『鬼速PDCA』
vol.12
2019/12/1
『鬼速PDCA』冨田和成 著
〜Topics〜
1.はじめに
2.「P=計画」
3.「D=実行」
4.「C=検証」
5.「A=調整」
6.まとめ
1.はじめに
本書では、「PDCA」を「前進するためのフレームワーク」と位置付ける。PDCAを回し続けている限り、ゴールに到達するまで必ず前に進むはずだからである。「PDCA」を「鬼速」で回し続けることができれば、個人も組織も圧倒的なスピードで成果を出し続けることができる。
以下が「PDCA」の構成である。
★Point
◇P=Plan:検証
ゴールを決め、課題を考え、KPIを設定し、解決策を考える
◇D=Do:実行
解決策を一段具体化したDOを考え、そのKDIを設定し、さらに具体化したTODOに落とし込み、実行する
◇C=Check:検証
KGI、KPI、KDIを検証し、できなかった要因とできた要因を絞り込む
◇A=Adjust:調整
検証結果を踏まえ、調整案を考え、次のサイクルにつなぐ(または中止する)
※「A」は一般的には「Action(改善)」とされる
以下、「PDCA」について、各章で述べていく。
2.「P=計画」
PDCAで失敗する人の約半数はこの「計画」段階で失敗する。計画は、適度に慎重に、適度に大胆に行わなければならない。(慎重すぎても雑すぎてもNG。)
以下、「計画」のステップである。
⑴ゴールを定量化する(KGIの設定)
1.期日を決める
2.定量化する=KGIを設定する
3.ゴールを適度に具体的なものにする
⑵現状とのギャップを洗い出す
定量的に洗い出すのがPoint
⑶ギャップを埋めるための課題を考える
まずは課題を「洗い出す」
⑷課題を優先度漬けして3つに絞る
<優先度の基準>
1.インパクト
2.時間
3.気軽さ
⑸各課題をKPI化する
KPIはできるだけ頻繁に検証でき、かつ成果が正確に反映されるものに設定する
⑹KPIを達成する解決策を考える
解決策を設定し、それらを具体的なアクション(DO)に分解、さらに具体的なタスク(TODO)へと落とし込む
⑺解決策を優先度づけする
<優先度の基準>
1.インパクト
2.時間
3.気軽さ
⑻計画を見える化する
目立つところに書き出し、頻繁に確認できるようにしておく
Cf.流れ星理論
PDCAの質(速さと深さ)「因数分解」の精度によって決まる。因数分解は基本的にロジックツリーを用いて行っていく。この因数分解を丁寧に行うことができれば、課題の見落としを防げるし、ボトルネックの発見もしやすくなるので、仮説の精度を上げることができる。
3.「D=実行」
計画を設計したら、次はそれらを実行に移していく。
その際のPointは「解決策」と「DO」と「TODO」の違いを理解することである。
・「解決策」
└課題解決のための方向性
・「DO」
└解決策を実現するためのアクション
・「TODO」
└「DO」を具体的なタスクレベルに落とし込んだもの
以下、「実行」のステップである。
⑴解決策を「DO」に変換する
解決策が抽象的なほうが複数の「DO」を出しやすい
(広い視点で考えられる)
⑵「DO」に優先度をつけ、やることを絞る
<優先度の基準>
1.インパクト
2.時間
3.気軽さ
⑶「DO」を定量化する
「KDI」(どれだけ計画を実行できたかを表す指標)を設定する
※結果目標である「KPI」は簡単にコントロールできるものではないが、行動目標である「KDI」は自分次第で達成できる
⑷「DO」を「TODO」に落とし込む
DOを実行の際に迷わないレベルまで分解する(スケジュールに書き込めるレベル)
※5W1Hで設計
⑸TODOの進捗を確認しながら実行に移す
最低でも1日1回確認する
※KDIの進捗確認は「検証」フェーズで行うが、TODOの進捗確認は「実行」フェーズで行う
「実行」において非常に重要なのは「タイムマネジメント」である。タイムマネジメントにおける原則は、「捨てる」「入れ替える」「圧縮する」である。「今抱えているDOで捨てられるものはないか?」と常に問いかけるのがポイントである。(捨てるために、DOやTODOに優先度をつけている。)
注意としては、「優先度をつけて実行してさえいれば、全てを完璧に遂行しなくても大丈夫」と考えることである。あまりにTODOを詰め込み過ぎて結果的に完遂できないと、人のモチベーションは急降下してしまう。それよりも、きちんと優先度をつけて「やるべきことからやる」と考えた方が結果的にいい方向へ進むことができる。
4.「C=検証」
検証する対象は以下の3つである。
◇KGI:ゴールの達成率
◇KPI:サブゴールの達成率
◇KDI:行動計画の達成率
以下、検証のステップである。
⑴KGIの達成率を確認する
KGIの本格的な検証は月に1度が目安
ただし、数字の確認は毎日行う
⑵KPIの達成率を確認する
あらかじめ設定した検証頻度で確認する
⑶KDIの達成率を確認する
設計通りに行動できたか、を基本的には毎日確認する
⑷できなかった要因を突き止める
~観点~
--------------------------------
*KGIが達成できていないとき
①KGIと課題が連動していない
②課題とKPIが連動していない
--------------------------------
*KPIが計画通りに推移していないとき
①行動が伴っていない(KDIの未達)
②行動は合っていたが不十分(DOの不足)
③想定してなかった課題があった(課題の未発見)
④仮説で立てた因果関係が間違っていた(KPIとKDIが連動していない)
--------------------------------
*KDIが計画通りに推移していないとき
①時間をかけられていない
└多忙だった
└やる気がおきなかった
②時間をかけたが未達
└目標が高すぎた
└やり方に問題があった
└障害があった
⑸できた要因を突き止める
できた要因を突き止め、それをもとに再現得できるようにする
検証の基本は、「検証可能は範囲内でできるだけ早く行う」ことである。サンプルが不十分に思えても、細かく検証した方がよりはやく最適解にたどり着くことができる。
5.「A=調整」
最後の「調整」フェーズでは、検証フェーズの結果を踏まえて対応し、次のPDCAサイクルにつなげていく役割を担う。
前提として、調整レベルは以下の4つのケースに分けられる。
①ゴールレベルの調整が必要なもの
②計画の大幅な見直しが必要なもの
③解決策・DO・TODOレベルの調整が必要なもの
④調整の必要が無いもの
これらを踏まえて、以下が「調整」のステップである。
⑴検証結果を踏まえた調整案を考える
考慮する観点は、「KPI・KDIの達成率」、「できなかった要因」、「できた要因」の3点である
3点をもとに、ゴール/課題/行動の「中止」「変更」「追加」が必要か?を考える
⑵調整案に優先順位をつけ、やることを絞る
<優先度の基準>
1.インパクト
2.時間
3.気軽さ
⑶次のサイクルにつなげる
調整案ができたら、
・新たな課題に関する情報収集
・関係者へのアナウンス
・KPIの設定、懸念材料の整理、解決策の議論といった計画立案
などをいち早く行う。
「調整」フェーズは、PDCAサイクルの中でも一番「わかりそうでわからない」部分である。ここがあいまいにならないようにするためにも、P/D/Cを適切に経なければならない。
6.まとめ
まとめとして、以下にPDCAを鬼速で回すための必要条件を記載する。
⑴因数分解で精度の高い仮説を立てる
⑵仮説思考、リーン思考で動く
⑶常にインパクトの多い課題、行動から着手する
⑷行動のアイデアが沸いたら、すぐにタスク化する
⑸行動目標も必ず数値化する
⑹TODOの進捗管理は毎日行う
⑺こまめに検証を行う
⑻要因分析時は「思い込み」を外す
⑼次のサイクルに迅速につなげる
⑽小さいPDCAを同時に多く回す
鬼速PDCAは究極の前向き思考である。
過ぎ去ったことは教訓として学んだらさっさと捨てる。アルステージまで到達できたら、さっさと新しいPDCAを回す。現状で満足するという概念は無い。走り続ける必要があるので大変でもある。人よりはやく走るので、楽なわけもない。しかし、「前進を続ける人生の方が絶対い楽しい。」こう考えられる人には、是非鬼速PDCAを実践していってほしい。