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【香害】柔軟剤と洗剤、除菌消臭剤について

近年、日本では「香害」と呼ばれている新しい公害が生まれていることをご存知でしょうか?

香害(こうがい)とは、化粧品や柔軟剤、合成洗剤などの日用品に含まれる合成香料(化学物質)のにおいによって、不快感や健康被害が生じることです。

香害による症状には、頭痛、吐き気、のどの痛み、咳、めまい、動悸、倦怠感、不眠など、人によって症状はさまざまです。また、香りに含まれる化学物質がが原因となって化学物質過敏症を発症するケースが増えています。

化学物質過敏症とは、日常で触れるさまざまな製品に含まれる微量の化学物質に敏感に反応する病気で、頭痛やめまい、脱力感などの症状が現れます。反応は個人差が大きく、大人になってから突然発症することもあります。

私自身も2018年頃を機に、家族が使用していた化粧品の香料に反応し出して、徐々に他の成分にも反応するようになり、今では外出する時には防塵マスクをしなければ出掛けることが難しくなりました。たとえ、防塵マスクをしていても、スーパーやドラッグストア、銀行、病院など、人が集まる場所は柔軟剤や抗菌成分の洗剤の香料の臭いがキツすぎるのと、そういう場所で少しでも滞在するだけでも衣服や身体に移香してしまうので、余程の必要がある場合以外では立ち寄ることはありません。

香害の被害で悩んでいる人の症状は、香害を感じない人たちにはなかなか理解されず、単純に嗜好の問題や精神的な問題、または花粉症などのアレルギーと同じ程度の問題と片付けられるケースもしばしばあるようですが、化学物質過敏症を発症した場合には、花粉症のようなアレルギー反応というよりかは、むしろ毒物に対する中毒症状だと捉える方が正しいようです。

化学物質過敏症の場合、特定の化学物質に身体が拒絶反応を示すため、物質の量に関わらず、物質が微量であっても存在していると反応が出てしまいます。そのため、他の人には感じることが出来ないごく微量の化学物質や香料であっても、敏感に感じとり拒絶反応が出てしまいます。

しかし、普通の人には感知できないレベルであるため、いくら身体が拒絶反応を示し苦しいと訴えても周囲の理解を得られない、または、化学物質過敏症などは存在せず、精神的な問題だ、わがままだ、と非難を受けることで、結果的に追い込まれ精神的にも病んでしまうという悪循環も生まれています。

ここ数年に至っては、以前よりもマイクロカプセル技術を使用した「香り長続き」や「除菌、抗菌」というキャッチフレーズの元にさまざまな洗濯洗剤や柔軟剤、その他ヘアケア商品などが販売されていることもあり、香害の被害はどんどん拡大しているように感じています。化学物質過敏症でない人であっても、近年の柔軟剤や洗濯洗剤の香りの強さには辟易している人も増えている印象です。

香りを長持ちさせるために使用されるマイクロカプセルは、摩擦や熱などの外部からの刺激によってはじける仕組みで香りを放出します。使用されている成分の有毒性もさることながら、マイクロカプセルとは厄介なもので、接着剤のようにあらゆるものの表面に付着して、一旦付着してしまうとそれを除去することが非常に困難な点です。(実際に洗剤メーカーに除去方法を問い合わせても完全に除去する方法はない、と言われるそうです。)

香り長持ち仕様の柔軟剤などには、キャップ一杯に数億個のマイクロカプセルが含まれていて、はじける前のマイクロカプセルの大きさは花粉程度、はじけた後はPM2.5程度になるそうです。衣類に付着したマイクロカプセルは、外部の刺激によって着用している人の周りで弾けて香料成分を放出するだけでなく、衣類から空気中に浮遊して他の人や衣服が接触した物に付着します。

例えば、マイクロカプセル仕様の製品で洗濯した衣服を着用している人が椅子に座ると、椅子の座面は背もたれに衣服からのマイクロカプセルが付着します。今度は、その付着した椅子を次に使用した人の背中やお尻の部分にマイクロカプセルがくっついて、実際に使用していない人の衣服が香料まみれになる、これがいわゆる「移香」と言われる現象です。

2024年2月9日1459号の週刊金曜日には移香の実証実験が掲載されました。


香害の問題の中でもこの「移香」による二次被害が多くの人にとって大きなストレスとなっていると思います。衣類だけでなく、この頃では、食材や無香料のはずの日用品にも香料成分がしっかりとついていたりするケースも増えてきています。しかし、たとえ、購入したお店にクレームを入れたとしても、そこで働いているスタッフ自体が柔軟剤のヘビーユーザーだとすでに嗅覚疲労を起こしていて、香料を感じることができないので、結局きちんと対応してもらうことも難しいという現実があります。

常に同じ香りを嗅ぎ続けていると嗅覚は麻痺し、香りを感知しなくなります。嗅覚疲労になると、柔軟剤や抗菌洗剤の香りにも鈍感になるため、ますます使用する量を増やすというケースも多いようです。

正常な嗅覚を取り戻すには、数ヶ月ほど香料製品の使用をやめる必要があると言われています。

ただ、柔軟剤などのヘビーユーザーの場合は、すでに香料に含まれる化学物質が麻薬と同じ作用を引き起こすため「香り」の中毒になっているケースもあるので、その場合には香りを断つことは難しいようですし、嗅覚が正常に戻るまでには6ヶ月ほどは必要になるかもしれません。

ご自身の嗅覚が正常に機能しているか、を判断する方法として、まずは、ご自宅で使用されている洗剤類の香りを確認してみてください。

スーパーなどで販売されている大手メーカー3社、ライオン、P&G、花王の製品を使用されている場合、柔軟剤だけでなく、普通の洗濯洗剤であっても必ず全ての製品に人工香料が使用されています。しかも、年々その香料はどんどん強くなっています。特に、最近よくある抗菌除菌成分の入った洗剤は、殺虫剤やサンポールのような強烈な刺激臭がします。

もし、そうした製品を使用していて、香りを感じない、無香料だと思って使用している場合、それはすでにご自身の嗅覚疲労によって、嗅覚が麻痺している証拠ですので、香料断ちをして嗅覚を元に戻す必要があると思います。

香りを感じずとも、有毒成分を呼吸をしたり、皮膚から体内へ取り込むことになり、今は大丈夫だと思っていても、長期的に見えればいずれ何らかの形で健康被害を及ぼす危険性があることを理解してください。

香料に含まれる内分泌撹乱化学物質は、ホルモンの正常な働きを乱して、生殖系や免疫系、神経系などに異常を引き起こす可能性があります。それ以外にも、柔軟剤や除菌抗菌洗剤に含まれる成分には、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、癌、アルツハイマーな様々な健康被害を及ぼす可能性も指摘されています。

たとえば、除菌抗菌グッズス含まれる除菌成分「Quat クウォット」には、「第四級アンモニウム化合物」「塩化ベンザルコニウム」「塩化アルキルトリメチルアンモニウム」などがあり、細胞膜を不安定にして細菌を殺す性質があります。

これは細菌だけに効くだけでなく、人の細胞にも効き目があり、経口、経皮、吸入などによって毒性が生じます。もちろん私たち人間よりも嗅覚が鋭く、身体が小さいペットたちにも害を与える危険性があります。

「塩化ベンザルコニウム」は、優れた殺菌作用があるため、消臭スプレー、おしり拭き、ウェットシート等、さまざまな日用品に使用されています。実際、現在市販されている大手メーカーの赤ちゃん用のおしり拭き、手口拭き、ウェットティッシュ(アルコールorノンアルコール)のほぼ全ての商品には、塩化ベンザルコニウム(ベンザルコニウムと表記)が使用されています。

また、驚くことに、アルコールを使用したものよりも、逆にノンアルコールタイプの除菌ウェットティッシュの方が毒性は強いケースもあるようです。お子さんやペットのために、安全だと思ってノンアルコールタイプを使用している場合には、今一度成分の確認をされることをおすすめします。ペットが舐めても大丈夫、という製品にもベンザルコニウムは使用されていますし、それ以外の化学物質も使用されていて、獣医さんの中にはペット用のウェットティッシュは毒だから使用しないことを薦める人もいるようです。

また、「第四級アンモニウム化合物」は、多くの合成洗剤や柔軟剤、シャンプーやリンスの合成界面活性剤として使用されていて、高い毒性、浸透性、残留性があることも知られています。

現在、日本では高度の有害毒性があり、皮膚障害やアレルギーを引き起こす可能性のある成分は、指定表示成分として、化粧品、制汗剤、シャンプー、入浴剤などの医薬部外品に表示する義務がありますが、柔軟剤や消臭、除菌スプレーなどは雑貨扱いのために、たとえ指定表示成分が使用されていたとしても、表示する義務がありません。

そのため、非常に有害・毒性の高い成分が含まれていたとしても、それを知らないまま使用しているケースも多いのかもしれません。

柔軟剤を使用しない人でも、洗濯洗剤にもマイクロカプセルが使用されていて、殺虫剤の類のもの凄い抗菌臭を撒き散らしている人も増えています。

特に、レノアやアリエールなどの除菌抗菌成分が配合された洗濯洗剤や消臭スプレーは、サンポールやトイレの芳香剤にも近い刺激臭がかなり強く、少し吸い込むだけでも、すぐに喉が焼けて舌が痺れたり、頭痛がしたり、柔軟剤の香り以上に毒性が高いのではないかと、体感的に感じますし、成分を見ると、実際、毒性はどんどん強くなっているようです。

ちなみに、前述している南雲医師のyoutubeによると、香害製品のはしりと言われているダウニーは、海外でも香りの強さが問題となったため、日本国内では、ダウニーとし販売せず、成分はほぼそのままで、「レノア」と新たな商品名にして日本国内では発売されているそうです。

レノア製品の香りの強さは、香害被害者には周知の事実でしたが、ダウニーと同じ成分と言われれば、それも納得です。

柔軟剤の香りもかなり酷いと思いますが、個人的にはアリエールなどの抗菌成分の入ってるいる洗濯洗剤のほうが辛いときがあり、少し吸い込むだけでも瞬時に喉が焼けるような痛みと気管支が締め付けられるような感覚があって非常に耐え難いと感じます。まるで殺虫剤を吸い込んだような刺激です。

肉体労働や接客など仕事柄、汗や体臭の臭いを気にする職業の方ほど、エチケットとして臭いを消すために柔軟剤や抗菌消臭洗剤などを使っている傾向があるようですが、それが返って香害の原因になっているのは、なんとも皮肉な話です。

しかし、柔軟剤や抗菌洗剤を日常的に使用されている人は、嗅覚疲労で感覚が麻痺しているため、使用している本人は臭いを感じないケースがほとんどだと思います。

例え、臭いを感じずとも、そうした製品を日常的に使用していれば、それは自分の身体だけでなく、周りの人やペットにも毒を盛っているようなもので、確実に私たちの身体はその毒に侵されていくのです。

パッケージに「合成界面活性剤」「抗菌」「除菌」の文字があるものは、非常に毒性が強いものが多いため、実際にどんな成分が含まれているのかをしっかり確認する必要があります。

安全に使える代替え品は、実はいくらでもあります。

危険性を知って、人とペット、環境に安全なものを選びましょう。

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