山口絵理子 Eriko Yamaguchi

株式会社マザーハウスCEO兼デザイナー / ERIKO YAMAGUCHIデザイナー / insta: erikoyamaguchi_official

山口絵理子 Eriko Yamaguchi

株式会社マザーハウスCEO兼デザイナー / ERIKO YAMAGUCHIデザイナー / insta: erikoyamaguchi_official

マガジン

  • 米国挑戦日記

    山口絵理子の米国を舞台とする新たな挑戦を綴ったストーリー。 日本から世界へと一歩を踏み出して体験したリアルをお伝えします。

  • My Little Essay

    ファッションやデザインについて、山口絵理子が日々想うことを綴るショートエッセイ。 ファッションアイテムを通じて年齢・性別・国籍などの差異を越えた世界観を表現する「ERIKO YAMAGUCHI」(2022年9月リリース)にまつわるストーリーもお届けします。

最近の記事

ウズベキスタン出張日記 後編

前編に続き、ウズベキスタン出張で体験したこと、感じたことを書いていきます。 前編はこちらから。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 地方行政機関の皆さんに講演会を行ったり、バッグの工房で職人さんとデザイナーのセッションを通して国境を超えて「作ること」が共通の喜びなんだと感じたり、少しずつウズベキスタンのことを知ることができた。 それから、滞在中にとびきり感激したものづくりは、「シルクの絨毯」だった。 「機械で紡績されたシルク」を「化学染料」で染め上げ

    • ウズベキスタン出張日記 前編

      今月はJICAさんからの要請でウズベキスタンに行った。 タシケントから、フェルガナ、そして陶器で有名なリシタンという3箇所の現地ものづくり産業をめぐり、現地の産業育成のためにアドバイスを、というご依頼だった。 南アジア6カ国で立ち上げを行ってきた私にとっては初めての中央アジアで、自分の知見がどこまでお役に立てるのかちょっと不安だったが、メインで皮革産業のアドバイスを、ということだったので革のなめしやバッグ作りは本業と重なる部分も強く感じ、行くことを決めた。 タシケントま

      • 西インド出張手記

        先月、西インドに行ってきた。 西インドの新しい地域を巡って、いろいろと人生やものづくりなど、考えることがあった。投稿する意図のない日記をたくさん書いていたが、せっかくなので少しnoteに投稿しようと思う。 ―――――――――――――――――――――― 今、西インドのアーメダバードから5時間の寝台列車の中にいる。 手仕事の村ブージに向かう途中だ。 旅の始まりは、ガンジーさんの活動拠点、アーメダバードからだった。 アーメダバードの朝陽を見ると、場所の力か、景色が美しい

        • 米国、新たな登場人物

          実はLAで過ごした3日間、1人面白い方と会議ができた。 米国でデジタルのコンテンツ制作を主に、ブランディングやマーケティングをやっていて、その業界で一流の人だ。 アメリカ人で、Bさんという。 今回、一緒に同行してくれ共に全部を形作ってくれたYさんが紹介してくれて、パーティーの準備時間にテラスで打ち合わせをした。 非常にフランクなBさんは、挨拶をすると、とても上手な日本語を話した。 「目黒の広告会社で働いていたことがあるんです。」と笑顔で話してくれた。 それからBさんが

        マガジン

        • 米国挑戦日記
          20本
        • My Little Essay
          5本

        記事

          米国出張LA

          夜19時からのパーティが終わったのは22時だった。 その間、たくさんの個性的なお客様が来てくれて、終わった時には150人くらいが来てくれた会になった。 当初は30人くらいかなって思っていたのに・・・・。 お客様は、私がデザイナーだというと、強くハグしてくれる人たちだった。 そして、お洋服を見て、鏡の前で合わせてみて、みんな表情豊かに唸るような顔で 「Fantastic!」とか「Super!」とか感嘆の言葉をくれた。 とある有名なフォトグラファーのお客様は、私のミニ

          米国出張へ

          9月18日。NYへ出発した。 13時間のフライトを経て、ついたジョンFケネディ空港の匂いを嗅ぐと、アドレナリンが湧いてくるような感覚があった。 ゲートに待ってくれていたのは、LAのチームの一人で本当に今回お世話になっているYさん。ずっとオンラインで話し合っていたから、リアルに会えたらすごく嬉しくなって緊張感が少し解けた気がした。 依頼していたウーバーがきて、ホテルに荷物を預け、早速昼間から物件前で不動産屋さんと待ち合わせをし、そこからは十四件の物件を視察した。 東京、

          プライベートエキシビジョン・・・?

          ついに米国出張が決まり、最近、L.A.(ロサンゼルス)のチームと会議が複数回行われている。 ある会議の時にチームからこんな提案があった。 「今日はちょっとある企画を持ってきました。L.A.で一気に認知してもらうために、プライベートエキシビジョンのようなものを、会場を借りて主催したらどうかと思うんです。デザイナーが来て、直接話を聞ける機会なんて、絶対認知を広げられるチャンスなので」と。 「ん・・・?プライベートエキシビジョン・・・?それは展示会のようなものですか?」 「

          プライベートエキシビジョン・・・?

          迫る米国出張。

          ファッションショーに参加してくれたスタイリストさん、名前はブルックリンさんという。 彼女は「ロサンゼルスに来たら紹介したい人がいる。」と言ってくれた。 そしてその方は、正直言って超ド級の音楽業界の方だった。 そのため、私は、ショーのテンションの高さなどから半分以上は社交辞令だと、最初は受け止めていた。 だが、彼女はお洋服をとっても気に入ったと言って、12着もトランクに入れて米国に帰ったのだ。 そして、名前が上がった方は、彼女のクライアントであるのも事実なので、内心(本

          ファッションショーが導いてくれた、新しい出会い。

          だいぶ間が空いてしまいましたが、米国進出の話が少しずつ進んでいて、色々書けるようになってきたので、再びnoteを投稿します。 前回はNEWSWEEKの記事が出て、米国の不動産の方とオンライン会議をして、出店候補地があるのかどうか、卸からなのか直営店なのか、直営店なら家賃はいくらなのかとか、そんな調査を続けていたところだった。 (ああ、ニューヨークの路面店、SOHOなんて10坪で250万かあ。やっぱり東京の1.5~2倍だなあ。。。でも10坪だったらカバンがちょっとしか置けな

          ファッションショーが導いてくれた、新しい出会い。

          交差点。

          今日は42歳最後の日。 (これくらいの年になると、公言しないものなのか私にはよくわかりません笑) 今日は、日本のマネージャーのみんなとデザイナーズルーム(本社から歩いて2分の場所にある私のアトリエ)の大きなテーブルを囲んで会議をした。 それは日常風景なんだけど、0から1を作ってきたものたちを初めて共有する会議だったからちょっと緊張していた。 実は2年近くかけて作ってきたものだった。 途上国の可能性を届けたいって気持ちで初めての資材、初めての工場、初めてのデザイン、初

          NEWSWEEKからの不動産会社??

          NEWSWEEKが米国で出版されて数日後、私のインスタグラムに複数のDMが届いた。 本当に色々な種類のメッセージがあったので、ここでは全部は紹介できないけれど、一つ、「え?」と驚いたメッセージがアメリカから届いた。 米国不動産最大手のSIMON PROPERTY GROUPの代表の方からだった。 そこには「NEESWEEK読みました。ウェブサイトで商品を見ました。ミニマム且つ機能的な日本の美を持つプロダクトに、まず惹かれました。私たちは米国で最も多いショッピングモールを

          NEWSWEEKからの不動産会社??

          「手仕事のゴール」を考えるラオス旅

          ラオスに来ている。 一週間の出張で、首都ビエンチャンから始まり、鉄道で3時間かけたウドムサイ県を経由して、さらに車で山道を5時間かけてルアンバパーンに今着いた。 仕事柄、アジア各国の手織り布を見てきた私だが、ラオスの手織り布の丁寧さや柄の精密度は圧倒的だ。 もちろんここにある手仕事は手織り布だけじゃない。今日で、10社以上の工房にお邪魔した。竹や葛の素材を使った雑貨や、紙を作る工房もまた素敵だった。 しかし、手織の布には強さがあル。ラオスには、少数民族がいて、それぞれ

          「手仕事のゴール」を考えるラオス旅

          世界への自己紹介。          NEWSWEEK国際版に掲載!

          本のことが、一旦トーンダウンした今週、なんとBIGなニュースが飛び込んできた。 「ついに、印刷が上がりました!!」 そう言って、広報のスタッフが持ってきたのが、NEWSWEEK国際版だ。 昨年末、私たちの会社に先方からこんなメールが届いていた。 「日本を代表するファッションブランドの一つとして、是非紹介したい。途上国の素材と職人の技術を、日本のデザインエッセンスに掛け合わせた唯一無二の存在であるマザーハウスを、掲載したいと考えています。購読者数は世界で4600万人です

          世界への自己紹介。          NEWSWEEK国際版に掲載!

          米国挑戦日記のこれから

          NEILさんがブックフェアを訪れ、企画書を持って回り始めてくれたらしい。 「代理人」といっても、スムーズに連絡が取れるわけではないので、期間中はなかなか反応をすぐにもらうことはできなかった。 数日経った後に、「複数の国が興味を示してくれた」ということをYさん経由で知ることとなった。 しかし、それから1ヶ月、具体的な話が進展せずに、今に至る。 定期で行っているミーティングも、一度動きが出るまでやめましょうという話も持ち込まれた。 何となく、トーンダウンしてしまった状況

          米国挑戦日記のこれから

          運命を決める、一枚のサマリー。

          前回のミーティング時に代理人のN氏(以後Nさん)は、3月に行われるロンドンのブックフェアに行くと、Yさんから聞いていた。 それにあたり、A4一枚のサマリーをNさんが作ることになった。 私からも経歴や日本での出版状況や、今の事業をどうみているか、また複数の写真などの提供をした。 どんなサマリーができるのか、ちょっと緊張しながら待っていたら、ある会議の中で、Yさん経由でNさんからの指摘をもらった。 「結局、起業の物語は米国でも山ほどある。特に黒人女性のテック系の起業物語は

          運命を決める、一枚のサマリー。

          出版に向けてのネクストステップ

          野球界と同じで、本の産業にも、有名な代理人が何人かいるらしい。 当然Yさん自身は、代理人ではなく、過去の本のプロジェクトにおいては代理人と一緒にチームを組んで、協働してきた経験があると教えてくれた。 私は過去に、講談社さんで4冊と、他の出版社から1冊出版をしているが、日本での出版実績が非常に大きな説得材料になるようだ。 「でも、印象として日本の人が読む本とアメリカで読まれる本って相当違うと思うんですが、それでも日本の部数が何より大事ということになるんですか?」 「そうで

          出版に向けてのネクストステップ