てい

主に文章の創作をしています。小説、短歌、俳句、詩など。絵を描くこと、見ることも好きです。作ったものを投稿していこうと思います。

てい

主に文章の創作をしています。小説、短歌、俳句、詩など。絵を描くこと、見ることも好きです。作ったものを投稿していこうと思います。

マガジン

  • 日常

    小説以外に作った物や、読書記録などの日常を、少しずつ。

  • ていの創作小説

    自分の創作小説をまとめています。

  • 天使と悪魔(小説シリーズ)

    悪魔→天使の見た目BL小説群。(厳密に言うと天使に性別はないため) 天使のことが大好きな悪魔と、だんだん心変わりしていく天使の緩やかな関係性の変化のお話。 誕生花ssのひとつ「ランタナ」より端を発する、ssと短編の連作シリーズ。時系列は乱れがち。ところどころ年齢制限描写入ります。

  • ていの散文•詩

    自分の散文や詩をまとめています。

最近の記事

文学フリマ札幌に参加します

 ご無沙汰しております、ていです。ほとんどここに投稿しなくなってしまいましたが、時々作品をご覧くださる方がいらっしゃるのは嬉しいことだなあと思います。  この度、9月22日に行われる文学フリマ札幌に出店いたしますので、そのご連絡です。  会場はコンベンションセンター大ホール、時刻は11:00〜16:00。入場無料です。  私は「てていていてい」というサークル名で、ブース「う-17」におります。  お品書きや会場図は以下の通りです。  無料配布ペーパーだけでももらっていただけ

    • 年賀状です!

      • LOVING DEAD(短編小説)

        「こちら温めますか」という問いにぼんやり「お願いします」と返し、しかし一向に動き出そうとしない店員に目をやって、そう言えばこの子も随分前からゾンビになってしまってたんだっけと気づく。可愛い子だったのに、今はよく口にしていた言葉を繰り返し、視点の合わない眼球をぐるぐるさせるだけだ。  仕方ないので、無駄に力強いその手から弁当をもぎ取り、金だけ払って外へ出る。日差しは眩しいが、雪がちらちら舞っている。そこここに転がったままの人の姿があり、俺はそれらをスケート選手のように避けて、滑

        • 痛む目 「掃除婦のための手引き書」を読んで

           痛みを書ける人はすごい。そういう文章を、とりわけ私小説に近いような小説を読んだときに、そう思う。  今、そういう小説を読んでいるところだ。ルシア・ベルリン「掃除婦のための手引き書」。最近話題になり、もう随分長い間、話題であり続けているように思う。最初の一篇を読んだときから、これは好きな部類の文章だ、とすぐに分かった。誇張した表現や麗々しい装飾はなしに、見て感じたそのままを鮮やかに抜き出したような文章。私は、そういう文章に弱い。  見る、ということが特別に得意な人がいる。漫然

        マガジン

        • 日常
          15本
        • ていの創作小説
          433本
        • 天使と悪魔(小説シリーズ)
          51本
        • ていの散文•詩
          1本

        記事

          【小説】  に巻き上げられた 埃

           買ってきた本を読みながら頁を繰ったとき、パラパラと余計にめくれ、そのときちょうど欠伸が出たから、本に書いてあったいくつかの文字が、開いた口に飛び込んできたらしい。口を閉じたら、しゃりしゃりと妙な音がした。  はて、文字の味とはこんなものだったかしらん。  最後に味わった文字は、確か「氷」だった。冬の冷たい朝のことで、そのとき私は、凍った土地に生きる人々の暮らしを描いた本を読んでいた。時計の針を気にしながら読んでいたのを覚えているから、きっと仕事のある平日のことだったのだろう

          【小説】  に巻き上げられた 埃

          黄金の光に抱かれる【イラスト】

          拙作「天使と悪魔」シリーズより、天使と悪魔の二人を描きました! シリーズはマガジンからどうぞ。

          黄金の光に抱かれる【イラスト】

          十二月二十五日は外に出ない(短編・天使と悪魔シリーズ44話)

          【天使のことが大好きすぎる悪魔と、彼に惹かれていく天使の、見た目BL小説群の44話目です。(これまでの話はマガジンをご参照ください)】  この街では、雪は積もらない。年がら年中どんよりとした雲に覆われ、カラッとした晴天とは縁の薄い国の首都として、冬も、その陰鬱とした空気を頑なに守りたがっているのだ。白くてふわふわした綿毛のような雪なんて、自分には似合わないとでも言うように。以前、愛する天使がそんな天候を憂いていたことを思い出す。俺はため息をつきつつ、外の白けた光を締め出すよ

          十二月二十五日は外に出ない(短編・天使と悪魔シリーズ44話)

          愛撫(ショートショート・天使と悪魔シリーズ43話)

          【天使のことが大好きすぎる悪魔と、彼に惹かれていく天使の、見た目BL小説群の43話目です。(これまでの話はマガジンをご参照ください)】  甘い吐息が耳にかかると、体の力が抜けてしまう。がっしりした腕に抱きとめられながら、囁かれる愛にうっとりとする。耳朶を食む唇の感覚に背筋が粟立ち、息が漏れる。 「天使サマ……」  悪魔の声が、耳から、私の中へ入ってくる。他のあらゆる領域に侵入してくる彼の細い指の代わりに、私の脳そのものを、甘い毒で駄目にする。低く、限りなく優しいその声に、溺

          愛撫(ショートショート・天使と悪魔シリーズ43話)

          特別な日(ショートショート・天使と悪魔シリーズ42話)

          【天使のことが大好きすぎる悪魔と、彼に惹かれていく天使の、見た目BL小説群の42話目です。(これまでの話はマガジンをご参照ください)これはシリーズ1話目を書いた一年記念日(2021年11月20日)の特別なSSです。】  突如として入った予定外の仕事に、苛立ちを隠せなかった。今日は大切な用事が入っているというのに。しかし、ご主人サマからの直接のオーダーを無視する訳にもいかない。ご主人サマに従うことは、俺の存在理由そのものでもあるのだ。だが、しかし……なぜ、よりによって、今日な

          特別な日(ショートショート・天使と悪魔シリーズ42話)

          treat and treat(ショートショート・天使と悪魔シリーズ41話)

          【天使のことが大好きすぎる悪魔と、彼に惹かれていく天使の、見た目BL小説群の41話目です。(これまでの話はマガジンをご参照ください)】  人間たちが寒さに体を震わせる季節が近づいてきた。月末のイベントに合わせて天使を誘ったのだが、とても申し訳なさそうな声で断られてしまった。電話越しでも、あいつがすまなそうにしているのが目に見える。 「その日はほら、ハロウィンだろう。人間の知り合いの店で、子供向けの催しの手伝いをしなくてはいけないんだ……本当に済まない」  あいつに関わりそう

          treat and treat(ショートショート・天使と悪魔シリーズ41話)

          ケーキより甘い(短編・天使と悪魔シリーズ40話)

          【天使のことが大好きすぎる悪魔と、彼に惹かれていく天使の、見た目BL小説群の40話目です。(これまでの話はマガジンをご参照ください)】 「天使サマ、カボチャは好きか?」 「好きだよ。甘いからね。……それはカップケーキか?」 「ああ。貰い物なんだがな。仕事仲間からの差し入れだ。天使サマは好きかなと思って、持って来た」 「くれるのか? ありがとう。でも、ひとつだけなんだな。それじゃあ半分に……」 「いやそれがな、天使サマ。これは、半分に割ると不幸になる呪いをかけられたケーキなん

          ケーキより甘い(短編・天使と悪魔シリーズ40話)

          少女と悪魔4(短編・天使と悪魔シリーズ39話)

          【天使のことが大好きすぎる悪魔と、彼に惹かれていく天使の、見た目BL小説群の39話目です。(これまでの話はマガジンをご参照ください)】  繁忙期は過ぎたにもかかわらず溜まっていた仕事をどうにか片付け、ほっとしているところに、天使が訪ねて来た。疲れているときに見る愛しい姿は、ご主人サマからのお褒めの言葉なんかよりも、よほど効く。 「どうも、人界は落ち着かないね。主が何を考えているのか、少しでも知られればと思うよ」  コウモリが運んで来た紅茶に口をつけながら、天使はため息をつい

          少女と悪魔4(短編・天使と悪魔シリーズ39話)

          少女と悪魔3(短編・天使と悪魔シリーズ39話)

          【天使のことが大好きすぎる悪魔と、彼に惹かれていく天使の、見た目BL小説群の39話目です。(これまでの話はマガジンをご参照ください)】  別の仕事についてあれこれと考えている間に、朝になっていた。コウモリに取って来させた新聞の、隅々まで目を凝らしたが、昨日の事件については何ひとつ載っていない。これであの悪魔たちがどういう計画のもとに動いているのかは大体想像がついたが、一応、確認はしておいた方がいいだろう。 『お出かけですか。あの少女は……?』  俺が支度を始めると、コウモリ

          少女と悪魔3(短編・天使と悪魔シリーズ39話)

          少女と悪魔2(短編・天使と悪魔シリーズ39話)

          【天使のことが大好きすぎる悪魔と、彼に惹かれていく天使の、見た目BL小説群の39話目です。(これまでの話はマガジンをご参照ください)】  その小さな手を途中で放り出さなかったのは、我ながら、ばかげていると思う。人間の少女を悪魔の手から救って、どうしようと言うのか。何の得にもならないどころか、下手をすれば悪魔たちの間でつまはじきにされるような、危険な行為だ。 『ご主人様……』  時おり別宅として使用している一軒家の玄関で、出迎えてくれたコウモリが、困惑気に、俺と、俺の腕の中の

          少女と悪魔2(短編・天使と悪魔シリーズ39話)

          少女と悪魔1(短編・天使と悪魔シリーズ39話)

          【天使のことが大好きすぎる悪魔と、彼に惹かれていく天使の、見た目BL小説群の39話目です。(これまでの話はマガジンをご参照ください)】  しだいに秋の気配が近づきつつある街並みを、考え事をしながら歩いていた。  悪魔としての仕事は順調だった。天使たちの妨害はあれども、それは遥か昔から続くいたちごっこ、もしくは永遠に決着のつかない綱引きのようなものだ。世界は善か悪かのどちらかに偏るものではなく、おそらくは、そのバランスの上に成り立っているのだろう。しかしそんなことを言おうもの

          少女と悪魔1(短編・天使と悪魔シリーズ39話)

          ある天使の肖像4(短編・天使と悪魔シリーズ38話)

          【天使のことが大好きすぎる悪魔と、彼に惹かれていく天使の、見た目BL小説群の38話目です。(これまでの話はマガジンをご参照ください)】  話を終えると、悪魔はふうん、と、肖像画を見つめた。 「その画家は、かなり変わった奴だな」 「そうなんだ。普通、そこまで私という存在に思い入れを抱く人間はいないんだが‥‥‥。こうして絵を見るまではすっかり忘れてしまっていたけれど、見たら鮮明に思い出せるものだな。やはり、処分なんて出来ないよ」  再び、絵に圧縮を掛けようとしたとき、悪魔がそれ

          ある天使の肖像4(短編・天使と悪魔シリーズ38話)