【オリジナルグッズ】 Inspired by 清少納言&佐渡ヶ島
1000年以上前に清少納言によって書かれた随筆『枕草子』。
春はあけぼの。
夏は夜。
秋は夕暮。
冬はつとめて。
清少納言の感性と審美眼で綴られた四季の美。
春は桜。
夏は海。
秋は収穫(美味しいもの)。
冬は雪。
が真っ先に浮かんでくるわたしとは、
何かが違う…。
ふと思い至ったことは、
主体を人間ではなく自然においているのではないかというもの。
近年は、そういった四季折々の自然を感じ、
愛でることが難しいと感じるほどの天候もしばしば…
さらに、自然は美しいだけではなく、
その生命力や異常気象に伴う災害に脅威を感じることも多い。
主体を人間におきすぎた結果だろうか。
けれど、佐渡に暮らしていると、
佐渡の風景の中にも清少納言が愛でたであろう
美しい風景が今なお目の前に現れることに
ちょっとした感動を覚えることがよくある。
1000年の時を経てもなお、
ときに壮大なアートのような美しさを与えてくれる
自然を主体とした考えや暮らしを大事にしていったら
きっといい方向へ流れていく、のではないかと考えてみたり。
デザインを作成しながら、そんな考えが流れていく瞬間もあった。
とはいえ、清少納言が選んだ四季それぞれの美しい光景を想像しながら、
それらを佐渡で実際に見た光景の中から見つけていくような作業は、
自分でもびっくりするほど楽しい時間になった。
ほんとはただの遊びごとから始まったデザインなのに、
Instagramで春、夏、秋、冬で「どのデザインが好きか?」
のアンケートをとったりしたら、
もうちょっとこれらをかたちにしてみたくなったのだ。
そんな流れから生まれたデザイン、そしてオリジナルグッズ。
suzuriさんにて、販売してみることに。
Tシャツ、ロンT、スウェット、パーカー、バッグにスマホケース…etc
色展開、サイズ展開豊富なsuzuriさん。
興味ある方は、のぞいてみてください。
それにしても簡単にオリジナルグッズが作れてしまう時代。
suzuriさん、ありがとう。
「あけぼのって何?」「つとめてってどういう意味?」
なんて、Tシャツ着てたら誰かが聞いてくるかもしれない。
そんな時は…
「これは清少納言がだな…、枕草子って聞いたことあるだろう?
…とにかく日本は四季がある美しい国なのだ!」
と、そんな会話が生まれたらちょいと嬉しくなっちゃうわ、
などと妄想してしまうわたしなのであった。
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【全文】
春は、あけぼの。
やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこし明りて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる。
夏は、夜。
月のころはさらなり。闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。雨など降るも、をかし。
秋は、夕暮。
夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入りはてて、風の音、虫の音など、はた、言ふべきにあらず。
冬は、つとめて。
雪の降りたるは、言ふべきにもあらず。霜のいと白きも。またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりて、わろし。
【現代語訳】
春は、明け方。
だんだんにはっきりしていく山の稜線に近い空が、少し明るくなって、紫がかった雲が、横に細長くかかっている。
夏は、夜。月の出ている頃の夜はもちろんである。闇夜もやはり、蛍がたくさん飛び交っている。また、蛍がただ一つ二つなど、かすかに光って飛んで行くのも趣がある。雨など降るのも風情がある。
秋は、夕暮。
夕日が照って、山に沈もうとしている頃に、烏が寝どころへ行こうとして、三羽四羽、二羽三羽など、急いで飛んでいくのさえ情趣が感じられる。まして、雁などが列をなして飛んでいるのがとても小さく見えるのは、たいそう趣がある。日がすっかり暮れてしまって、風の音、虫の音などが聞こえるのは、また、言うまでもない。
冬は、早朝。
雪が降り積もっている早朝は、言うまでもない。霜が真っ白におりているのも(いい)。またそうでなくても、ひどく寒いので、火など急いでおこして、炭を持って行くのも、まさに冬の早朝にふさわしい感じがする。昼になって、だんだんにあたたかくなり寒さがゆるんでいくと、火桶の火も、白く灰が多くなって、よくない。
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