島日和#プロローグ
はじめまして!初稿です。
これから記事にしていきたいのは、超短編のエッセイ。本稿はプロローグを書いてみました。良ければ読み進めてくださいね♩
(仮タイトル)『島日和』
わたしの地元は韓国より遠い。
日本なのに日本地図ではなかなか発見が難しいから、友達に説明するときはスマホの地図で拡大する。
そして、今いる大阪を朝10時に出たら、実家の扉を開くのは18時か、あるいは23時、あるいは時化で船が出なかったら福岡にステイせざるを得ない。
一度、朝の飛行機を逃してしまってなんと島に辿り着いたのが23時というショックなこともあった。
わたしの地元は長崎の小さな島だ。そんなこんなで、海外の韓国に着くより時間がかかる。
わたしは18年間、高校卒業までを過ごし、大学からは島を離れ、年に2回の帰省となってしまった。
両親はエイジングに逆らうことなく歳をとりながらもなんとか元気だ。32歳になる娘は自由奔放に大阪でひとりを満喫し、孫どころか旦那を見せられる日はあるのだろうか、と少し片隅で心配している。
去年母方の祖父を天国に見送って、私にはばぁちゃん、じぃちゃんと呼べる人たちがこの世からいなくなった。
そのせいなのか親は一気に老けた気がした。父の意外と似合う白髪や、母のLINEメッセージの最後が絵文字の字なのもあと何十年見られるだろうか。
フェリーの雑魚寝、父の兄弟船、家の2階から見る海、磯の香り、埃をかぶったピアノ、沖に出た日を印したカレンダー、トイレの扉に貼った手書きの世界史年表、あの子の第2ボタンならず全ボタン…
確認できると安心するものは、果たしていつまであってくれるだろうか。永遠ではない。何年か前に世界史の年表ははがされていた。(そりゃそうだ。)
超短編ということで、1つ1つのエピソードは短いながらも読めば共感、島の不思議が沢山詰まった作品になればいいなと。
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