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第37回 東京国際映画祭 ガラ・セレクション 『オラン・イカン』観賞前に押さえておきたい「これだけは」


第37回東京国際映画祭ガラ・セレクションのラインナップでひときわ異彩を放つ作品がある。
そのタイトルは『オラン・イカン』。
第二次世界大戦時代のインドネシアを舞台としたアクションとサスペンス、そして神話性を盛り込んだクリーチャーホラーとのこと。

日本語情報がほぼ無いなか、これまでの海外記事と映像、本作でダブル主演を務めているディーン・フジオカさん、マイク・ウィルアン監督、そして映画に関わった方々からの情報により、観賞前に押さえておきたい「これだけは」をまとめてみました。
お役に立てば幸いです。

東京国際映画祭ロゴ入りポスター

「これだけは」メニュー
①公開前に公表されているストーリー
②国際的日本人俳優・ディーンフジオカがW主演をする意味
③マイク・ウィルアン監督
④シンガポール・インドネシア・日本・英国4か国合作
⑤美しいインドネシアのロケーション
➅SAWARUNAビーチでのロケの様子
⑦2023年一番大変だった撮影
⑧第37回東京国際映画祭に「ガラ・セレクション」として登場!


①公開前に公表されているストーリー

「オラン・イカン」はマレー語で「魚人」の意味。
映画公開前に公表されているあらすじは下記の通り。


「1942年の太平洋を舞台に、日本の地獄船は戦争捕虜を奴隷労働として占領地に移送する。船には死刑判決を受けるために母国に送還される日本への裏切り者サイトウが乗船している。さらなる罰としてサイトウは、日本人に対して憎しみしか抱いていない、英国兵のブロンソンという別の捕虜と強制的に繋がれている。
地獄船が連合軍の潜水艦によって魚雷攻撃されると、サイトウとブロンソンは船外に投げ出され、無人島に漂着する。しかし、彼らはすぐに自分たちが一人ではないことに気づく。彼らは、人間と魚のハイブリッドである獰猛な神話上の生き物、オラン・イカンに命を狙われているのだ。
お互いの言語でコミュニケーションをとることができない2人の不倶戴天の敵は、未知の世界を生き抜くために団結しなければならない…」

制作当初のイメージポスター

②国際的日本人俳優、ディーン・フジオカがW主演をする意味

本作では、日本で俳優・ミュージシャン・映画プロデューサーとして活躍するディーン・フジオカが、イギリス人俳優カラム・ウッドハウスとダブル主演をしている。
ディーン・フジオカは妻と子供がインドネシアで暮らしており、日本で仕事をする際は単身赴任だという。

2018年公開、日本・フランス・インドネシア合作の映画『海を駆ける』(深田晃司監督)では主演を演じ、台詞の数は少ないが、インドネシア語を披露した。
当時の外国人特派員イベントでは「積極的に家族と縁のあるインドネシアと繋がりを持ち、子供たちが誇りを持てる作品に出演したい」と語っていた。
本作はインドネシアで撮影しており、現場には家族も見学に来たそうだ。
彼にとってもこの映画に出演できる喜びは一味違ったものがあっただろう。

(『海を駆ける』外国人特派員イベント)

https://youtu.be/0j1RIwmBDgI?si=0OJccLWJtrjCKDxG
    

また、日本語・英語・広東語・北京語・インドネシア語を話すディーン・フジオカ自身がプロデュース・主演を務めた日本映画『Pure Jananese』(2022年公開)では、「現代社会において日本人の定義とは?」「個々の人間は言語OSがそのDNAを運ぶための『乗り物』でしかないと仮定したら、日本語は我々日本語人をどこへ連れて行こうとしているのか?」というマルチリンガルならではの独特な投げかけがある。
『オラン・イカン』では、お互いにコミュニケーションを取ることができない敵同士の2人が、モンスターを前にどのようにお互いに協力し合っていくのかが見どころの一つとなっている。
また演じる日本兵サイトウは、日本に強制送還されれば死刑が待っている裏切者で、イギリス兵捕虜と強制的に繋がれているという設定であり、ジャングルのシーンでは武器として日本刀を所持している映像がある。
常々アクション映画に挑戦したいと語っていたディーン・フジオカが演じる必然性を、彼ならではの新たな切り口で見せてくれるに違いない。

映画『Pure Japanese』

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0B8HY28N5/ref=atv_dp_share_cu_r

          

日本刀で戦う!?サイトウを演じるディーン・フジオカ

③マイク・ウィルアン監督

インドネシアのマイク・ウィルアン監督はシンガポールとインドネシアを拠点としており、本作では監督のほか脚本も務めている。
経歴は『ナシゴレン西部劇』の『バッファローボーイズ』(2018年、共同脚本、監督、プロデューサーとして)、HBOシリーズ『グリッセ』から不気味なミステリーの『モーテルメラティ』(2023年、共同脚本、共同監督、プロデューサーとして)まで、アクションやホラーの作品がぎっしり詰まっている。
彼はインタビューの中で「目的もなく殺すだけの怪物を作るのではなく、オラン・イカンには動機がある」と述べている。
この動機についても見どころである。

④シンガポール・インドネシア・日本・英国の4か国合作


本作は2023年10月にインドネシアのバタム島にあるWiluan's Infinite Studiosで制作が開始された。
このスタジオは東南アジア最大級の施設で、シンガポールからフェリーですぐのところにあり、その後制作は同じくインドネシア、ジャワ島のジャングルに移ることになる。

製作会社はシンガポールのZhao Wei Filmsのベテラン映画監督エリック・クーと、Gorylah Picturesが担当。
シンガポール、インドネシア、日本、英国の4者による共同事業として構成されたこの映画は、シンガポール・フィルム・コミッションの支援も受けている。

製作総指揮は、ヨッシー、グレース・ウー、ハン・ミンリ、ナターリャ・パブチンスカヤ、ジョモン・トーマス、アンソニー・クー、S・シャムクマール、ケネス・ポー、サイモン・クロウ、マシュー・ジョインズ。
プロデューサーとしてディーン・フジオカも名を連ねている。

プロデューサーのエリック・クーはこう述べている。
「私は、超常現象からモンスター映画まで、ホラー映画を着実に見て育ちました。
子供の頃のお気に入りの一つは、1954年の名作モンスター映画「クリーチャー・フロム・ザ・ブラックラグーン」でした。
パンデミックの最中に、1968年の戦争映画「太平洋の地獄」に出会いました。これは、日本兵とアメリカ軍人が島に置き去りにされ、お互いを殺し合おうとする姿を描いた作品です。
これは私にとってひらめきの瞬間でした 。
もしあのシナリオでオラン・イカンが上陸していたらどうなるでしょうか?生き残るためには、2人の不倶戴天の敵がチームを組んでこの恐ろしい獣と戦わなければなりません!なんてエキサイティングな前提なんでしょう!
映画業界に30年間携わった後、ついに初めてのクリーチャー映画を制作でき、頻繁に協力しているマイク・ウィルアンと一緒に制作できることをとても嬉しく思います」

オラン・イカンのクリーチャースーツを制作するにあたっては、ハリウッドで高く評価されている特殊効果クリエイターのアラン・ホルト(ジュラシック・ワールドほか)がデザインした。

音楽は日本人の松本明彦が担当している。


なお本作のプロダクションはイギリスのSC Films Internationalが行っている。
https://scfilmsinternational.com/current-films-live-action-titles/orang-ikan/

SC Films international より、2023年10月の釜山国際映画祭の市場で販売が開始された。


2024年2月からベルリンで始まったEFM(Europian Film Market)にて『オラン・イカン』の初映像が解禁された。
さらに5月のカンヌ国際映画祭、10月の釜山国際映画祭でもプロモーションが行われた。

⑤美しいインドネシアのロケーション

2023年10月にバタム島のWiluan's Infinite Studiosで制作が開始された本作は、その後インドネシアの大自然の中でロケが行われた。

インドネシアのローカルニュースによると日程は下記の通り。
10/14~10/15 シトゥ・グ・ヌン、スカブミ(ジャングル高地・山)グデ山の湖周辺
10/15〜10/18 チュルグ ソドンへ移動
10/18〜10/22 チュルグ ソドン(滝のある洞窟)
10/23〜 サワルナ バンテン(海岸)

出てくる地名をGoogleマップで調べてみたが、美しく壮大なインドネシアの大自然に映画への期待が一層高まる。

■Situ Gunung


■Sukabumi

https://maps.app.goo.gl/cQyDWxL6CH7fTnrb8


■Curug Sodong


■Sawarna Banten


東京国際映画祭ティザーよりディーン・フジオカ


➅SAWARUNAビーチでのロケの様子

予定通り2023年の10月末に撮り終え、最後のスピーチで主演のディーン・フジオカは「素晴らしいチーム!またみんなと仕事がしたい」と感慨深く感謝を伝えた。

あるスタッフのインスタグラムには和気あいあいとした当時の様子が残されている。

https://www.instagram.com/p/CzGEUBAyzQh/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==


⑦2023年一番大変だった撮影

ディーン・フジオカが2023年を振り返った時に、真っ先に挙げたのが
「命の危険を感じるような」『オラン・イカン』の過酷な撮影だった。
「物理的にジャングルの中でも撮影であったり、インド洋での撮影であったり、足枷を付けながらでのアクション…。過去1、2位を争うフィジカルが大変だったプロジェクト」と語った。


SCfilmsInternational HPより

⑧第37回 東京国際映画祭にガラ・セレクションとして登場!!

そして2024年、第37回東京国際映画祭に栄えあるガラ・セレクションとして選出された『オラン・イカン』。
ちなみに作品の主演として、ディーン・フジオカは実に18年ぶりに東京国際映画祭に帰ってきた。
2006年の映画デビュー作、ヤン・ヤン・マク監督『八月的故事』は香港映画の主演としての参加であり、ティーチインを行った。
ディーンにとっても東京国際映画祭は自分の原点を思い出す機会であるに違いない。


なお、選出が発表された時点で『オラン・イカン』は配給未定であった。

是非、東京国際映画祭で話題になり配給会社が決まり、数か月後には日本の各映画館で上映されることを願って止まない。

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ありがとうございました!

(完)

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