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アートと泊まる。アートと暮らす。

今日は2023年の年明けに「Art&Hotel 木ノ離」
を訪れた話をしようと思う。

荒川朋子「月とボート」
木ノ離のバスルーム

郡上の城下町の一角にあった
古い町家をリノベーションした
一棟貸しの宿泊施設木ノ離。
オーナーは設計事務所 スタジオ伝伝の
代表取締役でもある藤沢百合氏。

荒川朋子「Woodland scenery」
木ノ離 2F 寝室

ただ泊まる、ではなく、アートと共に泊まる、
を実現したいと思い、
Art & Hotel 木ノ離の設立に至ったそう。

荒川朋子「Rain falling from the mountains」(手前)、
「Mountains」(奥)

建物の随所にアートが展示されていて、
まさに泊まれるアートギャラリー。
1階には、藤沢氏が地元の作家や
職人とともに制作した作品を中心に
紹介するショップも併設されている。

木ノ離1F アートショップ


私が訪れたのは荒川朋子展の最終日。
木ノ離では郡上の街や自然、
宿のイメージに合った6名の作家の作品を
半年ごとに入れ替え展示販売している。

荒川朋子展「満ちる」にて
木ノ離の一角

荒川氏の作品は※ジェッソ を繰り返し塗布し、
その表面をヤスリで削った上から色を
乗せていくという工程で制作されている。

※ジェッソ…アクリル樹脂を含有した塗料。
主に下地材として使用される。

荒川朋子展「満ちる」にて

非常に丁寧な仕事の中に、曖昧な線や
色が生まれ、柔らかな雰囲気も感じられる。

荒川朋子「Butterfly」

郡上の川を流れる水の透明感、森の静けさ、
空気が伝わってくるような作品の数々。
静かにじっと眺めていると、
画面の奥から鳥のさえずりや川の音、
風の音が聴こえてくるような気さえする。

荒川朋子展「満ちる」にて

こちらはひとつの画面にいくつもの
小さな作品がパズルのように
散らばっている不思議な造形。
プライベートで出た端材に絵を
描いてみたところ、組み合わせたら
面白かったので展示することにしたそう。

荒川朋子展「満ちる」にて
荒川朋子「Vase」

このように実際に部屋や店の一角に
絵が飾られているのを見ると、
このサイズなら家でも飾れるかもしれない、
あの場所にはこの作品が合うかもしれない
そんなイメージが湧きやすくなり、
アートがより身近に感じられる。

荒川朋子「Grass」


建物の随所にオーナーである藤沢氏のこだわり、
作家や職人の丁寧な仕事が見られる。
1Fのショップや多目的スペースには地元の方や
観光客をはじめ、多くの方が作品を鑑賞したり、
ワークショップやイベントを行ったりと、
新たな出会いや交流がうまれる場となっている。

木ノ離1F アートショップ


現在木ノ離では小川格展を開催中。
2024年1月8日(祝・月)まで。

郡上へ訪れた際は泊まる人も泊まらない人も
是非Art&Hotel 木ノ離へ足を運んで欲しい。


荒川 朋子

荒川朋子展「満ちる」にて

三重県出身。愛知県立芸術大学美術学を卒業後
名古屋造形大学大学院を修了。
「どこか懐かしい寄り添いたい風景」を
テーマに、独自の技法でみずみずしい池や川、
青々と茂る森や山などの自然風景を描く。
東海圏を中心に各地で個展やグループ展を開催。


Art&Hotel 木ノ離

木ノ離 1F アートショップ

町家をリノベーションした一棟貸しの宿。
1F アートスペース離は、ショップオープン日
(土日祝/13:00-18:00)は一般開放される。
〒501-4222 岐阜県郡上市八幡町島谷888
0575-67-9670


藤沢 百合

藤沢氏がオーナーを務める木ノ離の一角

株式会社スタジオ伝伝 代表取締役。
Art&Hotel 木ノ離 主宰。
法政大学 デザイン工学研究科 兼任講師。
「日本の伝統建築と生活文化を次世代に、
世界に伝える」ことを目的とした建築設計、
不動産を中心とした業務に携わる。
2014年にスタジオ伝伝を設立し、
2019年、東京建築士会 住宅建築賞を
はじめとする数々の賞を受賞。
2020年、郡上の地に木ノ離をオープン。


小川 格

小川格「水中月光」にて

東京都生まれ。ベルギー王立アントワープ
美術アカデミー修了。
2002より長野県茅野市へ移住し、甲信越
地方を中心に個展やグループ展を開催。
プロジェクトの企画、小中学校への出張授業、
ワークショップ等も実践。絵画教室主催。
Ongoing Collective所属



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