エッセイ『コーヒー』

コーヒーが好きで一日に何杯も飲む。
朝起きたら一杯、息子を送り出しては一杯、仕事や家事をしながら一杯・・・
と一日のうちに5〜6杯飲むこともある。
それが最近、体の調子が変わってきたのか目が覚めるはずのコーヒーが朝の二杯目あたりから飲むとぼーっとしてしまう。
なんとなく体に合っていない気がして、息子の朝食を用意しながらの一杯だけはなかなかやめれずにいるが、今年に入ってから飲む量をかなり減らした。
減らした分、代わりにルイボスティーやほうじ茶を飲む。紅茶や緑茶もたまに飲むが、濃いのが苦手でかなり薄めに出して飲む。
カフェイン全般が体に合っていないのかもしれないと思い、いろいろ調べてみるとポリフェノールも影響しているようだ。そうだ確かに私はビールは浴びるように飲むが、ここ何年かワインがほとんど飲めなくなっている。特にポリフェノールの多い赤ワインがダメだ。
ワインのように飲んでしんどくなるんじゃどうしようもないけど、コーヒーまで飲めなくなるのは寂しすぎる。原因が一緒でないことを祈る。

豆のこだわりは特にないからスーパーで買うようなコーヒー豆の粉で十分。
ペーパーフィルターに専用のスプーンでどさっと入れて、コーヒーを淹れるために買ったラッセルボブスの口の細い電子ケトルから、ゆっくりポタポタとお湯を回しかけていく。
お湯をかぶったところからふわ〜っと香りを立たせながら、フィルターを濡らしていくのを眺める。
時間がないときはジャーっとお湯をかけてしまい、色も味も香りも味気ない出来上がりになる。これだと思い入れがなくって、一気に水のように飲み干してしまう。
じっくりお湯をコーヒーの粉の上からくるくる回し入れていくとポコポコと浮き上がるように蒸らされて、同じ豆でも色も香りも違った、とろりとまろやかな味わいになる。
たまにはお気に入りのカップに注ぎ、ちゃんと座って飲む(朝は大抵キッチンで立
って飲んでいる)。するとふ〜っと息をつくのにぴったりな、そこだけ時計がゆっくり動くような感覚に、たった何分かだけどしてくれる。こうやって私はせわしなく生活している自分をリセットできる。

ところで浴びるように飲むと言ったビールも最近控えめだ。週に1〜2本缶ビールを飲むくらいにしている。ひとりで飲んでもつまらないし、妙に酔うのが早い。
どうやら自粛が高じて、なにか外出以外も真面目に過ごさねばとしているようだ。
家にいる時間がこうも長いと単調で面白みに欠けて、「ああ、また今日も終わってしまった」と思うことが多い。

一日のうちにふ〜っと肩の力を抜いて、ゆるりとした自分のための優しい時間もあった方がいい。そのために手放さない方がいいものもある。

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