もしもちょっと思い出すなら
恋人と別れて何年か経った後にその人のことを思い出す時、大体はキラキラした、楽しい出来事な気がします。ただ、今は過去の恋愛を振り返りたい気分ではないのです。私は今、お付き合いをしている相手がいます。ということで、もしその人とお別れをしたら(そんなの絶対に嫌ですが)どんな出来事を、ちょっと思い出すのかな、と考えてみました。
そして今日は敬語な気分なので(最近日本語の勉強を始めたこともあって)ですます調での記事で挑みます。
◎恋人とは会話の途中、漫才のようなコントのような世界が急に始まることがあります。大体どちらもボケです。先日、人通りのない路地で立ち止まり、自販機の前で漫才をしました。私たちの漫才を見てくれるお客さんは自販機の飲み物たちです。「あのピーチネクターめっちゃ笑ってんよ」「メロンシェイク全然ウケてねえ」この会話を、ちょっと思い出す気がします。
◎晴れてお付き合いすることになり、お付き合いしてから初めてのデートの待ち合わせ。恋人からの第一声が「彼女さんですか?」だったこと。この言葉を、ちょっと思い出す気がします。
◎「あなたはやさしいから」といろんな場面で言ってくれたことを、ちょっと思い出す気がします。
まだいくつか挙げられますが、何言うてんねんと客観視している自分が恥ずかしがっているので、中断します。
「ちょっと思い出しただけ」という映画を観ました。あることをきっかけに、前にお付き合いしていた相手のことをちょっと、思い出す。そんな映画でした。
「二人」にはたくさんの、その二人だけにしかわからないとっておきがある。それがすごく愛おしいものだということ。何故だかお別れしてしまったあとに気がつくそのやさしい時間と裏腹の残酷さ。
けれどもそれはお別れしたからといって必要でなくなったわけではなくて、ランタンのようなほんのりとした温かみを持ち、いつでも自分を包み込んでくれる。そしてそれを思い出してまた、前を向けちゃったりする。
自分の中で切り取られた瞬間がそこにあったということこそがとっても重要であるのだなと思います。
思い返して気がついたことがあります。私が思い出すのは、その人から放たれる「言葉」なのだなということです。私は日常から言葉を大切にしているのですが、こんなところにも、そのかけらが見えたことがなんだか嬉しかったです。
皆さまもちょっと思い出してみたら、予想だにしなかった角度から、新たな発見がそこにあるかもしれないです…!ここまで読んでいただきありがとうございます。
最後に上映後、前席女性2人のどちらかが相手に放った第一声を添えます。
「ねえ、誰のこと思い出した?」
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