旅の空と人の身体
フランス人の機嫌のように
山の天気はコロコロ変わる。
晴天の午後は
青空が湖に映って
逆さまの完璧すぎる世界に
思わず足を止めて見惚れた。
曇りの朝は
雲が町まで降りてくる。
フランス語でボーっとしている人を
Être dans les nuages ( 雲の中にいる)と表現する。
私が昔からよく言われていたことだけど、
この日は文字通り雲の中でポーッとなっていた。
天気予報はあてにならず
雨も降ったり止んだりする。
南仏でとつぜん降ってくるザーザー大粒の雨ではなく
霧雨のような細かい雨が
あら降ってきたという感じで雲から静かに落ちてきて
気づいたらいつの間にか止んでいる。
湿気の多い日本で7月を過ごし
( 穴森神社の上から見た空↑
娘の日本の友達は天気少年、雲の名前に詳しくて
いろいろ教えてくれたっけ)
太陽が痛いほど照りつける南仏に戻り、
数日で今度は肌寒い山に来た私の体の変化は
わかりやすかった。
日本では汗だく、でもツルツルだった肌は
山についてすぐに粉を吹いたように乾燥した。
そこからいろいろな保湿クリームやらパックやらを経て
一皮むけたように落ち着いてきた。
胃腸も然り、この夏は
いろいろなものを食べて飲んでいる。
少々お腹を壊しても
胃がムカムカしても
また山の空のように
すぐに晴れるだろうと思うと心が軽くなる。
そして本当に肌も胃腸も
新しい土地の気候や食べ物に
あまり気にせずいれば
わりとすぐに慣れるのだ。
旅は体と心を強くする。