【詩】雨は降る
雨のなかを歩いている
朝の苛立ち
重い荷物
傘では防げないほど
降りしきる雨
天気に憤慨してもしかたないけれど
「なんで今日なんだ」
いつならいいのか分からないけれど
今日は降らなくていい
そんな日に
雨は降る
初出勤の日に
ただでさえ緊張する日に
一歩踏み出した日に
雨は降る
起き上がるのもやっとの日に
家から出るだけで精一杯の日に
遅刻しそうな日に
水筒の中身が漏れ出ている日に
追い打ちをかけるように
雨は降る
どうせいつかは雨に遭う
ならば先に済ませておけ
そう促すように
雨は降る
このままでいいのかと焦る日に
もっと何かしておけばと悔やむ日に
自分をやめたくなるような日に
苛立つ心を発散させるように
もうどうにでもなれと
開き直りたくなるように
雨は降る
急く心を鎮めるように
高ぶる気持ちをなだめるように
びしょぬれ過ぎて笑えるように
後で虹なんて見せて機嫌をとるように
明日の晴れが嬉しくなるように
なにもかも
雨のせいにしていいよと言うように
雨は降る
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