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あしたの家に住む子供たち
春休みに遊びに行った
紙漉き工場の土産屋で、ある英語の詩を読んだ。
いつか何処かで読んだ気がするのに
ひとつひとつの言葉がまっすぐに心に突き刺さり
その場を動けなかった。
家に帰って調べると
カリール・ジブランの預言者という本に
出てくる一節だった。
取り憑かれたように何度も読み返し
英語の本を注文した。
レバノンで生まれアメリカに育ち
パリで勉強をしたジブランの人生も興味深い。
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あなたの子供はあなたの子供ではない。
彼らは、人生の希望そのものの息子であり娘である。
彼らは、あなたを通じてくるが、
あなたからくるのではない。
彼らは、あなたとともにいるが、あなたには属さない。
あなたは、彼らに愛情を与えてもいいが、
あなたの考えを与えてはいけない。
何となれば彼らは、彼ら自身の考えをもっているからだ。
あなたは、彼らのからだを家にいれてもいいが、
彼らの心をあなたの家に入れてはいけない。
何故なら彼らの心はあなたが訪ねてみることはできない。
夢の中で訪ねてみることもできない
あしたの家に住んでいるからだ。
あなたは、彼らのようになろうとしてもいいが、
彼らをあなたのようにしようとしてはいけない。
何故なら、
人生は、あともどりもしなければ、
昨日とともにためらいもしないからだ。
あなたは弓であり、
そしてあなたの子どもらは、
生きた矢としてあなたの手から放たれる。
弓ひくあなたの手にこそ喜びあれと。
カリール・ジブラン「預言者」 星野道夫訳
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親と子供も
夫婦であっても
それぞれが
別々の人間であるということを
絶対に忘れてはいけない。
自分の一部のように思ったとたん
期待しすぎたり
自慢したり
失望したりするのではないか。
家族だって
それぞれの思考や感情を
尊重し合って暮らした方がよい。
この本は私のバイブルになった。