ハムストリングのケガは本当に筋肉のものか?
ももの裏の筋肉(以下ハムストリング)部位の痛みは主に「ハムストリングの肉離れ」と診断されることが多いと思われます。ハムストリングは常に悪者になってしまいます。しかし、果たしてそうなのでしょうか?
ハムストリングのケガの57%は神経系から痛みが来ている
15年以上前のリサーチですが、
ハムストリングのケガを分析したところ、57%の患者に神経系から来る痛みがありました。リハビリにおいて筋肉のみへのアプローチは、ハムストリングのケガの再発の可能性を示唆しています。
(引用:Sharon E. Turl, et al: Adverse Neural Tension: A Factor in Repetitive Hamstring Strain? JOSPT)
2014年度の大学野球チームにおいて、ハムストリングのケガは10件ありました。完治するまでに要した日数平均は16.1日でした。
完治までに時間が長くなった選手は、ハムストリングそのものの筋肉にバイアスをおいて治療した結果です。
神経系から来る原因に主眼を置きだした後半は、4件で平均6.0日で完治しています。
2015年度は、ハムストリングのケガ11件に対して、リハビリに要した日数平均は7.0日となりました。神経系から来る痛みにバイアスをおいた結果です。
どの神経が犯人か
ハムストリングに痛みを誘発するのは、その部分を支配している坐骨神経だけではありません。
その神経の起始である仙腸関節部やさらに腰椎・胸椎の脊髄にテンションがある場合もあります。
つい先日、フットボール選手のハムストリング部位のテンションを除くために、頸椎のモビライゼーションが効果的だったこともあります。
ハムストリングだけでない
神経から痛みが来るのはハムストリングだけではありません。腓腹筋、足底筋(筋膜)、大腿四頭筋、上腕二頭筋などが、まず考えられます。
筋肉は必ずしも悪者ではなさそうです。どうやら隠れている本当の原因は神経のようです。
ハムストリングを大切に。
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