ビッグデータが示す腰痛の治療法

データから治療法を予測
2002年にある文献が発表になりました。

腰痛があった患者さん71名を年齢などの基礎身体情報から痛みに対する恐れなどの心理的なこと、関節可動域など整形外科的な数字まで調べました。

そこから浮かび上がってきたのが、臨床予測指標(Clinical Prediction Rule)です。

腰の痛みが続いているのが16日以下
恐怖回避思考のスコアが19以下(42点満点中)
片方か両方の股関節の内旋角度が35度以上
腰椎の一つは動きが十分でない
痛みが膝より下にない
この5つの項目全て当てはまる患者さんは、高い確率で腰椎の徒手療法(この場合は整復)が有効になります。

これが効果的な腰痛の治療法を求めて算出された、臨床予測指数です。

その後、この臨床予測指標の有効性を検証した文献が何件か投稿されましたが、どうやらこの指標は今のところ有効のようです。

ビッグデータが治療法を示す
今回の腰椎の臨床予測指標は71人の患者さんのデータで始まりました。

統計学的には小さい数と言えます。

それでも、データを利用して編み出した治療法を確立した意義は大きいです。

今日、アスレティックトレーナーや理学療法士の方々が診断・治療する選手や患者さんたちのデータが容易に集計できるようになりました。

それらを集めたビッグデータを人工知能に処理させると、よりたくさんのしかも統計学的に有効な臨床予測指数が登場してきそうです。

今から予測される臨床予測指数

肩の痛み
痛みが肩甲上腕関節にある
肩甲骨が下方回旋している
神経系の痛みが肘より下にない、など。
この場合、徒手療法の肩甲骨の上方回旋が高確率で有効な治療になります、が予想されます。

ビッグデータの蓄積と人工機能の発達は、私たちのケガの診断をアシストしてくれるだけでなく、面白い将来をもたらしてくれそうです。

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