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雨のなかを歩いている 朝の苛立ち 重い荷物 傘では防げないほど 降りしきる雨 天気に憤慨してもしかたないけれど 「なんで今日なんだ」 いつならいいのか分からないけれど 今日は降らなくていい そんな日に 雨は降る 初出勤の日に ただでさえ緊張する日に 一歩踏み出した日に 雨は降る 起き上がるのもやっとの日に 家から出るだけで精一杯の日に 遅刻しそうな日に 水筒の中身が漏れ出ている日に 追い打ちをかけるように 雨は降る どうせいつかは雨に遭う ならば先に済ませておけ そう
夕暮れの空に 雲が大きな鳥のように羽ばたいて 夕日の色をはね返す 帰り道 特別いいことはなくても 平穏無事に終わっていく 今日がいい日 澄んだ冷気 耳元に音楽 散歩中の犬とお年寄り あいさつの声 小学生の黄色い旗 横断歩道で停まる車 当たり前の善意と いつもの夕方を繰り返しただけの 今日がいい日 おつかれさま 一日が終わり 少しのイレギュラーと 「そんなこともあるよね」の声にほっとして終わり良ければすべて良し 終わりが良いのか分からなくても それもよし 終わってみれば