家族と過ごす日常の大切さ
徳島新聞 読者の手紙 2021/12/31掲載
今年は、自粛生活をどう過ごすか千思万考した年であった。家でできるだけのことは済ませようと子どもの散髪にも挑戦した。今では「母ちゃんの散髪屋さん」もすっかり板に付いてきた。
頭がさっぱりした長男は「2千円得したなぁ」とニッコリほほ笑んだ。次男は坊主頭がよく似合いお気に入りのようだ。浮いた散髪代は家計の足しになった。
外出を控えたことで、子どもには退屈な思いをさせたかもしれない。そんな中でも、日常が楽しいものであってほしいと思うのが親心だ。食事を作る時は、子どもができるお手伝いをしてもらった。野菜の皮むき、混ぜる、調味料を入れるなどだ。簡単な作業は子どもも「やりたい!」と喜んでしてくれた。
炒める作業はやけどの心配があるが、それも経験の一つだと思い、常に注意を促しながら長男に任せた。子どもたちのお手伝いは調理時間の短縮につながり大変助かった。出来上がった料理は達成感を味わいながら、おいしいとペロリと食べてくれた。夫は手伝った子どもたちを「偉い」とほめ、うれしそうに料理を口にした。
家族と過ごす何気ない日常の大切さを改めて感じる。時代の転換期を迎え、今まで当たり前だったことが当たり前でなくなった。密になることを避け人と距離を置くことで人間関係も希薄になってしまわないかと不安になる。せめて家族関係はどんな時も親密で温かいものでありたいと思う。