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読書記録『レペゼン母』
結末を早く知りたいと急いて読んだのは、久しぶりだった。
『レペゼン母』宇野 碧 著
マイクを握れ、わが子と戦え!
山間の町で穏やかに暮らす深見明子。
女手一つで育て上げた一人息子の雄大は、二度の離婚に借金まみれ。
そんな時、偶然にも雄大がラップバトルの大会に出場することを知った明子。
「きっとこれが、人生最後のチャンスだ」
明子はマイクを握り立ち上がる――!
『晴れ、時々くらげを呼ぶ』『檸檬先生』などで最注目の新人賞から、今年も文芸界のニュースターが誕生!
第16回小説現代長編新人賞受賞作。
ーーーーーー
選考委員も激賞!
こんなにスカッと面白い作品が新人賞なら、いっそ清々しいじゃないか!(中略)おかんのラップが響く今宵、この余韻!
――朝井まかて
「親との戦い」ではなく、親の側から「子との戦い」を力強く描いた、大人の小説であると感じさせられた。
――宮内悠介
前半は
雄大くそ!!むかつく!!
と、母・明子の気持ちに感情移入できて、むかむかしてきてしまうほどだった。
読み進めていくと、雄大の気持ちも否定できない部分があって、雄大のことを責めきれないなぁという気持ちになってくる。
雄大ほどではないと思うが、わたしも母に甘えてばかりだったので、思い当たる節があるというか。
親子のすれ違いに、もどかしくなっていた。
ヒップホップを詳しく知っているわけではないが、聞くのは好きなわたし。
MCバトル(即興でラップをして戦う)で、女性ラッパーが相手の男性ラッパーから「俺の立派なディックでもしゃぶってな(p38)」とか、「生理くせえんだよ(p98)」とディスられたというページでは、読みながらもオイオイオイ腹立つなコリャと思い、容易に明子の気持ちを察せられた。(実際のMCバトルでもこういう系はある)
すぐに#KTちゃんとDOTAMAのバトルが思い浮かんだ。
(DOTAMAがえげつないので、バトルを初めて見る方はびっくりしちゃうかも。要注意⚠)
そんなMCバトルに、お母ちゃん・明子が参戦する。
何回か描かれたバトルシーンでは、「うまくいきますように」と自分の家族のように祈ってしまった。
ラップが普通にうまい明子。頭の回転の速さ、口達者さが羨ましくなる。
どんなビート(音楽)なのかは読者それぞれが思い浮かべて、各々のラップを口に出して読んでみるのも面白いと思う。
ラッパー以外の登場人物には、明子の農園を手伝っている人たちがいるのだが、その中でも明子の友人親子が話のポイントにもなっていると思った。
明子と雄大、明子の友人親子。
二組の親子が対比のようにも描かれていて、親子の関係性は一口に言えるものではないことが分かる。
わたしがMCバトルに出たら…と想像してみたが、考えるだけでなんて恐ろしい状況だとすぐさま止めた。変な汗をかきそうだった。
だって、大勢に見られながらの即興ラップ。そこには相手のラップへのアンサーや、韻を踏むなどの技術を込めなくてはならない。
問に対して的確な返答ができるのは、頭の回転が速くないと無理だよなぁ。あとは練習量。
人気ラッパーやうまい人には、リズム感+観客を盛り上げる言葉選び、カリスマ性もあるのだろう。
そう思うと、明子恐るべしだ。
雄大とのバトルでは、気が緩むとおいおいと泣いてしまいそうだった。
あまりラップを知らなくても楽しめるだろうが、バトルの雰囲気を知っていると、より面白くなるお話だと思う。
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