
僕らいつまでも子どものまま
新しい年のはじまり。数日間はいつも、新鮮に感じる空気やお笑いだらけのお正月特番にうきうきして過ごします。
ただそんな夢心地も束の間、淡々と揺るがない冷たさを伝えるニュースが帰ってきて、みんなが日常に帰っていく1月の前半戦が、どうも苦手です。
私だけが温かいこたつに足を突っ込んだまま、ひとりリビングに取り残されてしまったような、まだもう少し黒豆をつついていたい気持ちを隠さなければいけないような心地。
子どもの頃は、大人になったらきっと「大丈夫」になると思っていましたが、私はおそらくおばあちゃんになっても、「お飾り片付けなきゃダメ?」などと聞いているのだろうと思います。
思えば子どもの頃から、楽しかった時間を少しでも引き延ばすべく、かなり粘っていました。
例えば、パーティーで使ったクラッカーのゴミを大切に取っておいたり、部屋に施された華やかな装飾をそのまま一ヶ月以上も剥がさなかったり、パーティーの一部始終をビデオで撮影して何度も見返したり。
唐突に終わってしまうことが寂しくて悲しくて、日常に戻らなければいけないのなら、せめてグラデーションにさせてと、いつもいつも思っていました。
さて、2022年のお正月。
今年は初めてパートナーと2人で年越しをしました。
【大掃除・年越し蕎麦・紅白歌合戦・近所で初日の出・透き通っただしのお雑煮・おせちを食べながらのお正月番組】のフルセットを行いたいのですが良いですか、とパートナーに伺いをたてると、「特にこだわりはないのでいいよ〜」と快諾。
ありがたく、私の儀式めいたお正月を体験してもらいました。
ただいつもと少し違ったのは、年越しのカウントダウンのすぐ後、夕方取り込んだままになっていた洗濯物をふたりでせっせと畳み始め、「生活だなあ」と感じたことや、社会が再開し例年通り私がふてくされている頃に、パートナーが「バニラアイス きな粉&黒豆の残り乗せ」という絶品デザートを開発してくれたことでした。
苦手なものは苦手なまま、いつもより少しだけ良いグラデーションを見つけられたお正月になりました。
皆さま今年もどうぞ、よろしくお願いします。