仕事帰りのアート散策|松濤美術館
「美術館に行きたい」
アートの世界に没頭したいと思うときはどのようなときでしょうか?
わたしの場合、気分転換したいとき、こころが乾いたとき、インスピレーションが欲しいときに美術館へ行きたくなります。
美術館には行きたいけれど、土日も意外と忙しいものです。
平日の開館時間が気になり調べてみると、金曜の夜も開館している美術館があることがわかり「これは行けるかも」と、歓喜しました。
この記事は、仕事帰りに決行したアート散策「松濤美術館/エミール・ガレ展」編です。
金曜夜、美術館へ行く
「1週間、お疲れ様でした」
今日は自分へのご褒美を実行するため、朝から仕事を段取りしていました。
次の日が休みという開放感にあふれたメンバーとの雑談が長く感じる夕方のオフィス
会話をかき分けながら、足早でオフィスを出ることにしました。
自分へのご褒美は「美術館へ行くこと」
今年に入って職場のメンバー変更に伴い、慣れない仕事と長時間労働が重なりメンタルダウンになりかけていたわたしは、久しぶりにアートの世界に没頭したいと思い、夜遅くまで空いている美術館を探していました。
見つけたのは、渋谷区にある松濤美術館
毎週金曜日は19時30分まで入館できます。オフィスのエリアにもよりますが、少し残業しても滑り込みできそうな絶妙な時間設定は、月〜金で働く人にとってありがたいですね。
アクセスは渋谷駅から徒歩15分。渋谷の街を歩くのは久しぶりです。外国からの観光客や若者たちが出入りする流行りのお店を横目チェックしながら歩けば、示された時間ほど感じません。
渋谷駅前の喧騒から離れ、しっとりとした住宅街エリアにたたずむ松濤美術館は建築家の白井晟一氏の代表的な美術館建築
作品の世界に集中できるように設計されており、上層階の廊下から中庭を眺めると、噴水がアートを引き立てる影役者のように見えました。
エミール・ガレについて知る
松濤美術館で開幕中のガラス作家「エミール・ガレ展」はまもなく閉会
仕事帰りに行くしかない!と決心した理由のひとつです。
ガレはフランス北東部ロレーヌ地方の出身で、ヨーロッパの装飾芸術運動「アール・ヌーヴォー」を代表する工芸家です。
ガレの父親は陶器やガラス器の製造販売をしており、ガレは自由に興味のある学問を学べる環境で育っています。ガレは複数の言語や歴史・数学・植物学・哲学を修め、成績優秀だったそうです。
これまでにはない世界観を表現するため、新しい技法にチャレンジしたり、
芸術普及のため廉価品から高級品まで生産したりと経営者としての手腕も素晴らしい才能を持っていた「天才」
なお彼の若かりし頃の写真を見ると、スマートでインテリな雰囲気がただよう好青年です。
日本人はガレ好き?
お金持ちの家には「ガレの作品」が飾ってあるイメージがあるのは、きっとわたしだけではないはずです。
成功者が持つアート。そのイメージができ上がったのは、1970年の大阪万博につづき、1980年以降にガレの作品を展示する美術館が増え、雑誌などで経営者や文化人が応接室のガレの作品を紹介したことがきっかけだそうです。
今回はガレ没後120年を記念した展示です。これまで紹介される機会の少ない国内の個人コレクターのレアな作品たちに出会えました。作品からあふれる生命力を感じて、個人が手放さない理由がわかったような気がしました。
憧れのガレ作品をお迎えしてみたいと思い、オークションサイトをチェックします。が、高いもので600万、安いもので2千円?!……本物を見極める眼力と経験が必要だということがわかり、見送りました。
どうしてもお迎えしたくなったら、信頼できる画廊で実物を見てから購入しようと思います。
美術館でパワーチャージする
お金に不安を抱えていた時代から、わたしにとって美術館は贅沢なパワースポット
作品と自分が向き合えば、自分の悩みがちっぽけなものに感じて、じんわりとこころが満たされていきます。
美術館は開かれた場所。作品から受け取るメッセージは人それぞれです。作家や作品の知識が少なくても、どんな気分で訪れても受け止めてくれる美術館がわたしは好きです。
さあ、美術館でパワーチャージして新しい1週間を迎えましょう。
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