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ビーチにセレブ!ロサンゼルスと鞄。

そんな漠然とした問題意識を抱えながら、今度はロサンゼルスへ向かった。

そこでは副社長の山﨑の知り合いである「関くん」と合流した。彼は現地法人を作り、15年も物流から日本のブランドの紹介まで現地でやっている。

「滞在期間は少ないけれど、現地の商業施設やセレクトショップなど全体感が知りたいので、2日間案内していただけますか?」という内容の依頼をした。

空港で初対面だった。

「こんにちは!」

関くんは爽やかな雰囲気の方だった。
(私は初対面の人には少し人見知りになるのだが、何となく自分の会社にいそうな雰囲気だなあと思っていた。笑)

ロサンゼルスは車社会だ。
関くんの車に乗り込み、まずはハリウッドの方へ向かう。
最初にランチを食べながら全体の方向性を議論していた。


「ここは結構人気なレストランです。」と言われたところは何だか映画に出てきそうなカフェテラスだった。

サンドイッチを注文したら、とんでもなくでかいものが出てきたのにも驚きだったが、高級車がどんどん店前に到着して、ノースリーブの女性たちが小ぶりな鞄だけ持って店内に入る様子は衝撃的だった。

「私たちみたいに、大きなバッグを持っている人なんて全然いないねー!」と別世界のファッションに私たちは驚いていた。

その後は百貨店や商業施設を周った。ビーチ沿いの路面店エリアも本当に素敵だなあと思いながら視察した。

更にタイミング良く「SHOW ROOM」という展示会が行われていて、新規のブランドの立ち上がり方なども学べた。

「ねえ、関くん、こっちで15年も仕事をしているってすごいと思うんだけれど、スタッフを抱える上で大変なことってなに?」

「そうですねえ。やっぱり大きくは、日本人の経営者のもとで働きたいという人がなかなかいないことですかね。だから、スタッフは日本人が多いんです。」

私が途上国にいた時は「日本人と働きたい!」という現地の人と接する機会が多かったけれど、米国では逆転。本当に世界は広く、また複雑だなあとじわじわ感じていた。

その後も関くんは、私たちの考えや価値観を素早く飲み込んで「それだったらここに行ってみましょう!」とフットワーク軽く、短い滞在を非常に充実したものにしてくれた。

帰国する日の朝、7時くらいに起きてカフェでコーヒーを飲みながら、今後の米国との付き合い方について思考を巡らせていた。

米国は州によって全く違う価値観と文化圏が存在している。
ニューヨークとロサンゼルスではきっと、売れる鞄も違うし、色も違うし、店装も違うし、何よりお客様が圧倒的に違う。
どの州で何をやるのか、細かくて精密なプランがなければ、この大国での挑戦はあまりにも大きすぎると思った。

「物を売る」という行為は、もしかしたら最後かもしれない。

「自己紹介」を最初にすることが、今、一番大事なことなんじゃないかなあ。

そう思うと、あの時取った行動は、やっぱり正しかったのではないか、と思った。

この米国に出張する1年ほど前に、私はあるアクションを起こしていた。


続く。。。

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