日が沈んでいます。
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日輪を運ぶ仕事を終えて帰路につくアポロン
また黄道が移動していて
なんだかキツネにつままれた気分
IC
黄道と天の子午線が天底で交わる点。
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ぐっすり休んで英気を養うアポロン
MCのときと同じく黄道は真東と真西で地平線に接している
黄道円の位置が変化しているのをおわかりいただけたでしょうか?
上記はたった4枚の画像ですが、ステラリウムで一日の流れをタイムラプスで見てみると、一日の間に太陽と黄道が Choo Choo TRAIN フラフープのようにぐるぐる動いているのです!
ん?
…
……
………前にも見たことある…(震
散々時間をかけて調べてから、ようやくぐらさん開催のステラリウム講座で教えていただいていたこと、南村悠介「クリスチャン・アストロロジー第1部だけでも熟読してみませんか? (中巻)」内の特別解説で読んだりしていたことを思い出しました
(すこーんと忘れてた。老化かな)。
地球が傾いて自転しているために起こる現象ですね(あっさり)。
思い出しついで(?)に、冬至や夏至のように昼夜の長さが違う日でも日の出(ASC)と日の入り(DC)がチャートの黄道円で真反対に向かい合うのは同じ理由(地軸の傾き)です。
先ほどのステラリウムの画像ではわかりませんでしたが、実は前後にも傾きながら動いているのです。
そのため、地球は同じ速度で自転しているのですが、「見かけ」上は黄道の度数が「ゆっくり進む時間」と「早く進む時間」ができてしまいます。
※古典占星術の「ロング・アセンション」や「ショート・アセンション」に繋がる事象。
冬至の日を例に挙げると
ASC → DC → ASC
(日の出) (日の入り)(翌日日の出)
射手座29度 双子座29度 射手座30度
6:47 ① 16:32 ② 6:47
①日の出から日の入りまでの時間(約10時間)
太陽は9時間45分(585分)かけて実際の黄道を180度移動するので、
1度を平均約3.25分で進む。
②日の入りから翌日日の出までの時間(約14時間)
太陽は14時間15分(855分)かけて実際の黄道を180度移動するので、
1度を平均約4.75分で進む。
ここは、3Dで回転している地球や黄道を無理やり2Dのチャートに落とし込んでいくあたりに起きる「目では見えないひずみ」のようなものなのでしょう。
悩んだのはこのためかも
①「見かけ」に混乱
私が混乱していた原因は「地上からの観測の天球図」は地上からの観測によるものという大前提がスッポリ抜けたまま、他の天球図の天体や黄道をそのまま当てはめようとしたところにあります。
「地上からの観測の天球図」での黄道はあくまでも「見かけ」の黄道で、「地球を中心とした天球図」の黄道とは別に考えないといけないのでした。
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すんなり太陽の動きがイメージできないのは、地軸が傾いてるから仕方ない。開き直り
ちなみに地球の地軸は約23.4度ですが、天王星は約98度です(ほぼ横倒しのまま自転している)。
さすが「エキセントリック」の象徴があてはめられるだけありますね…。
②「天球図」の多さ
天球(てんきゅう、celestial sphere)とは、惑星や恒星がその上に張り付き運動すると考えられた地球を中心として取り巻く球体のこと。また、位置天文学において地球から見える天体の方向を表すために無限遠の距離に仮想した球面も天球と呼ぶ。
天球は仮想的なものであるので、さまざまな形で天球のモデルを作ることができる。……学校教材として広く使われる透明半球も天球のモデルである。…(中略)…全天にわたる天文観測データを表示する場合には球面を二次元の平面上に表すのが便利である。球面を平面に表す投影法はさまざまなものが考案されている。
冒頭の「天球」以外にも「天球」とされるものがたくさんあるのです。
「天球」で検索するといろんな天球がでてきます。
これも
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プトレマイオスの天動説を表したもの
あれも
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Andreas Cellarius「Harmonia Macrocosmica」1660,Wikimedia Commons
地動説を表したもの
太陽様のお顔をわざわざ隠す水星(ヘルメス)が好き
それも
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夏に見られる星座が美しく描かれた星図。
アスクレピオスに踏みつけられたサソリが苦しそう…
先ほどのも
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どれも「天球図」のよう。ややこしい。
先述の松村先生の天球図は、「地球を中心とした天球図」「観測者を中心とした天球図」をハイブリッド化したもののようです(混乱した理由がようやく腑に落ちた)。
天球探しの旅は続く
「地上からの観測の天球図」を制作中に疑問に思った部分は解決されたのですが、この天球図を作るきっかけとなった「プライマリーディレクション」は赤緯や赤経など「地球を中心とした天球図」の理解が必要です。
まだまだ足りないところがいっぱい。忘れっぽいから遠回りに学習したような気がしなくもないですが、よい復習になりました。
「面白かったー!」
「読んだけどまた忘れそう」
「同じところでつまずいてたよ!」
「土星先生出演の天球図欲しい!」
「これからも記事を読みたいのでサポートしたい」
という方がいらっしゃいましたら、天球について学んだことをまとめた「\イメージでわかる!/の天球図」(カラー・A4 1枚・PDF)をご購入いただけると嬉しいです。※こちらの記事にはない、南中高度の角度についても追記しています。
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