『1分で話せ』
2019/12/16
vol.14
『1分で話せ』
伊藤羊一 著
~Topics~
1.はじめに
2.「伝える」ための基本事項
3.1分で伝える
4.1分でその気になってもらう
5.1分で動いてもらう
6.まとめ
1.はじめに
「伝え方」について考える前に覚えておくべきことは、「人は、相手の話の80%は聞いていない」ということ。自分が話したことが全て相手の頭の中に残ることはほぼ不可能である。
それでも自分の主張を空いてに伝えて実際に動いてもらうにはどうすればいいか。ここで必要になるのが、「1分で話せるように話を組み立て、伝える」ということである。
以下、「1分で伝えて、動いてもらう」ための方法についてまとめていく。
2.「伝える」ための基本事項
プレゼンにおいて必要となる要素は、「誰に、どうしてもらいたいか」(を考えること)である。
~事前に考えるべき基本事項~
①誰に
Ex.
・相手はどんな立場にいるのか
・相手はどんなことに興味があるのか
・相手は何を求めているのか
・相手はどのくらい理解できるか
②どうしてもらいたいか(=ゴール)
Ex.
・相手がなんらかの意見を表明してくれればいいのか
・相手が賛成してくれればいいのか
・相手に動いてもらう必要があるのか
プレゼンは、相手をゴールに向かって「動かす」ためにすることである。そのためには上記の2点について必ず考えておかなければならない。
3.1分で伝える
1分で伝えるために必要なのは、「ピラミッドでロジカルにストーリーを伝えること」である。
必要になるのは①結論②根拠⓷事実の3要素。これらの要素を、「意味が繋がるように(=ロジカルに)」組み立てていく。
ピラミッドを綺麗に構成できたとしても、それが相手に伝わらなければ意味がない。
伝える際の注意点として、以下に気を付ける。
~注意点~
・要らない言葉を削る
・簡単な言葉を使う
・プロセスを話さない(頑張ったアピールは不要)
・相手に気を遣いすぎない(主張は明確に)
・前提を揃えておく
・資料は感覚的に伝わるように
4.1分でその気になってもらう
ロジカルに考えられたストーリーが無ければ、相手はプレゼンを理解することができない。しかし、ロジカルに考えられた正しいことを聞いて理解するだけでは、人は動かない。
「理解した」という状況からもう一歩踏み出してもらうには、「頭にイメージをしてもらう→心を動かす」という工程が必要になる。
そのためのアプローチには、以下2つの方法がある。
⑴聞き手に頭の中にイメージを描いてもらう
Ex.
・絵や写真などのビジュアルを見せる
・具体例を提示する
⑵聞き手にイメージに入ってきてもらう
Ex.
・直接お願いする
「想像してみてください。」
「あなたがもし~を経験するとしたら~。」
これらのアプローチによって「自分が動くイメージ」を持ってもらうことができれば、プレゼンのゴール=「相手に動いてもらう」を達成しやすくなる。
5.1分で動いてもらう
ここまでの流れを通して、「1分で動いてもらう」ためにロジックを使って左脳を納得させ、「1分でその気になってもらう」ためにイメージを使って右脳を刺激してきた。あとは、自分の目的を達成するために、実際に「動いてもらう」だけである。
以下、「動いてもらう」ための要素である。
⑴「超一言」
=自分の伝えたいこと表すキーワード
相手は、話の20%程度しか聞いていないものと考えると、本当に伝えたいことは「印象に残るようなキーワード」にして強調することが有効になる。
⑵「ダイブ」
=自分の主張をしっかり相手に届けるという姿勢
そのためには、視線や手振り、声の大きさや間合いなどを工夫する必要がある。
相手に動いてもらえるような適切な伝え方ができているか、は常にチェックする。その際には、自分を客観的に俯瞰する=「メタ認知」することが重要である。
6.まとめ
プレゼンとは一方的に自分の主張を話すことではない。あくまで相手に「動いてもらう」ことがゴールである。
プレゼンの形態は様々であるが、大事なのは「しっかりと対話しながら一緒によりよい方向を目指しましょう」というスタンスである。これは特に1対1のプレゼンの場合には大切になってくる。自分の案を出しつつ、相手の意見も聞きつつ、一緒に最高の結論を導いてく、という感覚である。または、自分の主張をピラミッドに沿って提案したうえで、相手の頭の中にあるピラミッドも理解しながら、最終的に合意したピラミッドを形成していく、という感覚である。
プレゼンは訓練によって上達するものなので、本書をきっかけに是非自分のプレゼンを振り返り、ますますより良いものにしていって頂きたい。