肘にもっとも負担がかかる球種は -トミージョン手術のデータからー

多くの日本人投手がメジャーリーグに移籍して経験するトミージョン手術。
例を挙げるときりがないですが、一番最近に行われたのは昨年のダルビッシュ投手の手術です。

トミージョン手術は年々増加している

hardballtime.com
日本人投手のみならず、メジャーリーグ全体でもトミージョン手術の件数は近年増加傾向にあります(2016年度のデータは現在も集計中)。
メジャーリーガーの中でその手術を経験した投手を調べた文献があります。

速球を主に投げる投手がキケン
トミージョン手術を経験した投手は、直球を他の球種(変化球)より多く投げると発見した文献があります(肘のケガが無い投手と比較して)。
また、球速が速いと肘のケガにつながるというデータもあります(肘が健康な投手と比較)。
ジェームス・アンドリュー医師が設立したASMI(米国スポーツ医学機構)で献体を使ったリサーチでは、球速が速ければ速いほど肘の靭帯に負担がかかると言う発表がありました(2010年・文献はまだ出版されてないもよう)。チェンジアップのように球速の遅い球種では、肘の負担が一番少ないらしいです。
手術をした日本人投手たちは速球派ですか?ダルビッシュ、藤川、松坂、和田、田沢…(敬称略)。
ナックルボールを主に投げるティム・ウェイクフィールドは現役時代に肘のケガをしていません。
どうやら、速球(直球)が直接の原因のようです。

この結果をどう活かすか

今までの定説では、変化球が肘に負担がかかる球種として信じられてきました。
その為、変化球と比較して速球なら危険性がなく投げれる、という考えもあったかも知れません。
これからは、速球も変化球と同じように慎重に扱われるべきです。
また、肘の慢性のケガのリハビリやトミージョン手術後のリハビリでは、現行の速球から投げ始めるのでなく、肘の靭帯に負担の少ないチェンジアップから投げる復帰プログラムが発表される日が来るかもしれません。

肘を大切に。

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