「読破できない」悩みを終わらせる「紙1枚」で名著(ゲスト:浅田すぐる氏)
【スピーカー】
「1枚」ワークス株式会社 代表取締役 浅田すぐる 氏
株式会社フライヤー 執行役員CCO 久保彩 氏
「行動する」をゴールにした読書
久保彩氏(以下、久保):
浅田さんと言えば「読書」と「紙1枚」だと思いますが、「こうしたい」と思ったことに対してすぐに行動できたり、場所を選ばずに自由にお仕事ができる状態になっていたりするのも、日々の読書を通して自分の人生のビジョンや仕事のあり方を考えていらっしゃる結果なのかなと感じます。
例えば浅田さんは昨年末にお子さんの教育のために海外移住されたとのことですが、移住計画を伺ってからがすごくあっという間で驚きました。
浅田すぐる氏(以下、浅田):
それは本当におっしゃる通りです。読書がなければ今の自分は絶対にないし、子どものために海外移住するという発想や考え方がそもそも出てきていないと思います。
今回、子どもにアジア人としての感覚を身につけさせたいという理由からマレーシアに移住を決めたんですが、グロービス経営大学院学長の堀義人さんの著書『人生の座標軸: 「起業家」の成功方程式』で、個人、家庭人、組織人、日本人、アジア人、地球人というフレームワークを定義していて、そこで「アジア人」という捉え方を知ったのがきっかけです。
僕の発想や考え方の源泉というのは常に読書ですね。
久保:浅田さんのように、読書で学んだことを行動に繋げるために「紙1枚」に興味を持った方も多いと思います。
浅田:そうですね。行動したいとなった時に、同時にたくさんのことってできないし、本の内容を100ページ分思い出すのも難しいですよね。本のエッセンスとなっている部分や、自分なりに響いた部分を思い出して行動に移すことになると思うので、「行動する」をゴールにして考えると、「紙1枚」に本の内容をまとめておくことが大事だと思っています。
「読破」とは、読んで現状を打破していくこと
久保:今回のイベント、講座のキーワードは「名著」と「読破」となっているんですが、それぞれポイントをお伺いしてもよろしいでしょうか。
浅田:いわゆる「名著」と言われている本が世の中にはたくさんありますが、名著を読むとなった時に、とりあえず1ページ目から最終ページまで読まなきゃいけないと思っている人がとても多いんですよね。最後まで読むこと自体は何の意味もなくて、結局その後の仕事や人生に活かして役立てられるかどうかが大事なんです。
だから僕は全部読むという意味で「読破」という言葉は使っていなくて、読むことを通じて現状を打破していく、悩んでいる課題を突破していく、という意味での「破」だと思っています。
久保:なるほど。破るのは自分の現状であるということですね。
浅田:そう捉えておいた方が、名著との付き合い方が健全になっていくと思っています。名著って大体権威ある方たちが書いているので、どうしても本に振り回されちゃうんですよね。でも読書の主役は本ではなく、読者なんです。読者がどう読み解いて、どう使うかが問われている。読書の主語を自分にして読むというのが当たり前になってくると、本を読むことが人生に繋がってくると思っています。
久保:ありがとうございます。今回はせっかくなので、浅田さんの人生を作った本の「紙1枚」フレームワークを見せていただけますでしょうか?
浅田:例えば「ゲーテとの対話」という名著があるんですが、上中下巻で1,000ページあるんですよ。全て読むに値する本であることは間違いないんですが、文学的な素養や歴史的なことにも精通していないと読み解けない部分もたくさんあるんですね。だから僕も一言一句理解しているわけではなく、本の中から自分に響いた「百万の読者を期待しないような人間は、一行だって書くべきではないだろうね」という一文を引っ張ってきて、どういう意味か、なぜ響いたのか、どう活かしていくのか、ということを紙1枚でまとめています。
実際に僕は本を書く時に、この1枚を見てから書いています。そういう形で仕事に活かすことができていれば、その時点で「ゲーテとの対話」を自分の人生に役立てていると言えると思うんですよ。他の部分に何が書いてあるか覚えていないことをまずいと思ったり、そこで停滞したりする必要は全くないので、気軽な気持ちで名著に触れていってもらえれば良いなと思っています。
自己完結しないことが、読書力アップの鍵
久保:今回のキーワードでもある「名著」の定義、名著が名著とされる理由についてはどのようにお考えでしょうか?
浅田:まずオーソドックスな定義で言うと、時間や空間を経ても生き残っている本ですね。先ほどご紹介した「ゲーテとの対話」はドイツで200年前に書かれた本なんですが、今もこうやって読み継がれています。もう1つは個人的な定義で、自分の仕事や人生にどれだけ影響を与えたかですね。
今回の講座で取り扱う本の1冊目が『イノベーション・オブ・ライフ』なんですが、僕にとってこれ以上に公私共に影響を与えた本はないと思っています。僕はこの本を読んで、死ぬ時に仕事ばかりしていたと後悔したくないと思い、仕事一辺倒の価値観から完全に脱却できました。日本は仕事一辺倒の人が多いので、ぜひこの本を読んでほしいと思っています。
久保:その次に取り上げる『愛するということ』は私も大好きです。
浅田:これを読まずして恋愛も結婚も子育ても始まらない、という位に必読本だと僕は思っています。日本だと人と関わる、繋がるということの大切さがピンとこないことがどうしてもあると思っていて。さらにコロナ禍で人との繋がりが絶たれたのをきっかけに、そのまま人との繋がりなんてなくてもいいという人がすごく増えていると感じています。
人と繋がることの大切さというのを、改めてじっくり味わってほしいということでこの本は取り上げています。
久保:なるほど。それで最後は、『それでも人生にイエスと言う』ですね。
浅田:フランクルの本だと『夜と霧』が一番有名なんですが、僕は『それでも人生にイエスと言う』のタイトルがすごく好きなんです。生きる希望を見失うしかないような極限状況でも、人は人生にイエスと言えるんだという力強さを学ばせてもらっている本ですね。
久保:今回の講座では、浅田さんが選んでくださった本に皆さんで向き合うことになりますが、きっとそれぞれ解釈が違いますよね。
浅田:そうですね。もう1つ名著の定義を言うのであれば、色々な人の様々な読み方に応え続けてくれることかなと思います。今回まさに講座にご参加いただく皆さんが、それぞれの読み方をして、読書会で会話しながら比較検討、意味を深めていくということをやっていくわけですが、それを誰もが知っている名著でやるので、非常に価値のある時間になると思います。
久保:仮に一度読んでいたとしても、味わい尽くすような形になりそうですね。
浅田:まさにそうですね。自分が理解できなかった箇所は他の人の話を聞くことで理解すればいいと思っています。僕も最初から自分の力で読めていたなんてことは全くなくて、先人たちが読み解いていたものを聞いて、捉え方や解釈を学んでという積み重ねでここまで来ています。どうしても読書って自己完結でやりがちなんですが、実は色々な人の読み解きを聞くのが読書力アップでは極めて重要なんです。
久保:勇気が出ますね、ありがとうございます。最後にどんな方に講座へ参加いただきたいか、お伝えいただけますでしょうか。
浅田:余裕がない人にほど来てほしいですね。今年に入ってから色々な人に余裕がないと言われることが多くて、すごく心配しているんです。『イノベーション・オブ・ライフ』にもある通り、仕事一辺倒になってしまうと後悔まっしぐらなので。
3冊の本を他の受講生の方と一緒に味わっていくというだけなので、そんなにハードルは高くないと思いますし、気軽に参加していただきたいです。本をきっかけにして、人との関わりや人と繋がっていくことの尊さというものを感じてほしいなと思っています。
久保:ありがとうございます。3冊の本を皆さんで読み砕いて自分のものにしていく、そんな貴重な時間になりますので、ぜひ一歩踏み出していただければと思います!
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