2017年10月の今日のうた
2017年10月1日
酔うほどにオネエ言葉になってゆくパン屋がこぼす種は金色。
2017年10月2日
水銀がガラスの中から溶け出すよ。
シーラカンスが目覚めたようだよ。
2017年10月3日
一等のハワイ旅行より四等のくまもんの抱き枕が欲しい。
2017年10月4日
つきなみの
はなもことばも
きまぐれて
まなうらでさく
みずいろのゆめ。
2017年10月5日
バタイユが日本語でつぶやいている。
「孤独の中の至上の存在。」
2017年10月6日
仕事後のジンジャーエールが染み渡る五臓六腑はなんとなく秋。
2017年10月7日
残業を言い訳にした帰り道。
ふたまた女神が無言で嗤う。
2017年10月8日
死にたいと呟いてみて気がついた。
私はそういうキャラじゃなかった。
2017年10月9日
生まれない卵が冷蔵庫の奥で腐ってゆく夢なのかもしれない。
2017年10月10日
静脈と動脈
絡まる
から回る
夢も現も
本当も嘘も。
2017年10月11日
今夜だけ、今夜だけでいいよ。
今夜だけ、生き延びれたなら、死んでもいいよ。
2017年10月12日
うたかたのテトリスかもね。 色のない嘘は消えずに埋もれるばかり。
2017年10月13日
寝不足の日曜。夜の街角で「木星から来た」と打ち明けられても。
2017年10月14日
「だいじょうぶ、なんでもないの、へいきなの、
ごめんね、ありがと、あいたい、でもね。」
2017年10月15日
増えてゆく薬と、毎夜繰り返す雨音、琥珀の夢跡、戯言。
2017年10月16日
連れてって欲しかった。
でもそこにいたふたりは、
君でも僕でもなかった。
2017年10月17日
透明な羽を震わせ愛を恋う螽斯に告ぐおやすみなさい。
2017年10月18日
僕たちはラブフォーエバーを越えてゆく。
いとおかし世から、いとおしき夜へ。
2017年10月19日
雨音とタイプの音とワイシャツのストライプの数、イコールじゃない。
2017年10月20日
人はみな忘れる生き物。そのために、火曜と金曜、燃やすごみの日。
2017年10月21
見上げても、雨粒。
神様、居留守中。
蜘蛛の糸、屑。
愁き世に、散る夜。
2017年10月22日
雨音が、心地良いから、うしろめたい。
パパ、ママ、ごめんね。今夜もひとり。
2017年10月23日
折々ののりしろ部分に閉じ籠る。
秋の終わりと冬の始まり。
2017年10月24日
ほうれんそう、にんじん、たまねぎ、さつまいも、バターナッツかぼちゃのキッシュ。
2017年10月25日
泣きながら口いっぱいに詰められた勿忘草は苦くて甘い。
2017年10月26日
今なんて言ったの。
全然聞こえない。
こっちを見てよ。
心に触れてよ。
2017年10月27日
もう二度とふたりきりでは会わないと決めたのになのになのに、なんでよ。
2017年10月28日
神様が私を試しているように、
時計の針は9時15分。
2017年10月29日
息ひそめ
色は光を
待っている。
収蔵庫内の
インターステラー。
2017年10月30日
夜の街
コアラのマーチ
並べてる
月夜にさらす
ひとりサーカス
2017年10月31日
味気ないお菓子も浮気な悪戯も要らない。本当の嘘だけ欲しい。