なんてことは無い入り口の話

引っ越してきたばかりで、市役所に用事があり自転車を漕いでいました。
先月まで住んでいた街とは違って、少し坂の多い街。
路上喫煙をしている人の少ない街。子どもを見かける頻度の高い街。
この日も自転車のカゴにサッカーボールを乗せている、半袖Tシャツの少年とすれ違いました。

坂道をくだっている時、あたたかい風と少しの冷たい風が混じっていて、「なんかこの感じ、マラソン大会の日の走り終わった後の感じに似てるなぁ」とぼんやり考えたりしました。
その内に少し暑くなってきて、着ていたダウンを脱いでカゴにぐいぐいっと押し込みました。薄手のシャツでも大丈夫くらいの気候。
喉が渇いたので持ってきたお茶を飲んだけど、「冷たいお茶にすれば良かった」と思いました。

用事を済ませ帰ってくると、やたらと目が痒いことに気がつきました。
手洗いうがい消毒も早々に、目の洗浄。
まだ痒い。気になりつつもそのままシャワーを浴びて出てくる頃にはわりかし痒みは治まっていました。
読んでくださっている方の察する通りです、えぇおそらく。
認めた時点でこれから毎年悩まされるようになる気がしてしまって、まだ認めてはいないのですが、次の日から洗濯物は一旦室内干しに切り替えました。

今日は近くのスーパーに買い物。
恋人と散歩がてら歩いて出かけました。
私はまだダウンを着ていたけれど、恋人はパーカーでした。
買い物の最後に、「焼き芋食べたくない？」と言うので、帰り道に「焼き芋はどちらかというと冬って感じがするね」と話しながら、ふたりで半分こをして食べました。
甘くてとても美味しかったけれど、口に入れる時マスクを外したのでくしゃみが何回か出ました。

あ、それと、母から私の誕生樹の梅の花が咲いているよと知らせが届いたのと、昨日の夜恋人が布団を完全に全て剥いで、暑そうにしながら眠っていました。

みなさん、春です。春ですね。
入り口に立っていますよね。
生活のあちこちに春の知らせが散りばめられていて、そんなに一生懸命教えてくれなくてもちゃんと気がついているよと言いたくなるくらいに、春。

春って毎年何かの始まりかけなことが多くて、ソワソワと苦手な季節でした。
スタートダッシュ、トチるわけに行かないぞという空気に包まれているような気がして、ドン！の前の『よーい』の感じ。
あとは冬の行事とセーターが大好きなので、寂しさもあり。

それでも今年は、なんだかそんな春を存分に楽しみたい気分でいます。
大人数で花見をするわけには今年も行かないだろうけど、知恵と工夫と思いやりで何とでもなるから。
それとスタートダッシュの速さよりも、これからどれくらいの歩幅で歩いていくかを決めておこう。

春の入り口と言えど、朝晩はまだしばらくの間とても寒いと思うのでモコモコ靴下は辞められない、と思う静かな海が今週火曜もお届けしました。
それでは、また来週。