バッハの3つの愛
ラ・ロック=ダンテロン国際ピアノ祭では
1日2回か3回に及ぶコンサートが
7月半ばから、ひと月続く。
ラ・ロック=ダンテロン市外の近郊の町でも
番外編として
若い音楽家によるミニコンサートが
たくさん開かれているので
ものすごい数の演奏会が開催される。
毎年送られてくるプログラムを開き
たくさんのコンサートから絶対行きたいものを
選択する。
アレクサンドラ・ドヴガン譲のコンチェルトに続き、
クレール=マリー・ル・ゲ女史の
演奏会を聴きに行った。
クレール=マリーさんは
娘が昨年から時々レッスンをして頂いている
憧れの先生でもある。
この日は
Les 3 amours de Bach バッハの3つの愛
という朗読コンサートだった。
アカデミーフランセーズの会員でもある
大作家のエリック・オルセナ氏が自身の文章を
朗読し、合間合間にクレール=マリーさんの
美しいバッハの調べが響いた。
オルセナ氏は
クレール=マリーさんの2冊目の著書の
推薦文も書かれている。
音楽と本を愛する娘は、
オルセナさんの本を学校で勉強したといって
コンサートを本当に楽しみにしていた。
演奏会のタイトル、バッハの3つの愛とは
2人の妻、マリーア・バルバラとアンナ・マクダレーナ、
そして音楽のこと。
とても暑い日だったが
この音楽祭の目玉会場である
フロラン城公園に響く夕方の蝉の歌声と
クレール=マリーさんのピアノの深い音色、
そしてオルセナ氏の言葉が繋ぐ対話が
親密で美しい時間を作っていた。